ぼくがショックをうけた二人の女優
もう一人の女優さんは、若尾文子です。
ぼくの同年輩は、ほとんどが松田聖子とか、中森明菜、それともキヤンデー
ズのファンがほとんどでしたが、ぼくも中森明菜のファンでセカンドラブのレコー
ドをよくききました。ぼくが中森明菜のファンになったのは、テレビにでていた彼
女がインタビューに、おかあさんのことをおかあちやんといったからです。ぼくは
かあちゃんとよんでいたので近いのです。たちまち中森明菜のファンになりまし
た。それから半年たったでしょうか。その日もテレビで彼女の唄を聴いていまし
た。歌い終わりインタビューがはじまり、彼女の口から信じられないことばが発
せられたのです。ははでした。ファンというのは勝手なものです。好きになるの
も一秒、嫌いになるのも同じです。
ずいぶん、とうまわりになってしまいました。と、いうわけでぼくのまわりには、
若尾文子ファンはいませんでした。北杜夫の本には若尾さんの話がでてきます
が、北氏はファンなのでしょう。
ぼくが高校一年のとき、東京から従弟が、夏休み遊びにやってきました。昼
間は吉野川に泳ぎにいったり、また高越山に泊まりで登ったりしましたが、夜が
手持無沙汰なのです。考えて、隣の町の鴨島に昔あった映画館にえいがを二
人で見に行きました。もうどんな映画かわすれてしまいましたが、ワンシーイン
だけあざやかにおぼえています。それは、夫の謝金のあなうめに、若尾文子が
身体をあいてにあたえる、というシーンで、彼女がバスタオルをまいてでてくる
のです。そのとき、カメラがアップで若尾の太ももをなめまわすようにとるのでし
た。隣にすわる従弟のつばを飲み込む音がたしかに聞こえました。ぼくも喉の
奥につばがたまり、息苦しくなり、そっとつばをのんだのですが、そのおとは、
場内に響き渡りました。