ぼくの想い出にのこる本 11
いがいに思うかもしれませんが、ぼくは絵本が大好きなのです。
いまはもうなくなってしまいましたが、徳島駅まえの、ぼくがお見合いをしてふ
られた小山書店から東に20メエトル先に、白いビルの一階に名はわすれたま
したが、清潔な書店がありました。その書店には、いつも紺の背広を着た30歳
ぐらいの店主と二人の23歳ぐらいの女性の店員がいました。ぼくが仕事終わ
っていくと、いつもお客さんはいませんでした。その理由をぼくは知ってました。
店の棚には岩波文庫と岩波新書、ほかに絵本のコーナーがあるだけでした。こ
れではいけません。いかに文化の花が咲き乱れる地徳島といえども、店主の
経営戦略はいかにか、と訝るばかりなのだ。
しかしぼくは客、店主の戦略なんか関係ない、せっせっとかよい好きな本を
沢山買いました。まず絵本コーナーにより本を選ぶ。岩崎ちひろの戦火のなか
の子どもたちを手にとり、ぺらぺら、子どもの表情がいい、つぎにおなじちひろ
のひさの星をてにとり、ぺらぺら、女の子表情がかわいい、買おう。つぎにユリ
ー・ジュルヴィッツのよあけを手にとり、ぺらぺら、これもいいなー、ウイスキー
を飲みながらみたいな、これも買おう。つぎは安野光雅のふしぎなえを手にと
り、ぺらぺら、これは焼酎のみながら見るえほんだ。これも買おう。つぎは、な
になに谷川俊太郎のことばあそびうた、どっかで聞いた名だな、これも買っと
け。
こどものころ、両親は絵本なんか買ってくれなかった。買えるいまは幸福だ。
そうそう先日北島町図書館へ行ったら、入口の近くに絵本のコーナーがあり、
岩崎ちひろの巨大な(80×80センチ)の絵本がありました。いいものは古くな
らないの法則は健在なり。