ぼくの想い出に残る本 10
ここだけの話ですが、ぼくが一番好きな作家はチェホフです。至福という言葉
がありますが、ぼくが至福を感じるのは、チェホフを読んでる時です。とくにお
きにいりは、かわいい女なのです。トルストイも絶賛した作品ですが、なんど読ん
でもあきません。まるで小津安二郎の映画を観ているようで、何回読んでもあた
らしい発見があります。ここだけの話なんですけれど、長編より短編が難しいの
です。チェホフはトルストイやドストエフスキーのような大長編小説書こうと思え
ば書けたはずでしたが書きませんでした。そこのところがチェホフの偉いところ
で、ちようど、ちあきなおみが美空ひばりをカバーしないのに似ています。たとえ
で、無人島にながされてなにをもっていくか、がありますが、ぼくは本ならチェホフ
にします。なかでも一冊といわれれば、かわいい女ですね。
ぼくらは簡単に天才という言葉をを使いますが、本当は10人ぐらいにしか、つ
かってはいけない言葉です。ジャズでいえばチャリー・パーカーだけです。あとは
優れた人でいいのです。さて文学において天才はだれでしょうか。これはおおい
に意見がわかれるところです。三島ならラディゲでしょうけど、異論はあるとおも
います。ランボーの名をあげる人もいるでしょう。プルーストもジョイスもそうでしょ
う。ドストエフスキーもトウマス・マンもとうぜんです。なかなか頭のいたいところで
すが、どですか、ぼくの顔をたてて赤塚不二夫にしてくれませんか、なに、赤塚は
漫画家で文学者でない、って。およびでない、およびでない。こりゃまた失礼いた
しました。ちゃんちゃん。