さて、話すという行動は話をする側にとって、頭や腹の中でグルグルと巡っている感情や思考を外に”手放す”ということでもあります。以前にも書きましたが、日本語で同じ音を持つ言葉はつながりが有ります。
 
話すという行為は外に対しての発信であると同時に、内に留めているものの解放でもあるのです。
 
 ですので、話し手にとっては自分の中の思考や感情を、自分がこれだと思った表現や言葉を選んで伝えようとします。そうして伝えられる表現や言葉の裏側には、話し手の葛藤や熱意、周りへの配慮や遠慮が組み込まれています
 
 この点が分かると、話を聴く側にとっては、話し手の言葉をそのまま受け止めるということがどれだけ重要であるかが分かります。
 
 以前にお伝えした聴くときの態度において、うなずきや相づちの重要性についてお話しました。
 
これは話し手の話を、その裏側ごと受け止めるという姿勢に繋がっているからであり、だからこそ話し手は話がしやすいのです。
 
 さて、そうすると言葉の裏側を受け取らないタイプの人が見えてきます。
 
 まず挙げられるのが「要するに」「要は」という言葉が口ぐせの人です。
 これらの言葉は、結論や結果のみを確認するための言葉です、ビジネスシーンでは多く使われます。間違いのない仕事をするには必要ではあるものです。
 しかしこれらの言葉は一方で、話し手が選んだ表現や言葉を大したことの無いもの、不要なものという意味も含まれています。
 
 次に挙がるのは、話を途中で遮る人。場合によっては話し手の話を先取りして「こういうことなんだろ」という人
 
 意識が自分に向いてしまっている人は、中々話し手の言葉を待てないものです。しかし、話し手にとっては最後まで話すことができないということはストレスになります。
 
 聴き手そうして話し手の話そのものを受け止め、裏にあるものも含めて解きほぐす。これが解釈です。
 こうした姿勢で聴くことで話し手と聴き手の間には、無意識に前向きな関係が培われていくのです。
 
 


日本語ランキング