第66回 毎日王冠GⅡ
現時点での単勝人気
1番人気アンビシャス(1勝GⅢ①)
→共同通信杯3着
2番人気エイシンヒカリ(1勝GⅢ①)
→エプソムC1着
3番人気ヴァンセンヌ(1勝GⅢ①)
→東京新聞杯1着、京王杯SC2着、安田記念2着
4番人気ディサイファ(3勝GⅡ①GⅢ②)
→エプソムC1、3着
5番人気イスラボニータ(4勝GⅠ①GⅡ②GⅢ①)
→東スポ杯2歳S1着、共同通信杯1着、日本ダービー2着、天皇賞秋3着
6番人気◎スピルバーグ(1勝GⅠ①)
→共同通信杯3着、毎日王冠3着、天皇賞秋1着、ジャパンC3着
7番人気ステファノス(1勝GⅢ①)
→富士S1着
8番人気グランデッツァ(3勝GⅡ①GⅢ②)
9番人気クラレント(6勝GⅡ①GⅢ⑤)
→NHKマイルC3着、富士S1着、東京新聞杯1、3着、エプソムC1着、毎日王冠3着、安田記念3着
10番人気トーセンスターダム(2勝GⅢ②)
11番人気ダノンシャーク(3勝GⅠ①GⅢ②)
→エプソムC2着、安田記念3着、富士S1着
12番人気リアルインパクト(3勝GⅠ①GⅡ②)
→京王杯2歳S2着、NHKマイルC3着、安田記念1着、毎日王冠2着、富士S2着
13番人気マーティンボロ(2勝GⅢ②)
※()内は国内重賞勝利数、格別内訳
※→東京重賞3着内の戦績一覧
天皇賞秋の前哨戦ということでオッズが示す通り難解な一戦。
出走馬13頭中全馬重賞馬。全馬1600~2000の芝重賞勝ち経験あり。12頭が3ヶ月以上の休み明け。10頭が父ディープインパクト産駒。
実績、距離適性、コンディション、そして血統までも大半が似通ったメンバー構成。何に重きを置くかによって予想の印も大きく変わる。
飽くまで自分が勝手に思っていることだが…。
オッズを見る限りでは1年以上前の実績や格は軽視。
代わりに斤量、近走実績、天皇賞秋出走へ向け賞金加算を企む陣営の『本気度』を重視。
現在1番人気の座を争っているアンビシャス、エイシンヒカリはまさに上記の理由で馬券が売れているに違いない。ただ両馬ともキャリア10戦未満。格もGⅢまでしか出走経験がなく、強敵との対戦経験が皆無に等しい。両馬とも同世代のクラシックGⅠはおろかトライアル重賞ですら未出走なのは経験値を重視する自分としてはかなりのマイナスポイント。
同世代相手ならまだわかるが古馬相手の別定GⅡ。実績馬の相次ぐ引退、故障等で新星誕生への期待を込めてのオッズかもしれない。だが、全馬重賞馬、半数以上もGⅠで好走経験のある強メン揃いでGⅢ1勝馬の1、2番人気馬を本命にするのはハイリスクに他ならない。
仮に『本気度』が他陣営を大きく上回っていたとしてもGⅠ勝ちのある実績馬の方が逆に人気がないのであれば実績馬を本命に推すのが賢明であると判断。
問題は何に重きを置くかによって予想をするかだが、今回は世代レベル、そしてディープ産駒が10頭もいることから兄弟の特徴を重視した。
その結果、本命はスピルバーグに。
天皇賞秋へ出走できるか微妙だった昨年と違い、賞金面での問題はなく、毎日王冠に向けての本気度は低い。GⅠを勝ったことにより斤量も56→58へ。おまけに海外帰り、昨年は3連勝で挑んだが、今年は4→6着と臨戦過程も下回る。
それでも世代レベル、同馬の東京適性、実績の割に人気がないのであれば本命にする根拠としては十分すぎるかもしれない。
【現6歳世代の毎日王冠での成績】
2012年(出走馬2頭)→1、2着
2013年(出走馬3頭)→2、3、9着
2014年(出走馬7頭)→1、2、3、4、5、13、14着
2015年(出走馬6頭)→スピルバーグ、ヴァンセンヌ、クラレント、グランデッツァ、ディサイファ、マーティンボロ
昨年は現4、5歳世代の低迷が原因かもしれない。が、2012年は1つ上の世代であるオルフェーヴルやロードカナロアがバリバリ現役で活躍していた頃。3歳で斤量の恩恵があったとはいえ、他世代のGⅠ馬エイシンフラッシュ、ストロングリターン、リアルインパクト、グランプリボス、エイシンアポロンらにまとめて先着し、ワンツーを決めたのは評価に値する。今年も安田記念2、3着。ヴィクトリアマイル1、2着。東京マイル~1800あたりであれば現6歳世代から買えばだいたい当たる←
現6歳世代の6頭は全馬、天皇賞秋へ出走するための賞金はすでに獲得済。そして全馬休み明け。毎日王冠に賭ける本気度も横一線と言っていい。ならばコース実績で本命を決めるべきか。
ヴァンセンヌ。東京コースのGⅢ→GⅡ→GⅠを使い1→2→2着。(東京新聞杯1着、京王杯SC2着、安田記念2着)現6歳世代で最も勢いがあるが現在3番人気…。
クラレント。NHKマイルC3着、富士S1着、東京新聞杯1、3着、エプソムC1着、毎日王冠3着、安田記念3着
これだけ東京では重賞実績があり、前走も安田記念で3着にもかかわらず現在9番人気のクラレント。馬券的妙味は一番だが…。
スピルバーグ。共同通信杯3着、毎日王冠3着、天皇賞秋1着、ジャパンC3着
ヴァンセンヌ、クラレントにはない2000M以上のしかもGI。天皇賞秋1着、JC3着の戦績が光るスピルバーグを本命に推す。
全盛期と比較すれば明らかに衰えていたが、中長距離路線で東京実績No.1だったジェンティルドンナ相手に天皇賞秋とJCの両レースで唯一先着したのがスピルバーグ。
天皇賞秋はドスローからの瞬発力勝負だったため距離不安を克服できたとみていた。が、2400M且つ持久力勝負となった昨年のJCでも3着。日本ダービー14着だった馬が5歳秋にして本格化したと言わざるをえない。昨年のJC1、2、4、5着馬が揃って引退したのであれば前哨戦、明らかな叩き台だとしても東京では無様な競馬をしては困る。
昨年のJC11着馬デニムアンドルビーが宝塚記念2着。15着馬ディサイファ、12着馬ヒットザターゲットが今年の札幌記念ワンツー。
昨年の天皇賞秋、JCで先着したイスラボニータ、ディサイファより人気がないのは明らかにおかしい。
そしてディープ産駒10頭の難解なレースの中から本命に決めた1番の根拠が全兄トーセンラーとの戦績比較。
スピルバーグ(関東馬)の東京実績【6.1.3.1】東京以外つまり右回り【0.0.1.4】
トーセンラー(関西馬)の京都実績【4.2.4.2】左回り【0.0.0.5】
これほど得意、不得意が戦績に現れるのも珍しいが兄弟揃ってとなればおそらくそういうことなのだろう。苦手科目(中山、小回り)も引退レースで完全克服した父ディープインパクトには一切似ず、苦手なものは苦手。脚質、瞬発力は父を引き継いだが…。他の科目はそっちのけで得意科目だけ極めて日本一を目指すのが母プリンセスオリビアの教育方針。であれば前哨戦であろうと最低限の結果(3着以内)を残さなければ親に示しがつかない。
全兄トーセンラーも5歳で本格化。この血統は本格化すれば得意競馬場に限り、距離適性が無敵になるというもの。トーセンラーは5歳時、京都記念1着、天皇賞春2着、京都大賞典3着、マイルCS1着。
京都1600~3200の重賞で全て馬券圏内に入る偉業を成し遂げた。6歳時は衰えもあったかもしれないが京都に限れば2、3、4着。京都12戦もして最低着順は4着。
弟スピルバーグも東京に限れば崩れることは考えにくい。まして兄はスランプ気味だった4歳時に夏競馬で使い詰めしたが弟は4歳時は体質の弱さを考慮し、藤沢式の1戦必勝体制。わずか3戦しか使わなかった。
6歳だし1戦毎に着順を落としていることから衰えと判断されこの人気なのかもしれないが東京に限れば依然としてそこを見せていない。昨年の毎日王冠でもトップスピードに入ろうかという時に他馬と接触。ゴール前では四位騎乗のディサイファにタックルされながらも3着。天皇賞秋で58キロも克服済み。
苦手科目の右回りですらそれなりの見せ場をつくった同馬が久々に東京参戦。東京のGⅡで6番人気で買えるなら迷わず本命に推すまでだ。