日曜写真家トモのフォト日記

結婚式は昼過ぎに終了し、式へ参加した人たちと、夜に合流する約束をした。それまで時間が空き、何をしようかと思いあぐねていたところ、大学時代の後輩が「電車で遠出してみませんか?」と誘ってくれた。その提案に喜んで賛同し、早速、約束の時間までにどこまで行けるか時刻表で確認してみたところ、たいして遠出できないことがわかった。何しろ釧路から他の土地へ向かう電車は一時間に一本さえ走っていない有様だ。それに空はあいにくの雨模様だった。


しかし、限られた時間の中でも電車に乗らなければ、一生見たり経験できない風景や出来事が待っているかもしれない。そんな期待に引き寄せられ、俺と後輩は僅か一両編成の列車に飛び乗った。


列車が釧路市街を抜けると、たちまち車窓は草原と木々に覆われ、単調な景色を映し出した。到着したのは門静駅。それが約束の時間までに往復するのに限界の地点だった。門静といってもおそらく誰もわからないだろうけれど、厚岸(あっけし)といえばわかる人がいるかもしれない。牡蠣で有名な土地だ。列車を降りると雨の影響もあるが、とにかく空気が冷たく、俺と後輩は「寒い、寒い」と連呼していた。


駅の近くに望洋台があるとのことで、小雨が降りしきる中、俺たちはとにかくそこを目指した。望洋台はそれほど大規模なものではなく、その施設にあるのは自販機とトイレのみ。そこからは雨で灰色にくぐもった、海と空が見えたのみだ。晴れていたらもっとまともな景色が見えただろうと思うと残念に思う。しかし、俺たちは、電車に乗らなければ一生見ることのできない風景や出来事を経験したのは確かなことで、少なくとも俺は来てよかったと思った。


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釧路に着いた翌日、目的の結婚式があった。大学時代の友人である新郎は、似合わないタキシードを身に着けて普段とは違う、やや緊張した笑顔をみせた。結婚が似合わない男だと思っていたけれど、花嫁の隣に並ぶとなぜかしっくりきた。離れ離れに生まれた鍵と鍵穴がちょうどこの土地で合わさり、閉ざされていた扉が開けていくかのように。


人生のある一点で、出会わなければ永遠に開かなかったはずの扉。その向こうにはどんな景色が見えるのだろうか。


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和商市場で満足した後、釧路川の方に向かった。

駅前を少し離れると、人はまばらとなり、シャッターが閉まっている建物も目に付く。国道沿いなどの車で行ける場所で大型のスーパーやチェーン店が発展し、駅付近の昔ながらの店は衰退が進んでいるのだろうか。俺の実家でもそうだったし、これまで回った地方都市でもその傾向は多く見られた。


徒歩で10分くらいだろうか。釧路川は駅から少し離れたところを流れている。川の付近には比較的立派な建物が並んでおり、川の周辺も綺麗に舗装されていた。そうした建物のひとつに入ると、本州ではあまり見られない巨大な暖房器具があった。後に聞いたことだが、釧路は雪はあまり降らないのだが、気温の低さは道内でもトップクラスだという。真冬の寒さを、この大げさな暖房器具と5月のこの冷気から想像した。冬の結婚式ではなくて本当によかったと心から思った。




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