釧路から羽田に戻った。
高速バスに乗り込んでもまだ釧路の景色が水彩絵のように脳裏に焼きついたまま残っていたが、車窓から見える首都圏の騒がしい景色を眺めていると、水彩の淡い色彩は序々に鮮やかさを失い、喧騒に飲み込まれてしまう。と、同時にこれからの仕事のこと、将来のこと、明日の昼休みには携帯電話を何とかしなきゃな、そうだ、留守番電話にメッセージが入ってるかもしれない、今日の晩飯はどうするか、と日々の現実が次々によみがえってくる。
明日からまた慌しい日常が始まるのだろう。けれど、目をつぶるとゆったりとした広大な土地の記憶や結婚した彼らの残像もまだ、消えずに残っていた。今夜は北の大地と彼らが見た夢の続きを俺も見られそうな気がした。




