社内うつ激増という記事 | 公園ぐるぐる+トレッドミル

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2017年からハノイ駐在
ランはただいま出直し中

問われるトップの本気度
「うつ100万人」は減らない
2012年03月16日(Fri) 海部隆太郎

抜粋

・うつ病の行きつく先は自殺
・日本の自殺者数は、2010年まで13年連続で年間3万人超
・自殺原因は、うつ病を含む病気と経済苦
・自殺の直接原因となるうつ病は全体の3割
・重い抑うつ状態にあったのは全体の8~9割、あるいは5割程度

・心の病は、こじらせてしまうと治りにくい
・発症者の男女比は1対2・自殺者は2対1

・うつ病は働き盛りの中高年男性に急増
・しかし企業経営者は無関心

・厚労省は、従業員へのストレス検査の実施を事業者に義務づける「労働安全衛生法改正案」を次期通常国会に提出する予定

・中小企業の経営者は新たなコスト負担程度の認識
・総じてストレス耐性が強いから経営者はメンタルヘルスを理解しにくい
・うつ病になる社員は、弱さが原因とみなす
・「苦労が足りない」程度の認識
・まさにこれらが、うつが蔓延する主因

・組織的な欠陥や業務遂行上の問題に踏み込んで改善が必要
・うつ病対策は、全社員が働きがいをもって業務に臨める体制を目指す社内変革といえる

社会的損失は2兆7千億円
・労務行政研究所が2年ごとに調査する「企業のメンタルヘルス対策に関する実態調査」
・メンタル不調で1カ月以上の欠勤・休業者が「いる」と回答した企業は6割
・1千人以上の従業員規模では9割以上
・300人未満では3割
・大手企業ほど制度的に休職しやすい環境
・規模が小さい企業ほど退職するケースが多い

・ストレス発散をしても根本的な問題解決にはつながっていかなかった
・サラリーマンが求めたいのは、“働きがい、生きがい”
・一方景気低迷で会社が求めるのは効率第一主義
・そのギャップに耐えられない、わりきれない人が増えた?

・企業にとって社内うつの対策は、生き残り戦略に組み入れるべき重要課題
・生産性の低下は、数値化しにくい
・業務判断ミス、けが、事故につながる
・事務職の場合は集中力が欠如し業務能率は著しく悪化
・現場の作業員ならば、事故に直結

・メンタル対策を講じているものの、その効果がみえていないという企業も多い
・一般的に一回休職した人の再発率は60%、2回休職では70%、3回になると80~90%
・休業が多発すると、傷病手当金を支給する健康保険組合の財政を圧迫
・人材派遣健保ではメンタル由来の傷病手当金は支給額全体の51%(10年度)

自殺・うつ病の社会的損失
・うつ病による社会的損失は、国立社会保障・人口問題研究所の09年推計によれば2兆6782億円。

見せかけのメンタル対策
・社員数約2000人で業界の中堅クラスの企業の例
・うつなど精神疾患をもつ社員は何十年も前からいる。
・1日中PCに向かい、納期が迫れば深夜残業は当たり前。
・静まり返った社内では、会話の声は聞こえず、ただキーボードを叩く音だけ。
・隣の席の社員との会話はメール
・不調になり始めるのは責任をもたされるリーダーたち。
・帰宅は常に深夜。土日も出勤しなければならず、疲労とストレス、仕事のプレッシャーなどで、不眠が続き、やがて動けなくなる。
・人事異動はほとんどなく、他の部門との交流もない
・身近な人がうつ病で休職しても、それが全社的な傾向とは気が付かない。
・人事担当は休職者が増えていることを把握しつつも、危機意識をもつ数ではないという。
・毎年、200人以上の新卒者を採用し、それを上回る退職者が出て、補充するために中途採用でしのぐ自転車操業。

・それでも中間管理職研修の中にメンタル分野を入れたり、産業医によるカウンセリングを実施したり、残業時間の管理を厳しくして過重労働をなくす取り組みなどを始めている
・トップの強い指示による
・その狙いは訴訟沙汰になった際に会社として対策を講じてきたことを示すため(!)
・過重労働による体調不良で自殺した社員の家族が会社を訴え、1億円の損害賠償を命じる判決があった。
・他人事ではないと思ったトップが主導し対策に踏み切った。

手厚い対策でも減らない不調者
・NTTデータの例。
・本社社員だけで1万人超
・官公庁、金融、産業界などの基幹システムの構築・運用を担う
・1カ月以上の休職者数は業界平均の2%と比べ1.3%程度
・メンタル不調者の根絶を目指したいが、解決する方策はみつかっていない
・健康推進室には産業医が3人常駐
・専門医が8人、うち3人が精神科。保健師は15人、臨床心理士は8人
・投薬は行わない
・メンタル不調者は医院で治療を受ける
・うつの若年化が進んでいる
・とくに入社3年目の女性
・育成期間が2年で終わり、現場のリーダーとして第一線で責任を持たされるのが影響
・下請け業者を抱える現場では、年配者へも指示を出さねばならず、どうチームをまとめるか、重いストレス
・上司も自分の仕事で手一杯
・過重労働を防ぐため月80時間を超えると面接、45時間を超えると疲労蓄積度チェックを実施
・出社後に立ち上げたPCと電源オフまでの時間を自動記録
・社員が申告した勤務時間との差も調べる
・正しい労働時間を把握し、過少申告をさせない(?)
・社内で開発したストレスチェックを全社員に実施
・うつ病の兆候がみられると、早めに対処
・全社員にあの手この手で意識づけをし、過重労働を防ぎ、カウンセリング体制も整えている

・資金的余裕がある巨大企業だからこそできる
・うつ病を発生させない業務体制の見直しなどにまで問題が進めば、人事セクション主導だけでは限界


・千葉県市川市に本社を置くサンセットコーポレイションの例
・ゲームソフト、DVDの買い取り・販売などを手掛ける創業20年のベンチャー企業
・社員数約170人、平均年齢30歳
・千葉、東京、埼玉に33店舗
・現在は休職者もメンタル不調者なし
・将来はわからない
・トップへ提案するのが当社の流儀
・メンタル対策の必要性を説き了解を得て09年10月から開始
・外部委託のストレスチェックと健康診断時のメンタル検査
・毎月、全社員に送るお知らせ
・ある程度の社員のストレス度合を把握し、こまめに店舗を回り、店長・社員との面談

・店舗運営は少人数
・メンタル不調者が出ると深刻な事態にもなりかねない
・社員の状況把握を重視
・うつ予防はコミュニケーションから

・トップ次第で柔軟かつスピーディーに全社的な対策を打てる
・メンタル対策に踏み込めないのは費用対効果がはっきりしないから
・本気度があれば効果は確実にみえてくる。

休職者が激減し生産性も上がった
・休職者が全社員(590人)の1割近くを占めていた会社が、4人にまで減少した例
・オリンパスの子会社で製品に組み込むソフト開発を手掛けるオリンパスソフトウェアテクノロジー
・天野社長が就任した06年は、暗い職場環境で、生産性は低くグループからもお荷物的な存在
・社員の意見を聞き、能力以上の仕事についている人には違う職場に配置転換
・コミュニケーションを活発化させるためのイベント開催
・子会社という立場で卑屈にならないよう、賃金体系を見直し、オフィスも富士山が見える高層ビルへと移転
・明るい職場環境を整え、メンタルケア相談室を立ち上げ
・将来への不安を抱く社員は少なくない。その人たちの適性に合った仕事を見つけ異動させる
・適性に合った仕事がなければ、積極的に転職を勧め、会社が後押しをする
・大半はグループ企業に転職
・3人だけ他社に転職
・いずれも円満退社
・出戻りもOK
・1人だったメンタルケア相談室は3人態勢
・心の不調者を出さない取り組みを実施
・600人規模の会社でメンタル専任者が3人いるのは手厚い
・通常のSE1人が1カ月で書き込めるプログラム行数は1000行
・社長就任時と比較して倍に生産性が向上
・優秀な人材が入り効率的な開発ツールもできた
・一概にメンタル対策の成果とはいえないかも
・品質は向上
・世界で展開するオリンパス製品には当社のソフトが使われる

・厚労省が発表したメンタル不調者で治療を受けている人は08年に100万人を突破…cf.創価学会員は800万人とも
・日本の国力は確実に低下するだろう
・うつ病を予防する局所的な対応だけではなく、ストレスを受けてもポジティブへと転換していける訓練をすることで、結果的にはうつ予防になり、全社員の生産性向上にもつながる
・これに職場のあり方や、仕事の流れ、顧客との対応などを見直すことで、大きな成果

・自社を分析し、弱さを克服するのは企業にとって当たり前
・メンタル面になるとどこも対応はお座なり
・専任者を置いても、定年直前の上がりの部署になっていないか?
・専任部署を設け専任者を配置
・社内のエース級を投入
・権限を与えて全社横断的な業務プロセス改善まで踏み込ませる
・うつ病の発症者を減らすだけではなく、ミスが減り品質が向上
・生産性も向上
・外ではなく内を見直す取り組みが企業を強くし、やがて日本を救う…との主張でした

--------------最後は大きくでたなぁ
--------------低成長で、生きがいが見つけにくくなりうつ病の増加、というよくあるパターン
--------------日本の制度疲労の一例だろう