※注意!!※
・これは完全なる俺の自己満足作品です。本当に暇で暇で仕方がなく読んでやっても良いんだぜ?と思う方だけ読んでいただければーーーーーああ。
・設定に多数の厨二設定が含まれております。
・モンスターハンターの公式設定をかなり無視しております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンス
補足:三年前以前の記憶が無い。これから村クエ最終の「モンスターハンター」に挑もうとしている。
MHP2Gセカンドキャラ物語
「モンスターハンター編」
1
街から砂漠に向かって歩くこと半日。
そんな人里離れた辺境の地に、タロ達の目指す場所があった。
大闘技場の門の前に雲一つ無い快晴という白昼の中、男が二人ガーディアンスーツに身を固めて直立不動の姿勢で立っている。
二人の内の一人が視線を前に向けながら、もう一人にだけ聞こえるように小声で口を開いた。
「なあ…今日は一体何があると言うんだ?この来賓の数…ここの門の前に立つようになって二年になるが、こんなどえらい人達が集まる所なんて初めて見たぜ。」
ガーディアンスーツに身を固めた二人の内の、若い方の男が隣で同じ姿勢を崩さないまま立っている中年の男に話しかける。
「そうか、アズは初めてなんだな。いつもはこの闘技場も若手ハンターの訓練ばかりだからな…。今日はな…この国の『勇者』を決める『儀式』があるんだよ。」
「勇者…儀式?」
中年の言った言葉にアズと呼ばれた若い男が首を傾げる。
「俺はここの門の警護に就いて10年近く経つが、この『儀式』の警護をやるのは今回で三回目さ。まあ…滅多にやらないから知らなくて当然だな。」
中年の男はそう言って視線だけをアズに向けた。
「お前も覚えておけ。この『儀式』が行われるという事は、近く『災い』が起こるという事。そんな『災い』に対抗すべく、『勇者』を決めるのさ。」
そんな言葉にアズはさらに首を傾げる。
「災いって…一体何があると言うんだ?さらには『勇者』とか。はっ絵本じゃあるまいし。グスタ、冗談も程々にしてくれ。」
そう言ってアズはグスタと呼ばれた中年の男の言葉に対して鼻で笑った。
そんなアズの態度を見てグスタがさらに口を開く。
「信じられないのも無理は無いか。俺もこの警護に初めて就いた時は各国のお偉方の『余興』だとばかり思っていたからな…。お前、三年前に「崩竜」がこの街に向かって進行した事があったのを知っているか?」
「三年前…ああ、覚えている。確かその『崩竜』が雪山の奥から街に向かって進行し始めたって大騒ぎになったな。」
目線を空に向け、思い出すようにアズが答える。
「そうだ。その『崩竜』の進行だが、実は事前にお偉方は知っていたのさ。」
グスタがそう言うとアズは驚いたように視線をグスタに向けた。
「知っていた…って、モンスターの動きをどうして俺達人間が解るんだよ?いくらなんでもおとぎ話だろ?モンスターの生態研究が進んでるからってそんな事…。」
「さてな…そこまでは俺も解らん。ただ…。」
グスタがそこまで言うと、アズと目線を合わせたまま、
「お前はその『崩竜』の進行がどうやって阻止されたか知ってるか?」
と、問いかける。
「ああ。そりゃあ有名な話だからな。『ポッケの英雄』だろ?確かリオって女ハンターだったっけか。」
アズがまた空を見上げて思い出すように答えた。
「そうだ。その『ポッケの英雄』リオなんだがな、その崩竜討伐の三ヶ月前に、この『儀式』を受けている。」
グスタがアズの答えに頷いてそう言う。
「たまたまだろ?さすがにそれだけで『これから災いが起こる』事がお偉方には解っているなんて証拠にはならないよ。」
アズは信じられないと言った様子でグスタから視線を逸らした。
そんなアズの態度に構わずグスタは語り始める。
「確かにそれだけでは只の偶然と思うだろうな。だがその崩竜の進行三日前にリオは王宮に呼ばれていた。そして次の日、王宮から何らかの命令を受け たリオは雪山に向かったんだ。さらにはその次の日に王自らの命令として、雪山の麓に王の直属部隊が配置された。アズ、これが何を意味しているか解るか?」
そこまで言うと、グスタはアズの顔を見た。
そんなグスタの話にアズは驚いた顔をしてグスタの方に視線を向ける。
「…確かにそれは…お偉方は崩竜の動きを知っていた事になるかも…だがどうやって?」
アズはまだ信じられないといった感じでグスタを見る。
「そこまでは解らんよ。ただ…今回のこの『儀式』、三年前にも行われている事は確かさ。さらに言えば俺が初めてこの『儀式』を警護した半年後にも、同じような『災い』が起きた。そしてそれをこの『儀式』で決まった『勇者』が止めている。」
グスタの話にアズは黙り込んだ。
「ついでに言えばな、こんな似たような話を、俺も初めてこの『儀式』の警護をした時に先輩から聞いたのさ。アズが信じられないと言っているように、俺も信じられないと先輩に言ったものさ。」
そう言ってグスタは笑った。
アズの今の立場に昔の自分と照らし合わせたのだろう、グスタは重い話の割に楽しそうに笑っているが、そんな笑いに釣られることもなくアズが口を開く。
「グスタ、じゃあさっきここを通ったあの憎たらしいカイザーX野郎が…『勇者』だとでも言うのかい?」
アズの問いかけに、グスタの顔から笑顔が消えた。
「おい、言葉には気をつけろよ。誰が聞いてるか解らん。」
そう言ってグスタは辺りを見回す。
近くに人の気配がないかと確認するが、グスタの話す言葉が小声になった。
「お前もそのカイザーX野郎…その方のギルドカードを見ただろう?今回の『勇者』候補、あれは現国王の甥にあたる奴…お人だぞ。あまりここでは変な事…言うなよ。」
グスタもその「カイザーX」装備を着た男が好きではないのだろうか、所々わざと言い変えている。
「あんな奴が『勇者』ねえ…。もしグスタの話が本当なら俺は人を見る目が無いのかも知れないな。とてもその『お方』が『災い』を止められるとは思えないね。」
アズはそう言うと、辺りを見回す。
アズ自身も自分の発言が危険という事は承知しているのだろう。しかし、言わずにはいられない、そんな感じだった。
グスタはこれ以上はまずいと思ったのか、話題を変えた。
「まあなんにしても…この『儀式』が行われる時は碌な事が無いのさ。各国の来賓が集まる、この『儀式』が行われる時はな…。」
グスタはそこまで言うと、空を見上げた。
何かを思い出しているのだろうか、空に向かって遠い眼をしている。
そんなグスタの態度に、アズは自分がいつの間にか嫌な汗をかいていることに気がついた。
「『災い』…か。」
アズはそう呟くと、グスタと同じように何か思いつめた顔をしながら空を見上げた。
2
タロとオトモのカクは街を抜けて砂漠方面に向かって歩いていた。
そろそろ昼時も過ぎた頃だろうか、太陽の位置が完全にタロ達の真上に差し掛かっている。
相変わらず、見上げる空に雲は一つも無い。
街を抜けて歩くこと数時間、丘を越えて見下ろす景色の中に、タロ達の目指す大闘技場があった。
「旦那さん!!やっと着いたニャ!!大闘技場ニャ!!」
丘から見下ろす風景の中から大闘技場を見つけたカクが嬉しそうにその大闘技場を指す。
タロはそんな風景の中から見つけた大闘技場を見て顔つきを変えた。
少しの間、その大闘技場を見つめる。
程なくして視線を大闘技場から離すと、タロはしかめっ面になって無言で歩き始めた。
やはり…何かを思い出しそうだ。
今まで大闘技場には何回か来たことはあるが、今回に限ってこの大闘技場を見ると頭が疼く。
今までは大闘技場に来ても「疼く」事なんて無かったのに。
やはり、「モンスターハンター」というクエストが俺の頭をかき回すのか…。
そう思いながら、タロは歩く速度を速める。
今はただ、何も考えない。とにかく早くこの「疼き」を抑えようと、タロは大闘技場に向かって歩くことだけに集中した。
タロが何も思い出さないように歩くことに集中していると、いつの間にかその大闘技場の門の前にたどり着く。
その門の前に警護の兵士がいることに気が付くと、タロはその兵士の中年の方に話しかけた。
「こんにちは。」
タロの掛け声に中年の男は、タロを全身マジマジと見つめると、
「なんの用だ?今日は闘技場訓練は全て中止だぞ?知らないのか?」
と、タロに向かって言う。
タロの着ている鎧と武器を見てグスタは闘技場訓練受講者だと思ったようだ。
そんなグスタの問いかけに、タロはあぁそうかと何か思い出したかのような顔をすると後ろに背負っていたバッグから何かを取りだす。
「これを。」
そう言ってタロはグスタに紙を一枚渡した。
グスタはタロに不審そうな顔をしながらその紙を受け取り、紙に書かれている内容を確認する。
グスタがその紙の内容に目を通し、文字を目で追って行くとみるみるとそのグスタの表情が驚きに変わって行った。
そんなグスタの表情の変化を隣で見ていたアズも、何が書かれているのか気になりその紙の内容を覗き込むように確認する。
その紙は、あるクエストの依頼書の半紙だった。
「モンスターハンター」
クエスト名を見てアズは首を傾げる。アズは今まで行われた闘技場のクエスト名を思い出してみるが、そんな名前のクエストは聞いたことが無かった。
グスタはその依頼書の半紙とタロの顔を交互に見ると、
「と、とりあえずギルドカードを見せてもらえないだろうか。」
と、驚きを隠しきれない様子でタロに言う。
タロは言われるままにギルドカードをグスタに渡した。
そこでグスタはさらに驚いた顔をすると改めてタロをマジマジと見つめた。
そんなグスタを見て、タロは首を傾げる。
「あ、あの…何か?」
グスタが何度も半紙とギルドカード、そしてタロの顔を交互に見て黙り込んでしまったので思わずタロがグスタに声をかけた。
「あ、ああすまない。今日は闘技場の使用予定が完全に決まっているものでな。このクエストが行われるとは聞いてないのだ。ちょっと中で確認してくるから、少しここで待っていてくれないか。」
グスタはタロの声にはっと我に帰ると、そう言ってタロを見る。
「はい。解りました。」
タロの返事を聞くと、グスタは半紙とタロのギルドカードを持ったまま闘技場の中に入って行った。
しばらくタロが門の前で待っていると、グスタともう一人の男が闘技場の中から出てきた。
タロの横でずっとタロを何か思うように見ていたアズがグスタの後ろにいたもう一人の男に気が付くと、急に姿勢をピンと伸ばし、その男に向かって敬礼する。
帰って来たグスタはその男にタロのギルドカードと半紙を渡すと、アズの横に同じく姿勢を伸ばして並んだ。
「君がタロ君か。ポッケ村のネコートより先刻伝書鳩が届いた。話は聞いている。さあ中に入ってくれ。」
その男は手に持っているタロのギルドカードと半紙に目を通し、そう言ってタロを闘技場の中に入るように促した。
男は手に持っていたタロのギルドカードをタロに渡すと、タロについてくるように言わんばかりにくるりと背を向け闘技場の中に入って行く。
タロもその男の意図を悟り、背中を追いかけるように闘技場の中に向かって歩き出した。
3
「なあ、さっきの男、一体なんだってんだ?それにあの依頼書…俺はあんなクエスト名を聞いた事が無い。」
タロが闘技場の中に姿を消していったのを確認すると、アズが開口一番にグスタに質問する。
「お前は今日の『儀式』は初めてだから知らないのも当然だろうが、さっきのクエストがまさしく今日の『儀式』用のクエストさ。」
グスタは二人ともに闘技場に消えていったのを確認すると、溜息とともに直立の姿勢を崩した。
「ではさっきの男が『勇者』候補なのか?しかし、来ていた鎧はギザミS一式とヒドゥンスティンガーだぜ?あれは上位の鎧じゃないか。」
アズが聞きたい事が山ほどある、という感じで質問を繰り返してくる。
「いや…『勇者』候補はカイザーX様だろう。さっきの男…タロと言ったか、この男が今日このクエストを受けるのは俺もさっき初めて知ったからな。 今日の来賓は間違いなくカイザーX様目当てさ。さらには上位装備か…。これはカイザーX様の『前座』にでも呼ばれたんじゃないかな…。」
グスタはそう言うと視線を下に落した。
「前座…?」
グスタの態度を見て、アズは眉を片方つりあげる。
「ああ、上位装備でクエストやらせて失敗させるのさ。目の前でモンスターに食い殺される前座があればカイザーX様が成功した時に盛り上がるだろ う?こう言った大きな『余興』がある時の盛り上げるための常套手段なのさ。まあ大体は大罪を犯した罪人の『公開処刑』も兼ねてるんだがな。しかしさっきの タロ…ギルドカードを見る限りではそんな犯罪者には見えんしな…。俺にもその辺はよく解らん。」
グスタはそう言ってアズを見た。
そんなグスタの言葉にアズは顔を曇らせ、
「可愛そうにな…。」
と、呟く。
そんなアズの同情の顔を見たグスタは慌てて、
「いやこれはあくまでも俺の推測だからな。でないとあのクエストを上位装備で挑む意味が解らんのだ。タロのギルドカードを見る限り、HRも2だしどうにもそう考えるしかつじつまが合わないんだよ。」
と、答えた。
「お前はこのクエストを知らないから言うが、このクエストの難しさは半端ないものだ。並のHR9では到底こなす事はできないんだよ。それを上位装備で挑むだと…?どうしたって死にに行くようなものさ。」
グスタの言葉に黙り込んだアズを横目に、グスタが自分の考えを話し続ける。
しかしどうにもグスタには合点の合わない事が多々あると思った。
おかしい。三年前の『儀式』とは明らかに何かが違う。
俺が今日聞いた『儀式』のクエスト名は「モンスターハンター」では無かった。
あのカイザーX様の受けるクエスト名は「誇りをかけた試練」だと聞いたが…。
どの道「誇りをかけた試練」というクエストもその難易度の高さは一級品だし、そんなものかと疑問にも思わなかったが、ここにきてタロという男が「モンスターハンター」の『儀式』用のクエストを持ってやってきた。
タロが『前座』としてやるにはこのクエスト名はおかしいだろう。普通なら「逆」だ。
それと、さっきのタロ…。
三年前のあの男とそっくりだ。
確か三年前のあの男もタロと名乗っていた。同一人物ではないのか?
さらにはあの依頼書の受諾許可者名には「ポッケ村のネコート」という名前が書かれていた。
そうだ、あの「ポッケの英雄」リオがいた所だ。
しかし…見せてもらったギルドカードにはHR2と書かれていた。
三年前のその男はHRは9だったしな…。ギルドカードの二重発行など考えられないし…。
「グスタ?何を考えてるんだ?」
アズは急に黙り込んだグスタの顔を覗き込んで聞く。
そんなアズの言葉にグスタは我に帰ると、
「ああ…いや、なんか今回の『儀式』にしっくりこなくてな…。ちょっと色々考えていた。」
と、慌てて言った。
「なんにしても…どの道上位装備では生きてこの闘技場から出てくる事は…無いのだろうな…。」
そう呟くとグスタは闘技場の方を見る。
アズも何も言えることもなく釣られて闘技場を見上げた。
タロと呼ばれた男がこの門から二度と出てこないと思うと、アズはタロの顔を思い浮かべて憐れんだ。
MH編2に続く
・これは完全なる俺の自己満足作品です。本当に暇で暇で仕方がなく読んでやっても良いんだぜ?と思う方だけ読んでいただければーーーーーああ。
・設定に多数の厨二設定が含まれております。
・モンスターハンターの公式設定をかなり無視しております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンス
補足:三年前以前の記憶が無い。これから村クエ最終の「モンスターハンター」に挑もうとしている。
MHP2Gセカンドキャラ物語
「モンスターハンター編」
1
街から砂漠に向かって歩くこと半日。
そんな人里離れた辺境の地に、タロ達の目指す場所があった。
大闘技場の門の前に雲一つ無い快晴という白昼の中、男が二人ガーディアンスーツに身を固めて直立不動の姿勢で立っている。
二人の内の一人が視線を前に向けながら、もう一人にだけ聞こえるように小声で口を開いた。
「なあ…今日は一体何があると言うんだ?この来賓の数…ここの門の前に立つようになって二年になるが、こんなどえらい人達が集まる所なんて初めて見たぜ。」
ガーディアンスーツに身を固めた二人の内の、若い方の男が隣で同じ姿勢を崩さないまま立っている中年の男に話しかける。
「そうか、アズは初めてなんだな。いつもはこの闘技場も若手ハンターの訓練ばかりだからな…。今日はな…この国の『勇者』を決める『儀式』があるんだよ。」
「勇者…儀式?」
中年の言った言葉にアズと呼ばれた若い男が首を傾げる。
「俺はここの門の警護に就いて10年近く経つが、この『儀式』の警護をやるのは今回で三回目さ。まあ…滅多にやらないから知らなくて当然だな。」
中年の男はそう言って視線だけをアズに向けた。
「お前も覚えておけ。この『儀式』が行われるという事は、近く『災い』が起こるという事。そんな『災い』に対抗すべく、『勇者』を決めるのさ。」
そんな言葉にアズはさらに首を傾げる。
「災いって…一体何があると言うんだ?さらには『勇者』とか。はっ絵本じゃあるまいし。グスタ、冗談も程々にしてくれ。」
そう言ってアズはグスタと呼ばれた中年の男の言葉に対して鼻で笑った。
そんなアズの態度を見てグスタがさらに口を開く。
「信じられないのも無理は無いか。俺もこの警護に初めて就いた時は各国のお偉方の『余興』だとばかり思っていたからな…。お前、三年前に「崩竜」がこの街に向かって進行した事があったのを知っているか?」
「三年前…ああ、覚えている。確かその『崩竜』が雪山の奥から街に向かって進行し始めたって大騒ぎになったな。」
目線を空に向け、思い出すようにアズが答える。
「そうだ。その『崩竜』の進行だが、実は事前にお偉方は知っていたのさ。」
グスタがそう言うとアズは驚いたように視線をグスタに向けた。
「知っていた…って、モンスターの動きをどうして俺達人間が解るんだよ?いくらなんでもおとぎ話だろ?モンスターの生態研究が進んでるからってそんな事…。」
「さてな…そこまでは俺も解らん。ただ…。」
グスタがそこまで言うと、アズと目線を合わせたまま、
「お前はその『崩竜』の進行がどうやって阻止されたか知ってるか?」
と、問いかける。
「ああ。そりゃあ有名な話だからな。『ポッケの英雄』だろ?確かリオって女ハンターだったっけか。」
アズがまた空を見上げて思い出すように答えた。
「そうだ。その『ポッケの英雄』リオなんだがな、その崩竜討伐の三ヶ月前に、この『儀式』を受けている。」
グスタがアズの答えに頷いてそう言う。
「たまたまだろ?さすがにそれだけで『これから災いが起こる』事がお偉方には解っているなんて証拠にはならないよ。」
アズは信じられないと言った様子でグスタから視線を逸らした。
そんなアズの態度に構わずグスタは語り始める。
「確かにそれだけでは只の偶然と思うだろうな。だがその崩竜の進行三日前にリオは王宮に呼ばれていた。そして次の日、王宮から何らかの命令を受け たリオは雪山に向かったんだ。さらにはその次の日に王自らの命令として、雪山の麓に王の直属部隊が配置された。アズ、これが何を意味しているか解るか?」
そこまで言うと、グスタはアズの顔を見た。
そんなグスタの話にアズは驚いた顔をしてグスタの方に視線を向ける。
「…確かにそれは…お偉方は崩竜の動きを知っていた事になるかも…だがどうやって?」
アズはまだ信じられないといった感じでグスタを見る。
「そこまでは解らんよ。ただ…今回のこの『儀式』、三年前にも行われている事は確かさ。さらに言えば俺が初めてこの『儀式』を警護した半年後にも、同じような『災い』が起きた。そしてそれをこの『儀式』で決まった『勇者』が止めている。」
グスタの話にアズは黙り込んだ。
「ついでに言えばな、こんな似たような話を、俺も初めてこの『儀式』の警護をした時に先輩から聞いたのさ。アズが信じられないと言っているように、俺も信じられないと先輩に言ったものさ。」
そう言ってグスタは笑った。
アズの今の立場に昔の自分と照らし合わせたのだろう、グスタは重い話の割に楽しそうに笑っているが、そんな笑いに釣られることもなくアズが口を開く。
「グスタ、じゃあさっきここを通ったあの憎たらしいカイザーX野郎が…『勇者』だとでも言うのかい?」
アズの問いかけに、グスタの顔から笑顔が消えた。
「おい、言葉には気をつけろよ。誰が聞いてるか解らん。」
そう言ってグスタは辺りを見回す。
近くに人の気配がないかと確認するが、グスタの話す言葉が小声になった。
「お前もそのカイザーX野郎…その方のギルドカードを見ただろう?今回の『勇者』候補、あれは現国王の甥にあたる奴…お人だぞ。あまりここでは変な事…言うなよ。」
グスタもその「カイザーX」装備を着た男が好きではないのだろうか、所々わざと言い変えている。
「あんな奴が『勇者』ねえ…。もしグスタの話が本当なら俺は人を見る目が無いのかも知れないな。とてもその『お方』が『災い』を止められるとは思えないね。」
アズはそう言うと、辺りを見回す。
アズ自身も自分の発言が危険という事は承知しているのだろう。しかし、言わずにはいられない、そんな感じだった。
グスタはこれ以上はまずいと思ったのか、話題を変えた。
「まあなんにしても…この『儀式』が行われる時は碌な事が無いのさ。各国の来賓が集まる、この『儀式』が行われる時はな…。」
グスタはそこまで言うと、空を見上げた。
何かを思い出しているのだろうか、空に向かって遠い眼をしている。
そんなグスタの態度に、アズは自分がいつの間にか嫌な汗をかいていることに気がついた。
「『災い』…か。」
アズはそう呟くと、グスタと同じように何か思いつめた顔をしながら空を見上げた。
2
タロとオトモのカクは街を抜けて砂漠方面に向かって歩いていた。
そろそろ昼時も過ぎた頃だろうか、太陽の位置が完全にタロ達の真上に差し掛かっている。
相変わらず、見上げる空に雲は一つも無い。
街を抜けて歩くこと数時間、丘を越えて見下ろす景色の中に、タロ達の目指す大闘技場があった。
「旦那さん!!やっと着いたニャ!!大闘技場ニャ!!」
丘から見下ろす風景の中から大闘技場を見つけたカクが嬉しそうにその大闘技場を指す。
タロはそんな風景の中から見つけた大闘技場を見て顔つきを変えた。
少しの間、その大闘技場を見つめる。
程なくして視線を大闘技場から離すと、タロはしかめっ面になって無言で歩き始めた。
やはり…何かを思い出しそうだ。
今まで大闘技場には何回か来たことはあるが、今回に限ってこの大闘技場を見ると頭が疼く。
今までは大闘技場に来ても「疼く」事なんて無かったのに。
やはり、「モンスターハンター」というクエストが俺の頭をかき回すのか…。
そう思いながら、タロは歩く速度を速める。
今はただ、何も考えない。とにかく早くこの「疼き」を抑えようと、タロは大闘技場に向かって歩くことだけに集中した。
タロが何も思い出さないように歩くことに集中していると、いつの間にかその大闘技場の門の前にたどり着く。
その門の前に警護の兵士がいることに気が付くと、タロはその兵士の中年の方に話しかけた。
「こんにちは。」
タロの掛け声に中年の男は、タロを全身マジマジと見つめると、
「なんの用だ?今日は闘技場訓練は全て中止だぞ?知らないのか?」
と、タロに向かって言う。
タロの着ている鎧と武器を見てグスタは闘技場訓練受講者だと思ったようだ。
そんなグスタの問いかけに、タロはあぁそうかと何か思い出したかのような顔をすると後ろに背負っていたバッグから何かを取りだす。
「これを。」
そう言ってタロはグスタに紙を一枚渡した。
グスタはタロに不審そうな顔をしながらその紙を受け取り、紙に書かれている内容を確認する。
グスタがその紙の内容に目を通し、文字を目で追って行くとみるみるとそのグスタの表情が驚きに変わって行った。
そんなグスタの表情の変化を隣で見ていたアズも、何が書かれているのか気になりその紙の内容を覗き込むように確認する。
その紙は、あるクエストの依頼書の半紙だった。
「モンスターハンター」
クエスト名を見てアズは首を傾げる。アズは今まで行われた闘技場のクエスト名を思い出してみるが、そんな名前のクエストは聞いたことが無かった。
グスタはその依頼書の半紙とタロの顔を交互に見ると、
「と、とりあえずギルドカードを見せてもらえないだろうか。」
と、驚きを隠しきれない様子でタロに言う。
タロは言われるままにギルドカードをグスタに渡した。
そこでグスタはさらに驚いた顔をすると改めてタロをマジマジと見つめた。
そんなグスタを見て、タロは首を傾げる。
「あ、あの…何か?」
グスタが何度も半紙とギルドカード、そしてタロの顔を交互に見て黙り込んでしまったので思わずタロがグスタに声をかけた。
「あ、ああすまない。今日は闘技場の使用予定が完全に決まっているものでな。このクエストが行われるとは聞いてないのだ。ちょっと中で確認してくるから、少しここで待っていてくれないか。」
グスタはタロの声にはっと我に帰ると、そう言ってタロを見る。
「はい。解りました。」
タロの返事を聞くと、グスタは半紙とタロのギルドカードを持ったまま闘技場の中に入って行った。
しばらくタロが門の前で待っていると、グスタともう一人の男が闘技場の中から出てきた。
タロの横でずっとタロを何か思うように見ていたアズがグスタの後ろにいたもう一人の男に気が付くと、急に姿勢をピンと伸ばし、その男に向かって敬礼する。
帰って来たグスタはその男にタロのギルドカードと半紙を渡すと、アズの横に同じく姿勢を伸ばして並んだ。
「君がタロ君か。ポッケ村のネコートより先刻伝書鳩が届いた。話は聞いている。さあ中に入ってくれ。」
その男は手に持っているタロのギルドカードと半紙に目を通し、そう言ってタロを闘技場の中に入るように促した。
男は手に持っていたタロのギルドカードをタロに渡すと、タロについてくるように言わんばかりにくるりと背を向け闘技場の中に入って行く。
タロもその男の意図を悟り、背中を追いかけるように闘技場の中に向かって歩き出した。
3
「なあ、さっきの男、一体なんだってんだ?それにあの依頼書…俺はあんなクエスト名を聞いた事が無い。」
タロが闘技場の中に姿を消していったのを確認すると、アズが開口一番にグスタに質問する。
「お前は今日の『儀式』は初めてだから知らないのも当然だろうが、さっきのクエストがまさしく今日の『儀式』用のクエストさ。」
グスタは二人ともに闘技場に消えていったのを確認すると、溜息とともに直立の姿勢を崩した。
「ではさっきの男が『勇者』候補なのか?しかし、来ていた鎧はギザミS一式とヒドゥンスティンガーだぜ?あれは上位の鎧じゃないか。」
アズが聞きたい事が山ほどある、という感じで質問を繰り返してくる。
「いや…『勇者』候補はカイザーX様だろう。さっきの男…タロと言ったか、この男が今日このクエストを受けるのは俺もさっき初めて知ったからな。 今日の来賓は間違いなくカイザーX様目当てさ。さらには上位装備か…。これはカイザーX様の『前座』にでも呼ばれたんじゃないかな…。」
グスタはそう言うと視線を下に落した。
「前座…?」
グスタの態度を見て、アズは眉を片方つりあげる。
「ああ、上位装備でクエストやらせて失敗させるのさ。目の前でモンスターに食い殺される前座があればカイザーX様が成功した時に盛り上がるだろ う?こう言った大きな『余興』がある時の盛り上げるための常套手段なのさ。まあ大体は大罪を犯した罪人の『公開処刑』も兼ねてるんだがな。しかしさっきの タロ…ギルドカードを見る限りではそんな犯罪者には見えんしな…。俺にもその辺はよく解らん。」
グスタはそう言ってアズを見た。
そんなグスタの言葉にアズは顔を曇らせ、
「可愛そうにな…。」
と、呟く。
そんなアズの同情の顔を見たグスタは慌てて、
「いやこれはあくまでも俺の推測だからな。でないとあのクエストを上位装備で挑む意味が解らんのだ。タロのギルドカードを見る限り、HRも2だしどうにもそう考えるしかつじつまが合わないんだよ。」
と、答えた。
「お前はこのクエストを知らないから言うが、このクエストの難しさは半端ないものだ。並のHR9では到底こなす事はできないんだよ。それを上位装備で挑むだと…?どうしたって死にに行くようなものさ。」
グスタの言葉に黙り込んだアズを横目に、グスタが自分の考えを話し続ける。
しかしどうにもグスタには合点の合わない事が多々あると思った。
おかしい。三年前の『儀式』とは明らかに何かが違う。
俺が今日聞いた『儀式』のクエスト名は「モンスターハンター」では無かった。
あのカイザーX様の受けるクエスト名は「誇りをかけた試練」だと聞いたが…。
どの道「誇りをかけた試練」というクエストもその難易度の高さは一級品だし、そんなものかと疑問にも思わなかったが、ここにきてタロという男が「モンスターハンター」の『儀式』用のクエストを持ってやってきた。
タロが『前座』としてやるにはこのクエスト名はおかしいだろう。普通なら「逆」だ。
それと、さっきのタロ…。
三年前のあの男とそっくりだ。
確か三年前のあの男もタロと名乗っていた。同一人物ではないのか?
さらにはあの依頼書の受諾許可者名には「ポッケ村のネコート」という名前が書かれていた。
そうだ、あの「ポッケの英雄」リオがいた所だ。
しかし…見せてもらったギルドカードにはHR2と書かれていた。
三年前のその男はHRは9だったしな…。ギルドカードの二重発行など考えられないし…。
「グスタ?何を考えてるんだ?」
アズは急に黙り込んだグスタの顔を覗き込んで聞く。
そんなアズの言葉にグスタは我に帰ると、
「ああ…いや、なんか今回の『儀式』にしっくりこなくてな…。ちょっと色々考えていた。」
と、慌てて言った。
「なんにしても…どの道上位装備では生きてこの闘技場から出てくる事は…無いのだろうな…。」
そう呟くとグスタは闘技場の方を見る。
アズも何も言えることもなく釣られて闘技場を見上げた。
タロと呼ばれた男がこの門から二度と出てこないと思うと、アズはタロの顔を思い浮かべて憐れんだ。
MH編2に続く