※注意!!※
・これは素人が書いた「創作物」です。この手の事に興味のない方、苦手な方は読まない事をお勧めしておきます。いや、本音としては読んでほしいですけど…。
・モンスターハンターP2Gの公式設定をかなり無視しております。
・多数の中二病設定が使われております。



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登場人物紹介



NAME:アズ・ルードリア
HR:6
主な使用武器:太刀・片手剣

小説モンスターハンター ~愛の物語~

元大闘技場の門番兵。前回のタロの戦いに感動して「ハンター」に戻る決意をする。






そんなポッケ村での思い思いの夜から遡る事、数刻。
ここは森丘のベースキャンプ。
太陽が地平線に向けて落ち始めた頃。

アズは森丘のベースキャンプのエリアを、懐かしそうにゆっくり歩き回っていた。

小説モンスターハンター ~愛の物語~

釣り場に行くとそこにある水面を覗き、たき火の所まで行けば寒くないのに手をかざし、テント内にあるベッドには無駄に飛び乗り。
全てが懐かしく、そしてアズの目には新鮮に映っていた。

「二年なんてあっと言う間だと思っていたけど…な。」
ベッドに飛び乗り、そのままテントの天井を見つめながら呟く。
目に映る生い茂った緑の色彩、どこからともなく聞こえてくる生き物の鳴き声、そして森丘全体が漂わせる独特の土の香り。
アズは二年前には当たり前だった事を、ゆっくりとかみしめるように五感で感じ取っていた。

「また…戻ってきた。」
一言呟き、ベッドに投げ出していた体をゆっくりと起こす。
自然と顔がニヤけているのが、自分でも解る。

俺のしたい事。する事。しなければいけない事。
全てが一致する事、それがこんなにも嬉しい事だったとは。
大闘技場の門番として立ち続ける事も、別に俺にとっては苦にはならなかった。
でもそこにこんな胸膨らむ期待感は無かった。

アズはベッドから飛び降りると、テントから飛び出し青いアイテムボックスの所に走って行く。

ペイントボール、応急薬、携帯食料、携帯砥石、地図、支給用閃光玉。

ギルドから支給されているアイテムを一つ一つ確認するように、アズはゆっくりとアイテムポーチに詰めていった。
そして携帯食料を改めてアイテムポーチから取り出すと、一つ口の中に入れる。
「久しぶりだな。」
アズは笑顔で呟いた。
携帯食料はいわゆる乾燥肉だ。なんの肉かまでは解らない。
アプトノスかはたまたアプケロスか。もしかしたらブルファンゴか。
アズは嬉しそうに口を動かしている。
お世辞にもおいしいとは言えないが、かといってまずくもない。
そんな事よりも今のアズにとってはその味の「懐かしさ」に感動していた。

全てが懐かしい。


アズは口の中に入れた肉を飲み込むと、今度は駆け足でベースキャンプを飛び出して行く。
もう我慢できないとでも言うかのように。
今のアズの顔は、見知らぬ土地に胸躍らせる少年が楽しそうに冒険するような、そんな笑顔だった。


ちょっとしたトンネルを抜ける。
アズは自分の過去の記憶でその光景がどんなものか覚えていたが、しかし改めてその光景に目を見開いた。

小説モンスターハンター ~愛の物語~

今まで生い茂っていた緑に遮られていた地平線上の光景。
アズの視界に飛び込んでくるのは絶景にして圧巻、「森と丘」の美しいのどかな風景。
目の前にはゆっくりとした流れの川があり、その向こう岸にはアプトノスが群れをなして草を食べている。
川の水面が太陽の光に照らされてキラキラと輝いている。

アズの顔に森丘の優しい風が当たる。
森丘の持つ、独特の土の香りが漂う。



――――――帰ってきた。



アズはその光景に見惚れながら、心の中でそう呟く。

見開かれた瞳には、期待感に満ちた煌々とした輝き。
思わず上がる口元には、自由という開放感に満ちた笑み。


アズはゆっくりとその光景をぐるっと見回すと、またゆっくりと走りだした。




アズは森丘の第三エリアまで来ると、また改めてぐるっとその風景を見渡す。
そのエリアにアプトノスしかいない事を確認すると、アズは背中に担いでいた太刀をゆっくりと鞘から引き抜いた。
鞘と刀身の擦れる音が辺りに響く。
その擦れる音の「鋭さ」で、その太刀がいかに良いモノかが伺える。

アズが今手に持っている太刀は鬼神斬破刀。
東方の方に住んでいると見られる姿の、ある一人の刀匠が残したひと振りの刀。
切れ味するどく、その刀身に込められた業は雷神の加護。

アズは刀を両手に持ち目を瞑ると一呼吸、そして軸足を残して体全体で縦に一振り、刀を振り下ろした。

「…。」

大丈夫だ。自分が持つイメージ通りに、体は動く。
さらにアズはもう一度刀を縦に振りおろすと、今度はそのまま前に一突き、「突き」を入れる。
そしてそのままの姿勢で刀を逆手に真上へ「切り上げる」と、その勢いでまた縦に刀を振り下ろした。

ああ…良い感じだ。体は「覚えてる」。

そのまま体が覚えている動きに勢いを乗せて、刀を頭の上まで持っていくと今度は弧を描くように刀を回し、その遠心力を乗せて斜めに一振り。
遠心力に乗った体をそのまま前に出すと、その勢いに乗せて太刀を前に一突き。
さらに踏み込んだ足をそのまま返すように後ろに跳ね上げるとそのまま「切り下がる」。

太刀の一連の動作をアズは思い出すように軽やかにこなした。

アズはゆっくりと目を開けると、動かした体の躍動に満足したようで自然と顔がほころぶのが解った。

「これからは一人で狩りをしていく身…。こうでなくては困るしな…。」
そんな風に呟くと自身が発した「一人」という言葉に、アズはフッと先日のタロの「モンスターハンター」の事を思い出した。


あの「男」は、一人で四体もの化け物を相手にした。

一人でも、その技術と度量があれば乗り越えられるという事を「聞かせて」くれた。
一人でも成し遂げる勇気を与えてくれた。
一人でも「狩猟」を続ける事ができると…教えてくれた。


二年前、二人で駆け抜けた集会所。
そしてお前は…G級直前でいなくなった。

そんな喪失感に…俺は「ハンター」を辞めた。


だからこそ…一人でも「ハンター」として生き抜いていく姿を、俺は見てみたい。
あの時、俺は大闘技場から「大歓声」が沸く度にあの「男」の雄姿を見に行きたかった。
体が疼くのを感じた。「聞く」だけでなぜか…高揚感に身を浸せた。


あの「男」は、一体どんな戦い方をしたのだろう。
一人で立ち向かった、半日に渡る死闘。


――――見たい。


あの「男」の、一人であの化け物たちに立ち向かった姿を。


――――「聞く」だけではなく。
――――俺は、「見たい」んだ。


会えるだろうか…あの「男」に。


アズがそう想いに浸っていると、遠くの方から一つの咆哮が聞こえてきた。
「…来たか。」
アズは背後から聞こえてきた、聞き覚えのある咆哮に意識を向ける。

小説モンスターハンター ~愛の物語~


下位のリオレウスとはいえ、「狩猟」そのものが久しぶりなアズは緊張した。
自然と体に力が入るのが解る。

「さて…久しぶりの狩猟、楽しもうか。」
そんな呟きをするアズの顔に、余裕は感じられなかった。
太刀を構えたまま、アズは一つ大きく深呼吸をする。
空から舞い降りた蒼き火竜が、その翼を地面すれすれで大きく動かすとゆっくりとその大地に足を付た。


太刀使いとリオレウス亜種の一騎打ちが始まる。




アズは構えていた太刀を背中の鞘に納めると、レウスの方に走り出した。
まずは狩猟の基本、その獲物を逃さないようにペイントボールを投げつける。
それが見事に当たると、蒼き火竜はそこに「自分の敵」がいる事を知った。
レウスが視線をアズに向ける。


ゾクッ。


集会所上位を駆け抜けたアズにとって、下位のレウスは言わば格下の相手だ。
しかしそんなレウスだからと言って、この火竜に睨まれるのはあまり良い気分ではない。
殺意しかない、そんな視線にアズは身を怯ませた。

久しぶりだからと気負うなよ…っ!!

自分に言い聞かせるようにアズはそう心の中で叫ぶと、レウスの周りを走りながら次の行動を観察する。
レウスはアズの方に体を向けると、咆哮とともにいきなり突進してきた。
その突進を横に駆け抜けるようにアズは避けると、体当たりでその身を地面にこすりつけるレウスに背中の太刀を抜く。
丁度尻尾が目の前にあるのでそこに切りつけた。
だが、その尻尾はアズの太刀を弾く。

そうか、レウスの…さらに亜種ともなれば下位とはいえ上位の太刀も弾くか!

思い出したかのようにアズはそう思うと、今度はレウスの頭に切りかかろうとその身を前に走らせた。
だが、そんなアズの行動を見ていたレウスは翼を勢いよく羽ばたかせると、バックステップとともに口から火球を吐き出す。
その行動を予測できなかったアズは思わずその火球をもらってしまった。
「ぐお…っ!?」
そんな喘ぎ声とともに火に包まれたアズは、勢いよく吹き飛ばされた。
地面に叩きつけられて、アズの体に激痛が走る。
「がは…っ!!」
鎧の焦げ付く臭いと、全身を叩きつけられた痛みでアズは思わずむせ返った。
しかしすぐにアズは立ち上がると、レウスの方に向き体制を整える。
レウスの「次」に備えなければ、アズに訪れるものは「死」しかない。
痛みに苦しんでいる余裕なんてない。

この一撃で、アズは思い出した。


ああ…思い出したぜ。
そうだったな。
「狩猟」はいつもこの感情とも戦わなければならなかったな。
「死」と隣り合う「恐怖」という感情と。

ここまできてアズは改めて思う。
先ほどまで浮かれていた自分を恥ずかしいと。

そうだ、「死」だ。
いくら下位のレウス相手だって、油断すれば「死ぬ」んだよな。

向こうはこっちを食い殺す気満々だぜ?
全力で行かなきゃ…駄目だろう!

そう思い直すと、アズは太刀を持つ手にグッと力を入れる。
二年前の、「狩猟」の感覚を一つ一つ思い出して行く。

うろ覚えだったさまざまな感覚が「実感」として甦る。

アズはレウスに無防備に攻撃しては、反撃を受けて一つを思い出し。
支給用閃光玉を適当に投げて外しては、また一つを思い出した。

全ての曖昧な記憶が鮮明に自分の体に「実感」として流れ込んでくる。
そんな「実感」にアズは自分が高揚している事に気が付いた。

興奮している。

アズは太刀を構えて改めてレウスと対峙する。
レウスもまた、アズを見る。
その視線に見るモノは一つ。

相手の「命」を奪うという事。

モンスターとのやりとりに、人間が生み出した「共存の倫理」なんてものは存在しない。
あるのは「生存をかけた本能」だ。
それはどれほどの時を費やして生物は進化してきたのか、その中にある一つの「真実」。

そんな原点に、今アズは身を置いている。

次の瞬間に訪れるかもしれない、自身の「死」。
「死」という隣り合わせの「恐怖」の中で見出す、「生」の実感。
体の底から湧きあがる「生」の願望。

レウスに対して太刀を振るうアズは、そんな極限化の中で一つの「絶景」を見る。


レウスが舞う。

太陽を背にレウスは逆光の中、アズを「殺す」ためにその巨体を空に羽ばたかせる。

――――俺を…「殺す」ために。

――――レウスは、空を飛ぶ。
――――太陽の光を背に受けた、「空の王者」。


小説モンスターハンター ~愛の物語~



――――ああ。これだ。

――――俺が見たかった「絶景」は。

俺のために見せる…俺を殺すためだけに見せるこの火竜の神々しさはどうだ。


――――なんと美しいのだ。


アズはその光景にゾクッとする。
全身に鳥肌が立つのが解る。


そうだ。これなんだ。
この光景を、俺は見たかった。
タロの「モンスターハンター」で「聞いた」、あの高揚感は…この光景を思い出したからだ。



俺は―――――「ハンター」なんだ。


10

どれ位の間戦っていたのか。
それでもまだ日が地平線にもかかっていない。
空に舞い上がるレウスをアズは自分で用意してきた閃光玉でたたき落とすと、頭に向かって太刀を振り下ろす。
尻尾の振り回しに警戒しながら、アズは丁寧にその太刀の刀身をレウスの頭に叩き込んでいった。
レウスの「眩み」が切れる頃になって、アズはその太刀を振るう身をより慎重にする。
レウスの視界が戻ったと悟った瞬間、アズは切り下がりで一旦頭の近くから離れた。

アズは次のレウスの攻撃に身構えていたが、だがレウスはその眩みから目が覚めるとアズのいる位置とは逆の方に向く。
するとレウスは足を引きずって歩き始めた。
「あ…っ。」
そんな呟きとともに、レウスがもう瀕死なんだとアズは悟った。
少し拍子抜けしたが、下位という事もあるしな…と思うとこんなもんだろうとアズは太刀を鞘に納める。

持ってきたしびれ罠がキチンと作動するか確認すると、アズはレウスの後を追った。

森丘の第五エリア、レウスとレイアの巣としても有名なこのエリアに帰り、眠りについたレウスを確認するとアズはそっとレウスに近づく。
近くにいたランポス達が騒ぎ出したので、アズは急いでレウスの所まで走った。
先ほどのしびれ罠をレウスの足元に置く。
そのしびれ罠が作動すると同時にレウスが起き上がり、その身をしびらせる所まで確認すると、持参した捕獲用麻酔玉を投げつけてレウスを眠らせた。

小説モンスターハンター ~愛の物語~


「目標を達成しました。」


レウスがしびれ罠の中、静かに寝息を立てる姿を確認して、アズはホッと胸を撫で下ろした。


レウスをその場に残し、アズは一旦ベースキャンプに戻るとそこに飼われていた伝書鳩に一枚の紙を括らせると、その鳩を羽ばたかせる。
ギルドに「捕獲完了」の旨を伝えるためだ。
この伝達を行うと、ギルドから捕獲したレウスを引き取りに来る一団がやってくる。

ここまでしてやっと、アズの今日の「狩猟」が幕を閉じた。

「ふう~。なんか久しぶりで疲れたな…。」
そんなため息とともに呟いたアズは、頭のヘルムを外すと、ベースキャンプのベッドに身を投げ出す。
今からあの集会所に帰る事もできたが、宿も無い村に帰ってもその身の休まる所がない事を知っていたアズは、今日はこのまま寝てしまおうと思った。

下位のクエストで実際に余裕もあったアズだったが、やはり久しぶりなのかベッドに横になると急な睡魔が襲ってくる。

…緊張もしたしな…久しぶりの狩猟だったし…な…。
そんな風に思いながら、アズは眠りに落ちて行った。



アズは夢を見た。

どこの場所かはっきりしないが、どこか見た事のある場所。

火山…か。

薄暗い、火山のどこかにあるちょっとした場所。
そこに一人の女性が立っている。
その女性の手には、ハンマーが握られていた。

アズはその女性を見ると叫んだ。
「ミリア!!ミリア!!」
何故か、アズは必死に叫んでいる。
しかしその女性には、アズの声は届いてないのか一向にアズの方を向こうとはしない。
アズはさらに叫んでいた。
「すまなかった!!ミリア!…なんで俺はあの時…あんな凡ミスを…!!」
すると、その女性はゆっくりとアズの方を振り向く。
そして笑顔で一言、アズに向かって声をかけた。

「生きて。」

そんな一言を発した途端、その女性はその場からかき消えた。

アズはその女性が消えるのを見ると、その場に膝をついて崩れ落ちる。
何故かは解らないが、悔しさで体を震わせる自分がいる。

「俺はこれから…どうすれば良い…ミリア。」


そんな呟きをした所で、アズは目を覚ました。

「…!!」
アズはガバッと起き上がると、呆然とした顔で辺りを見回す。
そこは森丘のベースキャンプ。
テントの隙間からは朝日と思われる光が入り込んできている。
その光景で、やっとアズは今の自分の状況を理解した。


先ほど見た夢を思い出す。
「ミリア…。」


そう呟いたアズの瞳からは、一筋の涙がこぼれていた。




集会所編4に続く