※注意!!※
・これは素人が書いた「創作物」です。この手の事に興味のない方、苦手な方は読まない事をお勧めしておきます。いや、本音としては読んでほしいですけど…。
・モンスターハンターP2Gの公式設定をかなり無視しております。
・多数の中二病設定が使われております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:タロ・ライド
HR:2
主な使用武器:ランス・ガンランス
三年前以前の記憶が無かったが、前回の話で自分の過去を「知った」。
ただ今、リオと同居中。
NAME:リオ・アズベル
HR:9
主な使用武器:大剣・ランス・ガンランス
三年前まではタロと愛し合っていた。三年前、ポッケ村の危機を救った英雄。
ただ今、タロと同居中。
NAME:アズ・ルードリア
HR:6
主な使用武器:太刀・片手剣
元大闘技場の門番兵。前回のタロの戦いに感動して「ハンター」に戻る決意をする。
NAME:ナルガ・ロウ・セトラ
HR:9
主な使用武器:ハンマー・太刀・狩猟笛
ややこしいけど名前は「ナルガ」。ロウはミドルネーム。
過去にちょっとあってファーストネームに「ナルガ」と付けている。…が、今回の本編には関係無し。
アズを追いかけてポッケ村にたどり着く。
11
思い思いの事を語った夜も明けた、その日の朝。
太陽の光も東の地平線上に顔を出したばかりのそんな早朝に、タロ、リオ、ロウの三人は集会所に向かっていた。
タロはフルフルS装備にガンランス・ヒドゥンガンランスを担いでいるが、他の二人は特に何も担いでいない。
いつもならリオはタロに同行して迅速にクエストを消化する補佐をしていたのだが、今日はどうもロウの方に付き合うようだ。
ロウは昨日からの話の流れの通り、アズの帰りを待つつもりだった。
だが、アズの帰りを出迎えた所でどうして良いか解らなかったロウは、リオに泣きついたのだ。
さらには偶然を装い会うとしても、こんな辺境の集会所では無理があると思っていたタロが、そっと「リオに会いに来た事」にしてロウを隣に置いておけば問題ないと入れ知恵をしていた。
そんな流れもあり、今日のクエストはタロ一人で行く事になったのだ。
「一人で行って…あなたマイペースなんだから。さっさと終わらせて帰って来るのよ?」
リオにそんな釘を刺されたが、タロは笑いながら、
「大丈夫だよ。」
と、言葉を返す。
実の所、タロは一人でクエストに出る事が嬉しかった。
ここ最近はリオに見張られて、ゆっくりとした「狩猟」ができていなかったからだ。
タロとしては本来自然を満喫しながらゆっくりと狩りをする癖があったので、今日のこの提案は自分のためでもあった。
久しぶりの一人の狩猟に、タロの足取りも心なしか軽い。
「リオ!リオ!旦那さんはボクが見張ってるから大丈夫ニャ!!」
そんなリオとタロの会話を足元で聞いていたオトモのカクが、リオに向かってそう叫ぶ。
それを聞いていたタロは、
「おいカク!『見張ってる』て…!いつの間にリオの味方になったんだよ!!」
と、足元のカクの頭をこねくり回す。
「ニャー!旦那さん痛いニャ!!リオは旦那さんの事を思って言ってるニャ!」
カクはそう言うとタロの手から逃れるように、リオの足元に逃げ込む。
「あらタロ、残念ね。カクは私と同意見だから。…さっさと帰ってきなさいよ?」
リオは足元のカクを庇うようにカクの頭を撫でながら、ニヤニヤした顔でそう言った。
「ちきしょう…カクめ。裏切りやがって!」
そう呟くとタロはギリギリと歯を擦り鳴らして悔しそうな顔をする。
「別に裏切ってないニャ!リオは旦那さんの事が大好きだからそう言ってるニャ!」
カクがリオの足元からタロにそう叫んだ。
そんなカクの言葉を聞いていたリオは、片方の眉毛をぴくりと動かすと笑顔のまま、
「おっとカク~。あまり余計な事は言わなくて良いのよ?」
と、カクの頭を撫でていた自分の手に思わず力を入れる。
「いだだだだー!痛いニャーー!!」
アイアンクロー化したリオの手に思わずカクが悲鳴を上げた。
タロとリオの二人のやりとりをニヤニヤしながら見ていたロウだったが、そんな二人を我が身に置き換えられない自分の立場の事を考えると、
「良いなあ…。私もこんな風にじゃれ合ってみたい…。」
と、急に寂しそうな顔して呟いた。
今日、アズに会ったらなんて言えば良いんだろう。
とりあえず追いかけてきちゃったけど、特にこれからどうしたいのか…全然解らない。
でも何もしなければ…ここで終わり。
アズは人探しをすると言ってたから、集会所も転々とするとなれば…「偶然会う」なんて難しいし。
「PTを組む約束をする」とか?
「一緒に人探しをしてあげる」とか?
「ああ~!!どの道『なんで私が』それを提案するのか聞かれたら…答えられないっ!!」
自分の考えを思わず声に出して、ロウは頭を抱えながら叫んでいる。
そんな叫び声を出すロウの顔は、相変わらず赤かった。
そんなロウの叫び声を聞いていたタロとリオは目を合わせる。
「ちゃんと…導いてあげなよ。」
タロがリオにそう言った。
「私に言わないでよ…。こういうの苦手なんだから…。」
リオがタロから視線を逸らしながら呟く。
「確かに。」
そう言ってタロがハハッと笑うと、急に脇腹に激痛が走った。
「ごふ…っ。」
そんな呻きと共に腹を押さえるタロ。
リオの肘鉄がタロの脇腹に綺麗に入っていた。
「ばーか。」
そう言うと、リオはロウの横に走って行く。
集会所の扉の前に、三人はたどり着いた。
12
ポッケ村にある集会所の朝は早く、集会所の扉の鍵は日の出とともに開錠する。
これは先日のアズのようにベースキャンプで一夜を過ごしたハンターが、日の出とともに帰って来る事が多いからだ。
朝は早くから集会所に来て扉の鍵を開けた下位担当の女の子カイは、鍵を開けた扉をあくびをしながら開けると、そこに人がいる事に驚いた。
「わ!!リオさん、タロさん!!びっくりした!!」
扉を開けるとすでに人がいる事に驚いたカイだったが、その人物が昨日の「酒の肴」だった事にさらに驚いた。
「お早う、カイちゃん。朝早くからお疲れ様。」
リオはそう言うとカイに向かって微笑む。
「お早うございます!今日はお早いんですね~。タロさんも!あと…そちらの方も!お早うございます!!」
カイはリオの顔に釣られて笑顔になると、視界に入った全員に元気よく挨拶する。
そんな挨拶にタロとロウも挨拶すると、カイは開けた扉をさらに大きく開けた。
カイは開けた扉をその小さい体で押さえると、三人を中に入るように促す。
そして三人が中に入るのを確認すると、扉の前に掛けてあった一枚の木でできたプレートをひっくり返した。
ひっくり返されたプレートには可愛らしいタッチで「営業中☆」と書かれている。
今日も集会所の一日が始まるようだ。
タロ達が中に入ると、受付カウンターにジョーイとジーコもいた。
だが先ほどのカイの元気の良い姿とは打って変わり、二人は苦しそうな顔をしている。
ジョーイが三人に気が付くと、頭を押さえながら、
「おはよ~ございますうー…。」
と、顔を真っ青にして今にも倒れそうな、かすれた声で三人に挨拶した。
隣のジーコに至っては声を出すのもしんどいようで、カウンターにその身を突っ伏したまま手を挙げているだけだった。
また昨日は飲んでたんだ…。
リオはその光景に苦笑すると、その二人に挨拶した。
こんな朝一番の集会所の光景も、リオやタロにとっては日常風景の一つである。
意外にも昨日の五人の中ではカイが一番酒に強い。
後は全員どっこいどっこいだ。
どっこいどっこいという事は、ジョーイ、ジーコが二日酔いな以上残る後の二人も苦しいはずなのだが。
集会所の奥にある休憩室から、ギルドマネージャーとミルカの「イビキ」が聞こえてきていた。
ミルカはハンターだし、ギルドマネージャーは集会所に問題が起こらない限りは、特に必要な身ではない。
奥の休憩室から聞こえる二人の高イビキに、ジョーイとジーコはイラッとしている。
そんな所まで「込み」で、よくある風景だった。
そんなカウンターの女の子達をマジマジと見ていたロウは、
「だ、大丈夫なの…?この集会所…。」
と、不安そうな顔で呟く。
「ああ。いつもの事だから。」
そんなロウの不安を、タロは笑顔で受け流した。
本来の集会所はハンターとモンスターとの「命」をかけたやり取りを仲介する、全体的に緊迫感のある場所だ。
恐怖に体を震わす者、強がりを高らかに叫ぶ者。
成功した者は心からの笑顔で酒を浴び、その隣では失敗した者が友の死に泣き崩れている。
そんな混沌とした、人の持つ感情が大きく出る緊張感のある場所だ。
そんな緊張をほぐすために必ず集会所には「飲み処」が設置されるが、それでも張り詰める空気は鋭い。
酒でそんな空気が誤魔化せる程、「吹き溜まり」となりやすいこの場所は甘い世界ではない。
二日酔いに苦しむ受付嬢とか…。
私の行く集会所ではあり得ないな…。
そう思うと、ロウは苦笑した。
リオが集会所の中央にあるテーブルに座ると、続いてロウも座った。
タロは二人が座るのを確認すると、リオに一声かけると下位の受付の所に行く。
そこでカイと何やら喋ると、紙を一枚もらいまたテーブルの所に帰ってきた。
「じゃあ俺はクエストに行ってくるから。」
タロはそう言うと二人に手を挙げる。
「ちゃんと早く帰って来るのよ?」
リオが念を押すように、声をかけた。
「解ってるって。」
そう言ってタロは苦笑いすると、今度はロウの方に向く。
「がんばれよ。」
タロが笑顔でそう言うと、ロウはカッと顔を赤くしながら下に俯いた。
「…。」
頑張れという声援に素直に応えられるほどには、まだロウも自分がアズにどうしたいのか解っていない。
そんなロウを見てタロは微笑むと、もう一度リオに軽く手を振りクエスト専用出入り口の方に向かって行った。
今日はまだ早朝なので、武運を祈る「笛吹き名人」はまだこの集会所には来ていない。
入り口の隣にある売店の子がタロに話しかける。
「タロさんお早うございます。毎日精が出ますね!今日はどこですか?」
売店の女の子がそうタロに聞きながら、足元に置いてあった何かしらの貝でできた笛を「よっこらしょ」と持ち上げる。
「お早う。今日は雪山なんだ。」
タロはその子にそう言って嬉しそうに微笑んだ。
「そうですか~。ご武運を!」
そんなタロの嬉しそうな顔にその女の子も微笑むと、笛に口を付ける。
プァ~プォ~
そんな音を合図とでも言うように、その笛の音が終わると同時にタロはその扉の向こうへ進んで行った。
13
タロのそんな嬉しそうな顔を見ていたリオは少しムッとした顔をしている。
そんなに一人で狩りに行くのが嬉しいっての!?
テーブルに頬杖をついて眉間にしわを寄せていたリオの顔を見ていたロウは、昨日から気になっていた事を考えていた。
物思いにでも耽るようにじーっとリオの顔を見ている。
そんなロウの視線に気が付いたリオは、
「な、何よ…。」
と、少し動揺しながら呟いた。
「ねえ。なんであんた達はくっつかないのさ?」
唐突にロウが聞く。
「え…。」
唐突に聞かれる質問の内容が直球すぎて、リオは思わず言葉を詰まらせた。
昨日から気になっていた事。
それはリオとタロの事。
二人を見てる限り、どうしたってお互い意識し合ってる事は解るのにこの二人はあと一歩を踏み出そうとしない。
今のロウにはそんなもどかしい関係に首を傾げるばかりだ。
お互いの望むモノが、あと一歩どちらかが前に踏み出せば手に入るというのに。
なんでそんな「簡単」な事をしないのだろう。
「あなたが一言言えば…お互い楽になるのに。」
ロウが想う事を呟く。
リオは少しの間黙っていたが、しばらくすると口を開いた。
「ロウは…もし三年前好きだった人に…三年後に会ってみたら『あなたは誰?』と言われたらどうする?」
頬杖を突きながら、リオは視線をタロが出て行った扉の方に向けたまま、意味深な質問をする。
「?何それ?」
質問の突拍子の無さにロウは首を傾げた。
「さらにはその好きな人が三年前と中身が全然違う人だったら…どうする?」
意味が解っていないロウに特に質問の意図を説明する事もなく、リオはさらに質問を重ねる。
「え…でもそれってもう別人じゃない…。」
質問の意図がまるで掴めなかったが、それでもロウは考えてみた。
「そうねえ…。でも見た目は一緒か。その人がどんな『別人』かにもよるよねえ。」
うーんと、想像を巡らしながらロウは答えたが、今一つリオの質問に具体性を持てない。
「もしその『別人』が、あなたの好みだったらどうする?」
リオはロウの方に視線を向けるとさらに質問を重ねた。
「好みだったら…!?え…うーん。あー…リオ!さっきからなんなの?その質問とあなた達がくっつかない事とどんな関係があるって言うのさ?」
もはやなんの想像もできないロウは堪りかねてそう聞き返す。
そんなロウを見ていたリオはフッと微笑むと、
「解らないよね…本当にさ。」
と、呟いた。
そしてさらにリオは言葉を続けた。
「さらにはさ…三年前の好きな人が『帰って来る』から待っててって…そんな気になる『別人』から言われたら…どうすればいいと思う?」
「…。」
ロウはもはや言葉も出せない。リオとタロの間に一体何があるのか、見当もつかなかった。
そんな困り果てたロウの顔を見てリオは、
「ごめんごめん。でもちょっとだけ…聞いてほしかったんだ。」
と言って改めて微笑んだ。
「それは…本当の事なの…?」
リオがこの手の事で嘘や過大な事を言うようにも思えなかったロウはそう聞き返す。
「本当なのか嘘なのか…それは私にとってはどうでも良い事なの。」
そう言うとリオはロウから視線を外した。
「ただ…その『別人』の言うように『時』が解決する事なのか…それともそんな『時』によってかけがえのない者を失うのか…その見極めができないだけ…。」
そう言うとリオは少し寂しそうに微笑んだ。
「リオ…。」
ロウはそんなリオの顔を見て、どんな状況にしろそれが「本当の事」なんだと悟った。
なんと言って良いか解らず、ロウは言葉を探しているとリオがさあ終わりとでも言うようにパンっと手を叩いて、
「朝っぱらからだけど…飲んじゃおっか!」
と、言って微笑んだ。
「え!?」
ロウがリオからの意外な提案にびっくりしている間にも、すでにリオは売店の女の子に声をかけていた。
「すいませーん!フラヒヤビール二つ!!」
集会所編5へ続く
・これは素人が書いた「創作物」です。この手の事に興味のない方、苦手な方は読まない事をお勧めしておきます。いや、本音としては読んでほしいですけど…。
・モンスターハンターP2Gの公式設定をかなり無視しております。
・多数の中二病設定が使われております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:タロ・ライド
HR:2
主な使用武器:ランス・ガンランス
三年前以前の記憶が無かったが、前回の話で自分の過去を「知った」。
ただ今、リオと同居中。
NAME:リオ・アズベル
HR:9
主な使用武器:大剣・ランス・ガンランス
三年前まではタロと愛し合っていた。三年前、ポッケ村の危機を救った英雄。
ただ今、タロと同居中。
NAME:アズ・ルードリア
HR:6
主な使用武器:太刀・片手剣
元大闘技場の門番兵。前回のタロの戦いに感動して「ハンター」に戻る決意をする。
NAME:ナルガ・ロウ・セトラ
HR:9
主な使用武器:ハンマー・太刀・狩猟笛
ややこしいけど名前は「ナルガ」。ロウはミドルネーム。
過去にちょっとあってファーストネームに「ナルガ」と付けている。…が、今回の本編には関係無し。
アズを追いかけてポッケ村にたどり着く。
11
思い思いの事を語った夜も明けた、その日の朝。
太陽の光も東の地平線上に顔を出したばかりのそんな早朝に、タロ、リオ、ロウの三人は集会所に向かっていた。
タロはフルフルS装備にガンランス・ヒドゥンガンランスを担いでいるが、他の二人は特に何も担いでいない。
いつもならリオはタロに同行して迅速にクエストを消化する補佐をしていたのだが、今日はどうもロウの方に付き合うようだ。
ロウは昨日からの話の流れの通り、アズの帰りを待つつもりだった。
だが、アズの帰りを出迎えた所でどうして良いか解らなかったロウは、リオに泣きついたのだ。
さらには偶然を装い会うとしても、こんな辺境の集会所では無理があると思っていたタロが、そっと「リオに会いに来た事」にしてロウを隣に置いておけば問題ないと入れ知恵をしていた。
そんな流れもあり、今日のクエストはタロ一人で行く事になったのだ。
「一人で行って…あなたマイペースなんだから。さっさと終わらせて帰って来るのよ?」
リオにそんな釘を刺されたが、タロは笑いながら、
「大丈夫だよ。」
と、言葉を返す。
実の所、タロは一人でクエストに出る事が嬉しかった。
ここ最近はリオに見張られて、ゆっくりとした「狩猟」ができていなかったからだ。
タロとしては本来自然を満喫しながらゆっくりと狩りをする癖があったので、今日のこの提案は自分のためでもあった。
久しぶりの一人の狩猟に、タロの足取りも心なしか軽い。
「リオ!リオ!旦那さんはボクが見張ってるから大丈夫ニャ!!」
そんなリオとタロの会話を足元で聞いていたオトモのカクが、リオに向かってそう叫ぶ。
それを聞いていたタロは、
「おいカク!『見張ってる』て…!いつの間にリオの味方になったんだよ!!」
と、足元のカクの頭をこねくり回す。
「ニャー!旦那さん痛いニャ!!リオは旦那さんの事を思って言ってるニャ!」
カクはそう言うとタロの手から逃れるように、リオの足元に逃げ込む。
「あらタロ、残念ね。カクは私と同意見だから。…さっさと帰ってきなさいよ?」
リオは足元のカクを庇うようにカクの頭を撫でながら、ニヤニヤした顔でそう言った。
「ちきしょう…カクめ。裏切りやがって!」
そう呟くとタロはギリギリと歯を擦り鳴らして悔しそうな顔をする。
「別に裏切ってないニャ!リオは旦那さんの事が大好きだからそう言ってるニャ!」
カクがリオの足元からタロにそう叫んだ。
そんなカクの言葉を聞いていたリオは、片方の眉毛をぴくりと動かすと笑顔のまま、
「おっとカク~。あまり余計な事は言わなくて良いのよ?」
と、カクの頭を撫でていた自分の手に思わず力を入れる。
「いだだだだー!痛いニャーー!!」
アイアンクロー化したリオの手に思わずカクが悲鳴を上げた。
タロとリオの二人のやりとりをニヤニヤしながら見ていたロウだったが、そんな二人を我が身に置き換えられない自分の立場の事を考えると、
「良いなあ…。私もこんな風にじゃれ合ってみたい…。」
と、急に寂しそうな顔して呟いた。
今日、アズに会ったらなんて言えば良いんだろう。
とりあえず追いかけてきちゃったけど、特にこれからどうしたいのか…全然解らない。
でも何もしなければ…ここで終わり。
アズは人探しをすると言ってたから、集会所も転々とするとなれば…「偶然会う」なんて難しいし。
「PTを組む約束をする」とか?
「一緒に人探しをしてあげる」とか?
「ああ~!!どの道『なんで私が』それを提案するのか聞かれたら…答えられないっ!!」
自分の考えを思わず声に出して、ロウは頭を抱えながら叫んでいる。
そんな叫び声を出すロウの顔は、相変わらず赤かった。
そんなロウの叫び声を聞いていたタロとリオは目を合わせる。
「ちゃんと…導いてあげなよ。」
タロがリオにそう言った。
「私に言わないでよ…。こういうの苦手なんだから…。」
リオがタロから視線を逸らしながら呟く。
「確かに。」
そう言ってタロがハハッと笑うと、急に脇腹に激痛が走った。
「ごふ…っ。」
そんな呻きと共に腹を押さえるタロ。
リオの肘鉄がタロの脇腹に綺麗に入っていた。
「ばーか。」
そう言うと、リオはロウの横に走って行く。
集会所の扉の前に、三人はたどり着いた。
12
ポッケ村にある集会所の朝は早く、集会所の扉の鍵は日の出とともに開錠する。
これは先日のアズのようにベースキャンプで一夜を過ごしたハンターが、日の出とともに帰って来る事が多いからだ。
朝は早くから集会所に来て扉の鍵を開けた下位担当の女の子カイは、鍵を開けた扉をあくびをしながら開けると、そこに人がいる事に驚いた。
「わ!!リオさん、タロさん!!びっくりした!!」
扉を開けるとすでに人がいる事に驚いたカイだったが、その人物が昨日の「酒の肴」だった事にさらに驚いた。
「お早う、カイちゃん。朝早くからお疲れ様。」
リオはそう言うとカイに向かって微笑む。
「お早うございます!今日はお早いんですね~。タロさんも!あと…そちらの方も!お早うございます!!」
カイはリオの顔に釣られて笑顔になると、視界に入った全員に元気よく挨拶する。
そんな挨拶にタロとロウも挨拶すると、カイは開けた扉をさらに大きく開けた。
カイは開けた扉をその小さい体で押さえると、三人を中に入るように促す。
そして三人が中に入るのを確認すると、扉の前に掛けてあった一枚の木でできたプレートをひっくり返した。
ひっくり返されたプレートには可愛らしいタッチで「営業中☆」と書かれている。
今日も集会所の一日が始まるようだ。
タロ達が中に入ると、受付カウンターにジョーイとジーコもいた。
だが先ほどのカイの元気の良い姿とは打って変わり、二人は苦しそうな顔をしている。
ジョーイが三人に気が付くと、頭を押さえながら、
「おはよ~ございますうー…。」
と、顔を真っ青にして今にも倒れそうな、かすれた声で三人に挨拶した。
隣のジーコに至っては声を出すのもしんどいようで、カウンターにその身を突っ伏したまま手を挙げているだけだった。
また昨日は飲んでたんだ…。
リオはその光景に苦笑すると、その二人に挨拶した。
こんな朝一番の集会所の光景も、リオやタロにとっては日常風景の一つである。
意外にも昨日の五人の中ではカイが一番酒に強い。
後は全員どっこいどっこいだ。
どっこいどっこいという事は、ジョーイ、ジーコが二日酔いな以上残る後の二人も苦しいはずなのだが。
集会所の奥にある休憩室から、ギルドマネージャーとミルカの「イビキ」が聞こえてきていた。
ミルカはハンターだし、ギルドマネージャーは集会所に問題が起こらない限りは、特に必要な身ではない。
奥の休憩室から聞こえる二人の高イビキに、ジョーイとジーコはイラッとしている。
そんな所まで「込み」で、よくある風景だった。
そんなカウンターの女の子達をマジマジと見ていたロウは、
「だ、大丈夫なの…?この集会所…。」
と、不安そうな顔で呟く。
「ああ。いつもの事だから。」
そんなロウの不安を、タロは笑顔で受け流した。
本来の集会所はハンターとモンスターとの「命」をかけたやり取りを仲介する、全体的に緊迫感のある場所だ。
恐怖に体を震わす者、強がりを高らかに叫ぶ者。
成功した者は心からの笑顔で酒を浴び、その隣では失敗した者が友の死に泣き崩れている。
そんな混沌とした、人の持つ感情が大きく出る緊張感のある場所だ。
そんな緊張をほぐすために必ず集会所には「飲み処」が設置されるが、それでも張り詰める空気は鋭い。
酒でそんな空気が誤魔化せる程、「吹き溜まり」となりやすいこの場所は甘い世界ではない。
二日酔いに苦しむ受付嬢とか…。
私の行く集会所ではあり得ないな…。
そう思うと、ロウは苦笑した。
リオが集会所の中央にあるテーブルに座ると、続いてロウも座った。
タロは二人が座るのを確認すると、リオに一声かけると下位の受付の所に行く。
そこでカイと何やら喋ると、紙を一枚もらいまたテーブルの所に帰ってきた。
「じゃあ俺はクエストに行ってくるから。」
タロはそう言うと二人に手を挙げる。
「ちゃんと早く帰って来るのよ?」
リオが念を押すように、声をかけた。
「解ってるって。」
そう言ってタロは苦笑いすると、今度はロウの方に向く。
「がんばれよ。」
タロが笑顔でそう言うと、ロウはカッと顔を赤くしながら下に俯いた。
「…。」
頑張れという声援に素直に応えられるほどには、まだロウも自分がアズにどうしたいのか解っていない。
そんなロウを見てタロは微笑むと、もう一度リオに軽く手を振りクエスト専用出入り口の方に向かって行った。
今日はまだ早朝なので、武運を祈る「笛吹き名人」はまだこの集会所には来ていない。
入り口の隣にある売店の子がタロに話しかける。
「タロさんお早うございます。毎日精が出ますね!今日はどこですか?」
売店の女の子がそうタロに聞きながら、足元に置いてあった何かしらの貝でできた笛を「よっこらしょ」と持ち上げる。
「お早う。今日は雪山なんだ。」
タロはその子にそう言って嬉しそうに微笑んだ。
「そうですか~。ご武運を!」
そんなタロの嬉しそうな顔にその女の子も微笑むと、笛に口を付ける。
プァ~プォ~
そんな音を合図とでも言うように、その笛の音が終わると同時にタロはその扉の向こうへ進んで行った。
13
タロのそんな嬉しそうな顔を見ていたリオは少しムッとした顔をしている。
そんなに一人で狩りに行くのが嬉しいっての!?
テーブルに頬杖をついて眉間にしわを寄せていたリオの顔を見ていたロウは、昨日から気になっていた事を考えていた。
物思いにでも耽るようにじーっとリオの顔を見ている。
そんなロウの視線に気が付いたリオは、
「な、何よ…。」
と、少し動揺しながら呟いた。
「ねえ。なんであんた達はくっつかないのさ?」
唐突にロウが聞く。
「え…。」
唐突に聞かれる質問の内容が直球すぎて、リオは思わず言葉を詰まらせた。
昨日から気になっていた事。
それはリオとタロの事。
二人を見てる限り、どうしたってお互い意識し合ってる事は解るのにこの二人はあと一歩を踏み出そうとしない。
今のロウにはそんなもどかしい関係に首を傾げるばかりだ。
お互いの望むモノが、あと一歩どちらかが前に踏み出せば手に入るというのに。
なんでそんな「簡単」な事をしないのだろう。
「あなたが一言言えば…お互い楽になるのに。」
ロウが想う事を呟く。
リオは少しの間黙っていたが、しばらくすると口を開いた。
「ロウは…もし三年前好きだった人に…三年後に会ってみたら『あなたは誰?』と言われたらどうする?」
頬杖を突きながら、リオは視線をタロが出て行った扉の方に向けたまま、意味深な質問をする。
「?何それ?」
質問の突拍子の無さにロウは首を傾げた。
「さらにはその好きな人が三年前と中身が全然違う人だったら…どうする?」
意味が解っていないロウに特に質問の意図を説明する事もなく、リオはさらに質問を重ねる。
「え…でもそれってもう別人じゃない…。」
質問の意図がまるで掴めなかったが、それでもロウは考えてみた。
「そうねえ…。でも見た目は一緒か。その人がどんな『別人』かにもよるよねえ。」
うーんと、想像を巡らしながらロウは答えたが、今一つリオの質問に具体性を持てない。
「もしその『別人』が、あなたの好みだったらどうする?」
リオはロウの方に視線を向けるとさらに質問を重ねた。
「好みだったら…!?え…うーん。あー…リオ!さっきからなんなの?その質問とあなた達がくっつかない事とどんな関係があるって言うのさ?」
もはやなんの想像もできないロウは堪りかねてそう聞き返す。
そんなロウを見ていたリオはフッと微笑むと、
「解らないよね…本当にさ。」
と、呟いた。
そしてさらにリオは言葉を続けた。
「さらにはさ…三年前の好きな人が『帰って来る』から待っててって…そんな気になる『別人』から言われたら…どうすればいいと思う?」
「…。」
ロウはもはや言葉も出せない。リオとタロの間に一体何があるのか、見当もつかなかった。
そんな困り果てたロウの顔を見てリオは、
「ごめんごめん。でもちょっとだけ…聞いてほしかったんだ。」
と言って改めて微笑んだ。
「それは…本当の事なの…?」
リオがこの手の事で嘘や過大な事を言うようにも思えなかったロウはそう聞き返す。
「本当なのか嘘なのか…それは私にとってはどうでも良い事なの。」
そう言うとリオはロウから視線を外した。
「ただ…その『別人』の言うように『時』が解決する事なのか…それともそんな『時』によってかけがえのない者を失うのか…その見極めができないだけ…。」
そう言うとリオは少し寂しそうに微笑んだ。
「リオ…。」
ロウはそんなリオの顔を見て、どんな状況にしろそれが「本当の事」なんだと悟った。
なんと言って良いか解らず、ロウは言葉を探しているとリオがさあ終わりとでも言うようにパンっと手を叩いて、
「朝っぱらからだけど…飲んじゃおっか!」
と、言って微笑んだ。
「え!?」
ロウがリオからの意外な提案にびっくりしている間にも、すでにリオは売店の女の子に声をかけていた。
「すいませーん!フラヒヤビール二つ!!」
集会所編5へ続く