刑事事件の判決が出ると,しばしばヤフーのコメント欄などに,「刑が軽すぎる!」「どうして執行猶予がつくのか?」「死刑にせよ!」などといったか書き込みが見られます。特に被害者が亡くなられたケースではそうです。
確かに,一般市民の方の感覚からすれば,犯人が数年で社会に出られるとか,ましてや刑務所に行かなくてよいというのであれば,「人を死なせておいてそれはないだろう」という気になることが多々あるかと思います。司法の場でも,そのような素朴な感覚を尊重することは大事だと思います。
ただ一方で,一般人の感覚ばかり目をやっていると,必ずしも望ましくない結果が生じることもあります。それが極端な形で現れたのが,過去のいわゆる魔女狩りや,(現代でも絶無とはいえない)人民裁判のようなものでしょう。
被告人への重罰を求める意見にも理由はあると思いますが,そのような発言をされる方は,果たして自分(あるいは親しい人)が裁かれる立場になった時のことを少しでも考えておられるのかなと疑問を感じることもあります。
「自分は犯罪など犯さないから,刑事裁判は関係ない」というのが多くの人の感情でしょうか。しかし,人は弱いもので,ふとしたことから人生の陥穽に落ちることもありえます。また,交通事故のように過失で人を死傷させる可能性や,あるいは冤罪に巻き込まれることも全くないとは誰が言い切れるでしょうか。
さらに,刑事政策的には,罪を犯してしまった人にも立ち直りのチャンスをできる限り与え,社会の一員として復帰できるようにしようという観点も必要です。
このように,司法の場では,一般市民感覚だけではない,多様な観点からの考慮が必要なのです。ですから,判決を批判することは当然自由ですが,そのような結論が出された背景をしっかりと考えた上での建設的な批判をしたいものです。