これからしばらく,遺言の種類についてお話をします。
遺言の作成は,法律の定めに従った方式によることとされており(普通方式3種類,特別方式2種類のいずれか),これに反するものは無効とされます。
これからしばらく,遺言の種類についてお話をします。
遺言の作成は,法律の定めに従った方式によることとされており(普通方式3種類,特別方式2種類のいずれか),これに反するものは無効とされます。
人が亡くなった後,(故人が私の父のように「児孫の為に美田を買はず」という西郷南洲の教えを守った人であれば別ですが)たいてい出てくるのが,相続に関する問題です。
故人がそれなりの財産を残しておれば,それはしばしば骨肉の争いとなって,見るに忍びない惨状を呈します。
故人が遺言を残していない場合はもちろん,何らかの遺言を残していても,作成当時の判断能力等を争う相続人がいると,紛争は長期化し,肉親間の関係は冷え切ってしまいます。
これは何も,もともと仲違いしていたような肉親・兄弟姉妹に限りません。それまでは割合仲良くしてきた親族が,遺産相続をきっかけに急速に関係を悪化させることも珍しくないのが現状です。そのような現象は昔からあったようで,一茶の『父の終焉日記』のように,その辺りの消息を記した文学作品もすでに江戸時代に生まれています。
このような現象が起こる背景としては,相続人の中に明らかに悪意のある人物が存在するケースもありますが,人の認識・記憶の曖昧さが挙げられることが少なくないでしょう。亡くなった人のある時点での判断能力につき,長男が「親父はしっかりしていた。」,次男が「いや,もうあの頃はほとんど何もわからなかった。」と法廷で争うのはよくある話ですが,真実は,故人は日によって体調や判断能力にバラつきがあり(レビー小体型認知症や,脳血管系の疾患の場合,そういった症状は珍しくありません。),長男は父親の調子の良い日のイメージが強いため,最期まで一貫して頭脳明晰であったという印象を残しており,それに対して次男は父親の調子の悪い日のイメージばかりが残っているということも少なくないでしょう。経済的な利害が絡むと,自らの利益に合致する記憶(≒主観的真実)が形成・強化されていくものです。
このような争いを避けるため,法的に意味の通る遺言書を作成し,それが正常な判断能力のもとで作成されたことを公的に証明してもらうことが大事だといえます。
そのためには,遺言の中でも公正証書遺言が一番おススメです。
一時と比べて,すっかり下火になった感のある過払金返還請求ですが,まだ返還請求は可能です。
平成22年の貸金業法改正で,いわゆるグレーゾーン金利が撤廃された後も,それ以前から取引を始めていた方については,従来どおりの利率が継続しているケースもありますし,以後は利率を下げても,それまで利率が高かったこともありますので,なお返済を続けている人の場合,過払金が発生している可能性はあるのです。
利率を下げた際に,それまでの経過を利息制限法の範囲内で計算し直した業者はないかと思います。
おおむね,平成10年代までにいわゆる消費者金融業者との間で取引を始め,今も返済中,もしくは完済から10年以内の方は,過払金返還請求ができる可能性があります。
ですから,心当たりのある方は弁護士に相談されることを ぜひお勧めします。
昨年・一昨年あたりでも,100万円の過払金を回収できたケースは,私の担当したものでもいくつもあります。
完済から10年を超えてしまいますと,借主の返還請求権が消滅時効にかかってしまいますので,お早めに着手されることをお勧めします。
交通事故により人を死傷させた場合,「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」5条に規定された過失運転致死傷罪が成立します。以前は刑法の業務上過失致死傷で処罰されていました。
さて,それではこの過失運転地致傷罪で実際に起訴されるのは,どのくらいの割合かといいますと,だいたい10%前後です。人身事故の加害者のほぼ9割が,罰金刑にもならずに済んでいるというのが実情なのです。
過失運転致死傷罪は「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は,七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。」と規定されており,この規定と刑事訴訟法248条の起訴便宜主義「犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは,公訴を提起しないことができる。」から,多くのケースで起訴猶予となっているものと思われます。
起訴となるのは,相当の危険運転である場合,同種の前科がある場合,結果が極めて重大(死亡や重篤な後遺症など)な場合,加害者の過失が大きい場合,賠償の見込みがない場合などが考えられます。
過失の大きさに関しては,相手方が被害者にも相当過失があると主張してきた場合,相手方が(それほどの悪質運転でもなく,同種の前科がないにもかかわらず)罰金に処されている事実を指摘し,訴訟やADRを有利に進めたことがあります。