「家事従事者」といえば,通常は「主婦」つまり女性であるとされます。しかしながら,昨今では価値観や家族形態の多様化に伴って,「主夫」(英語ではhousehusband)も増加し,また高齢者の介護のために壮年男性が離職・休職したり,老々介護で高齢男性が高齢の奥様や姉妹の世話をするという例も少なくありません。

 

そのような場合,男性がその世帯の家事労働の中心となるわけですが,それではその男性が(現金収入がないか少ないとして),交通事故等の損害賠償の局面において,「家事労働者」としての休業損害ないし逸失利益を認められるかということが問題となります。

結論的には認められ得るといえますが,世帯構成がどうなっているか,家計はどこから調達しているか等といったことから,当該男性が家事労働の中心にならざるを得ない事情,家事労働を中心的にやっている実態を詳細に立証しなければならず,女性の場合と比較して立証のハードルは高いというのが実感です。

 

私の経験では,軽度認知症の父親と二人暮らしの壮年男性について,家事従事者と主張して賠償請求をしたことがあります。小規模な自営業を営みながら,その収入(少額のため,確定申告もしていないようでした)とお父様の年金とで生活をしていたように記憶しています。

結果としては,女性全年齢平均の8割程度で計算した休業損害・逸失利益が認められましたが,相手方の反論も相当あり,立証のハードルの高さを感じました。

以前,現代人の精神年齢は,昔の人の7割くらいだろうという話を聞いたことがあります。誰が言い出したのかはわかりませんが,確かに20,30代で一国の存亡にかかわるような大事業を成し遂げた幕末・維新の頃の偉人豪傑と,もうすぐ40歳を迎えようという私とを比較すると,なるほどと思わされます。

現代人一般はともかく,少なくとも私には当てはまる話のようです。

 

それでは,と私は最近,逆に考えるようになりました。「それならこれからの中年・熟年,俺は実年齢の7割くらいの若さ(精神・肉体とも)を維持してやるぞ!」と。

この計画が成功すれば,私は100歳,少なくとも90歳くらいまでは十分現役として社会で活躍できることになります。逸失利益の計算でいう就労可能年齢の終期(67歳)時にはまだ40代並のエネルギーを保っています。

それでは,この計画をどう実現するかということですが,何も特別な薬や器具は要らないように思います。どうやら人間の脳は,思い込んだことを実現するメカニズムを有しているようですから。

人の本来の寿命は125歳くらいということですから,少なくとも90か100までは現役でいられるだけのポテンシャルは持っているはずで,その点からしても決して無理な夢物語ではないはずです。

 

人は何歳まで生きるか,いつ死するかはわからないものです。しかし,生きている限り元気溌剌と,日々向上を重ねたいと考え,40歳を前に,かく決意するものです。

これで一つ,惑いが減ったようです。

私の大学時代頃から(あるいはその少し前から)、主要な法律の改正が相次いでいます。
ざっと思い付くだけでも、次のような感じです。

平成7年 刑法現代語化
平成10年 改正民事訴訟法施行
平成17年 民法(財産法)現代語化
平成18年 会社法施行

この他にも、裁判員制度が平成21年にスタートしましたし、民法の法人に関する規定が独立した法律となり、刑法の自動車運転に関する犯罪が独立した法律となるなど、六法全書は年々、めまぐるしく変化しています。

わが国は伝統的に(ひょっとしたら律令の昔から)、法令は通常さほど動かず、判例や運用によって現実に適合させるということが広く行われてきました。
この20年ほどは、そのような微温的なやり方ではカヴァーしきれない程の大変動期なのか、わが国古来のやり方が変わりつつあるのか、はたまた不必要・拙速な法律改変が多過ぎるのか、慎重に考えることも、時として必要でしょうね。

この判決も,もう6年くらい前のものですが,不法行為をメインにやってきた私としては,あまり注目していなかったものです。

今回,ふと気づいて改めて読んでみると,これからの仕事では,債務不履行を理由として賠償請求する場合でも,「平成24年判決の射程範囲ないか?」を絶えず年頭におき,事案の性質や主張立証の困難さ,不法行為との類似性などによっては,積極的に弁護士費用も請求内容に入れていくべきと思います。

 

確かに,不法行為か債務不履行かという形式的な法律構成の違いによって,一方は弁護士費用OK,他方はNOということでは,不公平・不合理ですから,判決は良いところを突いたものだといえますね。

ぜひとも近いうちには主要な解説を読んで,きっちりと分析・検討したいと思います。

不法行為による損害賠償請求訴訟の場合は,弁護士費用は損害になるということが最高裁判例(昭和44年2月27日判決(民集23巻2号441頁))として確立されています。同判例は,わが国の現行法は弁護士強制主義を採ることなく、訴訟追行を本人が行なうか、弁護士を選任して行なうかの選択の余地が当事者に残されているのみならず、弁護士費用は訴訟費用に含まれていないのであるが、現在の訴訟はますます専
門化され技術化された訴訟追行を当事者に対して要求する以上、一般人が単独にて十分な訴訟活動を展開することはほとんど不可能に近いのである。従つて、相手方の故意又は過失によつて自己の権利を侵害された者が損害賠償義務者たる相手方から容易にその履行を受け得ないため、自己の権利擁護上、訴を提起することを余儀なくされた場合においては、一般人は弁護士に委任するにあらざれば、十分な訴訟活動をなし得ないのである。そして現在においては、このようなことが通常と認められるからには、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである。」と判示しており,これを受けて不法行為においては,損害額の1割程度を弁護士費用と認めるというのが,下級審でも一般的な立場となっています。

 
これに対し債務不履行の場合,これまでは弁護士費用を「損害」として認めないのが一般的でしたが,平成24年になって,画期的な判決が出ています。
就労中に事故に遭って負傷した労働者が,使用者の安全配慮義務違反によって上記事故が発生したと主張して,使用者に対し,債務不履行等に基づく損害賠償を求めた事案ですが,最高裁は安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求権につき,「労働者が主張立証すべき事実は,不法行為に基づく損害賠償を請求する場合とほとんど変わるところがない。」とした上で,「労働者がこれを訴訟上行使するためには弁護士に委任しなければ十分な訴訟活動をすることが困難な類型に属する請求権であるということができる。」とし,「労働者が,使用者の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請求するため訴えを提起することを余儀なくされ,訴訟追行を弁護士に委任した場合には,その弁護士費用は,事案の難易,請求額,認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り,上記安全配慮義務違反と相当因果関係に立つ損害というべきである。」と判示しています(最高裁平成24年2月24日判決(集民240号111頁))。そこで,前記昭和44年判決を引用していることにも注目すべきでしょう。
債務不履行全般につき,弁護士費用を認めたものではありませんが,事案の困難性・訴訟の専門化を踏まえて弁護士費用を「損害」と認めたものです。債務不履行と不法行為は重なり合う部分も多いため形式的に請求原因だけで弁護士費用の請求の可否を断ずるのではなくこのように柔軟な立場で判断した判例の立場は妥当なものといえるでしょう。