鹿児島県大崎町で昭和54年,男性の遺体が発見され,男性の義姉などが殺害犯とされた「大崎事件」について第3次再審請求が行われてきましたが,本日,福岡高裁宮崎支部が昨年6月の鹿児島地裁に続いて,再審請求を認めました。

男性の義姉で犯人とされた原口アヤ子さんは満90歳と高齢で,共犯者とされた方々はすでに故人です。

第1次,第2次再審請求において,いずれも地裁は再審請求を認めていること,殺人事件ではなく事故死である可能性を指摘する鑑定結果が出ていることなどからしても,検察庁におかれては特別抗告をされないよう,(直接関係はしていないにせよ)法曹関係者の一人として,国民の一人として,否,一人の人間として私からもお願い申し上げたいところです。時間の空費は許されません。検察庁において主張されたいところは,再審の法廷で述べられればよいはずです。

 

大崎事件は昭和50年代のことですが,平成に入ってなお,冤罪が判明し,あるいはその指摘がされている事件は少なくありません。警察・検察庁・裁判所はもっと,犯人ではないかと疑われる人の言い分に,虚心坦懐に耳を傾けられるべきでしょう。

わが国の警察の捜査能力は高いとされます。また検察官は公訴提起について専権を握り(刑訴法247条,248条),無罪の可能性があり,あるいは処罰の必要性なしと判断した案件については不起訴とします。その結果,裁判所においては99.9%の有罪率とされているのです。

このようなことから,警察は逮捕した人物を「犯人」と推定し,検察官はそれを受けて有罪の方向から裏付けを積み重ね,さらに裁判所においては心証的にほぼ有罪確定となってしまってはいないでしょうか。いわば刑事司法関係機関が「無罪慣れ」していない(?)のではないかということです。

無罪慣れしていないのなら,より一層,無罪の可能性がないかを慎重に見られたいと思うものです。

 

今日、3月11日は東日本大震災から7周年です。
日本の災害史上、最大レヴェルの災害で、今もなお苦しんでいる方が多数おられます。
私は震災当時司法修習生で、三重県の津市におりました。津市でもかなりの揺れを感じ、その直後テレビに10メートルを超える津波情報が流れたのを、大変な驚きと恐怖感をもって眺めたのを覚えています。

東日本大震災の後、弁護士と関連することとしては、原発の差止訴訟や、原発事故に対する補償問題、また津波により犠牲になった小学生の遺族が、学校を運営する自治体に提訴したケースなどがあります。
社会的に関心を寄せられた事件ですが、何といっても、亡くなった方は返らないこと、なお苦しむ方は多数おられることは揺るぎない事実です。
ここが一番肝心なことだと思います。
不法行為に基づく損害賠償請求をする場合、不法行為の日(交通事故なら事故日)から年5%の遅延損害金の請求ができ、さらに損害額元本の1割を弁護士費用として請求できるという話は、結構有名なようで、相談者の方からも言われることがあります。

ただし、遅延損害金や弁護士費用は、あくまでも訴訟になった場合に請求できるもので、それも和解で解決する場合、全額までは認められないのが通常です。
そのため、損害額が大きいケースでは、判決になる場合と訴外の示談で終了する場合とで、非常な差が出ることがよくあります。訴訟で判決にまでなる場合、事故日から数年経過していることが多いため、その差は尚更大きくなります。
例えば、元本が5000万円で判決までに4年経過している場合、判決額は5000万円×1.1×1.2=6600万円となり、訴外和解よりも1600万円もの増額となります。
自賠責に後遺障害についての被害者請求を行う際には、相応のエネルギーを要します。

まず、事故にかかる全ての診断書、診療報酬明細書を集め、医師(通常は主治医)に後遺障害診断書を作成していただき、撮影した画像を揃え、事故証明書を取り付け、事故状況報告書を作成する必要があります。
これだけでもかなりの作業であることがお分かりいただけるかと思いますが、さらに画像に関する意見書を書いていただいたり、事故状況に関する刑事記録を取り寄せ、添付する必要があることも珍しくありません。
主治医に状況説明をするため、医師面談をすることも少なくないところです。

このように、専門的、技術的な判断を伴う作業が相当量になるのです。
所要時間からしても、13級以下なら3万円というのは、些か酷に過ぎるのでは、というのが実感です。
自賠責保険に対して弁護士費用が被害者請求を行う場合、後遺障害等級獲得の可能性を高めるため、様々な調査、資料の収集・分析をするのが通常です。そのため、かなりの労力を要することも少なくありません。

ところが、これに対する弁護士費用は、日弁連の旧規程では基本的に経済的利益の2%(150万円以下の場合3万円)と極めて低額で、弁護士費用特約から支払われる基準額もこれに準ずるということが通例です(いったん非該当になった後に異議申立を行い、奏効した場合は別ですが)。
弁護士費用特約の担当者からも、14級なら3万円にして欲しいと言われることが多いです。

これは、自賠責保険への請求を、簡単な事務手続のように捉えたためであると思われます。
実際には、かなり複雑な事案や難度の高い事案も多いのですから、損保会社には、実態を踏まえた費用を考えていただきたいと思います。