身体の使い方 梃子(てこ)の原理 | PTイワマの探究日誌

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PT(理学療法士)イワマが
『人の心と身体を動かすセラピスト』としてどう歩むべきか考え、感じたことを記すブログです。

今日はセラピストらしく
徒手的介入時の身体の使い方について書きたいと思います。
主題は指先の力に頼る弊害です。


梃子の原理…
学校で習いましたよね。
力点支点作用点の3つで構成される力学の話です。
小さい力で大きな作用を生むこともできれば、その逆もできます。

今回はこの仕組みと身体を関連させて正しい身体の使い方を考えていきます。


リハビリセラピストは身体の梃子と聞くと関節と筋肉の話を思い浮かべるかも知れません。
僕が今回取り上げたいのは力と意識の使い方です。

先の梃子になぞらえると
力点:力源
支点:相手との接触点
作用点:評価・治療箇所
になります。
意識はそれぞれの点を調整する役割を担います。

3点の大まかな並びは①・②の腕を挟んで
『力点(自分の身体)ー①ー支点(接触点)ー②ー作用点(相手の身体)』
です。

この梃子をどう臨床に当てはめるかですが、
物理的な前提として
・力点がブレると作用点がブレる
・①が短いと作用点のブレが大きい
・『作用点のブレ/力点のブレ=②/①』
があります。

臨床では主に①の長さと位置が重要になります。(②の長さは変えづらく、話が別方向に行きそうなので省略させていただきます。)


例として、手で相手の皮膚を押す場合を見ていきます。

指先に力が入ると、感覚が雑になったり、相手が緊張したりすると言われます。

感覚が雑になるのは、筋肉の硬さのために感覚受容器が働けなくなったり指先の意識が邪魔したりといった理由があります。

相手が緊張するのは、指先の硬さ指先(力点)のブレが原因です。力点と支点が近い(数mm~数cm)ので指先のブレがダイレクトに相手に伝わります
指先の力を抜いて上肢全体や体幹から相手を押せば力点と作用点が上肢の長さ(数十cm)まで延長され、ブレは非常に小さくなります


指に伝える力をどこで調整するかで
力学的に大きな違いが出てきます。
もちろん意識の向け方も関係してきますね。

本日は最後までお付き合いいただきありがとうございました!