同僚の70代女性作業員が

作業中に80代と思われる女性に

道を聞かれた時にオバサンと言われて

ムッとしてしまったと

なんの気無しの雑談で話していた


おそらく周りからすると

おばあちゃん同士の和やかな触れ合いに

見えたであろうその光景の内側を

期せずして知ってしまい


職場では

年齢の話を絶対にしないと

心に決めた昼下がりの

ミーティング


話を面白くする為に

大袈裟な言い方をしただけかもしれない


しかしミーティング時に

いつものように

今日は何か問題はありませんかと

責任者から決まり文句の

質問に対するその一言で

その場の雰囲気が和み

今日も平和だと思いながら

みんなそれぞれの場所へ

残りの作業をする為に散って行く


先日ご主人を亡くした

別の70代作業員が

長く休んだ事への謝罪と

おしどり夫婦だったらしく

ご主人を亡くして一人になった

寂しさを語りしんみりした

その空気を一変させる

見事なエピソードだった


ご主人を亡くした作業員が

一足先に作業へと出発した後に

他の作業員達の会話の中で

その作業員の女性は

ご主人大好き夫人なのだと

付き合いの長い副主任が話し出し


前に私は主人の為に

生きているなどと話すほど

仲の良い御夫婦だったから

急に一人になって寂しかろうと話すと

50代の女性主任が一言

私には一生縁の無い感覚だと言うと

そりゃそうだの大合唱


亭主元気で留守が良いし

家に居るなら私が出掛けると

80代とおぼしき御婦人に

オバサン呼ばわりされた70代の

女性作業員が言うと

ワッハッハとみんなで大笑い


ご婦人方のお喋りとは

猫の目のように情緒が移り変わり

女心と秋の空とは

そういう事かと妙に納得し

一人しんみり気分を引きずりながら

残りの作業へと向かう

私の情緒に秋の風が吹き抜けた