2018・11・3 碓井川の遡行 | 高橋 丈のブログ

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山を登るということ、辛い時の方が多いかも知れません。
でも、頂上で交わす握手や笑顔は代えがたいものが有ります。

日帰りハイキング、夏山縦走、雪の山、
色んな山について、ここで紹介したいと思っています。

朝、まだ暗いうちにジャケットを着こんで車に乗る。

今日の前橋市の最高気温は19℃と予報、

関東地方は高気圧の真下、

登山にはうってつけの気象状況。

 

ただ、今日は沢登り、

流れる水温が気に成るところです。

 

紅葉狩りの車は殆んど無く、

気温は13~14度くらいだったかも知れません。

空は明るく光ってますが、

碓井川の谷底はうす暗く、やっと朝の気配に包まれた雰囲気、

厚手のジャケットから薄手のジャケットに着替えて行動開始です。

 

谷間の沢は、ナメ床に白く波を立てた姿、

水門のある入渓点まで歩き、遡行開始です。

沢靴にしみ入る水は冷たく、

空気もひんやりとした状態で、

堰堤を越えれば、すぐに手袋と沢靴は泥にまみれ、

靴の泥を落とすように、また水の中を進み、

綺麗なナメ滝は

透明な水を一層際立たせるように岩肌に透き通っていました。

 

小さな滝は次から次へと姿を現し、

越えるたびに次の滝に目を奪われることの繰り返しです。

 

 

遡行を続けているとこんな景色が現れたりします。

 

 

奥の岩門をくぐって見えてきたのは3mほどの滝、

まだ寒いので直登は避け迂回です。

沢登りは登山道を登ることと違い、

またクライミングルートとも違い、

沢のどこを歩いても滝のどこを登っても構わないのです。

自分の登りたいところ、

仲間の技術を考慮して自分たちの選んだ場所を登ることが出来ます。

そんな自由さは・・・

毎回、自分を子供の頃へと引きもどしてくれ、

木登りをして楽しんだように、はしゃいだ自分に成ります。

 

参加されたKさんも・・・

「次から次へと色んな滝が現れ、飽きないですね~!」

・・・と笑顔が嬉しそうです。

隣に見えている草をワシ摑みにして越えて来ました!

何でもありの世界です!(ロープで確保はしています。)

 

「まだまだ谷は深いから、先は長いです。

              この辺で小休止をしましょうか?」

陽が射しこんだ所で、倒木に腰を降ろして・・・

温かなお茶など飲みながら一休みです。

 

登山の大敵は「濡れ・冷え・風」と言いますが、

沢登りはその濡れることを承知で入山します。

その濡れを差し引いても楽しい魅力があるからですね!

 

積もった落ち葉の上に居ると

沢靴の中が少し暖かくなって来るのが分かる感じでした。

陽の光も沢底へ射し込み始めています。

沢登り最中にくねくねと曲がった流の奥は?

あの滝の上の景色は?

毎回想像して、ワクワク感がつのります。

右を見たり左を見たり、忙しいほど目を奪われ、

「オットット~ッ」・・・とバランスを崩すこともあったりします。

 

遡行開始から3時間ほど・・・

11時頃だったでしょうか・・・

「そろそろ、お昼休憩しますか?」

テントを張ってのんびりコーヒーなど飲みたくなるような場所です。

陽射しもあり、色とりどりの紅葉もあり、

適当に美味しいコンビニのおにぎりと菓子パン。

このお昼の食材を何とかしたい気持ちだけは、

何年も続いてます。

 

「秋の夕日に照山紅葉・・・・」

「渓の流れに・・・散り浮く紅葉・・・」

こんな童謡も思い出させてくれます。

 

サラ~とした風に乗り、ひらひらと木の葉も舞って・・・

なんといい感じでしょうか!

私が詩人なら、

この情景を活字に置き換えることが出来るのですが・・・

秋は凡人を芸術家にまでは、してくれません。

 

時折、地図とコンパスなど確認しながら遡行は続き、

Kさんは・・・

「そうなんですか~!な~るほど!何だか面白い!」

と感心したり、頷いたり。

 

 

 

やがて渓相は上流部の景色となり・・・

 

「秋の小川は~サラサラ流れ・・・」となって

木々の葉も落ちた明るい林になって

私達の約5時間の沢旅も終わりに近づき

尾根に飛び出ると

そこは歴史の中仙道の碓氷峠です。

そして、すぐ鼻曲山の登山口、

そして碓井峠の終わりの軽井沢の宿場町

少しばかり贅沢をして、

悲しい菓子パンからあんころ餅の「力餅」へと変わり

一休み!

 

帰りは・・・峠道を下って紅葉など楽しみ、

古道を楽しむ皆さんと一緒に話をしながら、

一気にめがね橋へと戻って来ました。

古道を楽しむ皆様が想像以上に多いですね!

 

 

好きな本にの一節に・・・

「盛んだった日々に別れを告げる自然の宴。

この区切りがあればこそ、季節は冬に切り替わるのだ。」

・・・と紅葉(こうよう)を書いた文章が思い出されます。

「裏山の博物誌」に三宅 修はこんな文章で綴っています。

 

今回は・・・

今年最後の沢登りでした。

沢旅と伝えたい気分です。

滝の上の景色、曲がった先の景色、

そして見上げるたびに移り変わる木の葉

渓相、滝、水流、空気、光、尾根・・・

約5時間の沢旅、そして2時間の碓氷峠・・・

1日たっぷりと自然の恵みを享受し、

心がゆたかになった心持で下山してきました。

 

こんな秋の沢登りも良いもんです!

山は色んな楽しみ方が有りますね。

やっぱ、沢もいいもんですよ~!

 

 

・・・・

登山・トレッキングのガイド「風」  (HPも宜しくお願いします。)
 

・・・
風」のガイドプラン ← (こちらも宜しくお願いします。)