今日という日 | 高橋 丈のブログ

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山を登るということ、辛い時の方が多いかも知れません。
でも、頂上で交わす握手や笑顔は代えがたいものが有ります。

日帰りハイキング、夏山縦走、雪の山、
色んな山について、ここで紹介したいと思っています。

先日来、時間を見計らってはネットの記事を確認し、
周辺の氷瀑の発達状況を確認した。
暖冬で発達が遅れているか心配だった。


車は順調に走り、
忘れ物はないか思い出すようにザックの中身を確認する。
いよいよ国道を外れ、曲がりくねった林道へとハンドルを切る。


道路わきには溜まった雪の山が連なっている。
殆んどすれ違う車も無い道
路面の雪を避けるように走って行く。


一瞬後輪が横滑りした。
路面も氷結している。
緩い登りのカーブを曲がると長い直線だ。
ズルズル  アクセル操作によっては、後輪が空回りしている。
慎重にアクセルを緩めず直線を登る。



だめだ!

止まる。

ズルズルっと回転する後輪
失速して、直線状に停車する。


SMさんと顔を見合わせる。
何度かそっとアクセルを踏んでも同じこと。
下がり始めてる。

ハンドルも効かない。
車は路側の雪の山に後輪を乗り上げるように停止した。


2年前の八ヶ岳の阿弥陀岳広河原へ向かう登りの直線でのことを思い出す。
あの時もツルツルの路面だった。

あの時の失敗が生かせていない。
同じことの繰り返しだった。

斜めになって停止した車。
ツルツルの路面

真っ暗な闇
気温マイナス3度
携帯は繋がらない
八方ふさがりだった。

ダウンを着て歩いて電波の届く場所まで、道路端を歩く。

業者さんが来てくれたんは夜中の1時過ぎだった。
雪を掻いてくれて、雪から脱出、
歩く速度の半分以下で、バックする。
やっとツルツルの道路から脱出したら2時だった。


道の駅でテントを張って一晩過ごした。
記憶をたどって群馬のゲレンデでアイスクライミングとする。


目標にしていたアイスルートは、
私の雪道走行準備不足で断念することになってしまった。
それは予想で来たはずだった。
SMさんはそれについては一言も言わなかった。




テントの外は明るい。
停車している大型トラックのエンジン音で目を醒ました。
7時、昨夜遅くなって食べたカップ麺のお蔭で、食欲も無い。
甘い紅茶を飲んで目を醒ます。

寝袋を畳むと腿の辺りは寒い。
思い切って外に出てテント撤収。



また両サイドが雪の山の道を走る。
ようやく到着した駐車場では、気が盛り上がらない。


行動食の甘い菓子パンをお湯で流し込む。
雪面がまぶしい。



高さ20mも満たない氷瀑を二人で交代で登る。
そして少し位置を変えて、また登る。
今日の目標としていた氷瀑を登るような思いでまた登る。
薄氷と岩の隙間にピックを刺しこんでそっと体重を掛けて登る。
ガツンと蹴りこまず、チョコンとアイゼンを蹴り、
限界値を確かめるように薄氷の上に体重を乗せる。
右手のバイルにぶら下がって、じっと体重を掛けて、
忍の字を思い出したように耐える。

小さな氷だったためか、自由に使うことが出来た。
私の準備不足で、失った1日を補うように登った。
SMさんも登って登って登った。


氷のルート終了点で握手できなかった今日という日

私の失敗の上にあるこの時間、この日

送って行った駅で・・・
「それじゃ次の山行で!」、とSMさんは笑顔で手を挙げてくれた。




次の山行か~!


既に二人の次の計画は決まっている。
頑張るか~!