さっきからずっと真っ白な平原を彷徨っている



だが方角を完全に見失っているわけではない


どっちへ行けば良いのか


微かに仲間の残した


匂いというか雰囲気で


それ以上そっちへ行っても無駄だとか


そっちへ行ったら危険だとか


不思議とわかっていた




その日の朝


歯を磨いているときに


佐々木浩一は鏡に映った自分の顔の横に


何かぶら下がっているのを見た



それはよく見ると猿梨の実のようだった


それを掴もうと横を向いて見た時に


それはもうそこにはなかった


それで、もう一度鏡を見ようとしたら


だだっ広い真っ白な平原に


ポツンと立っていたと言うわけだ



やがて浩一は真っ白な平原の端まで辿りついて


草の塊が規則正しく幾千も並ぶ道へ出た



そこで仲間に自分の位置がわかるように


頭と手足についている匂いを擦り付けた瞬間



空が急に暗くなり


何か巨大な塊が落ちてきた



それはいきなりの事だったが


浩一は意外と冷静にその状況を受け入れた




身体のどこかを微かにくすぐられるような


寝苦しさで思わず起き上がった



浩一は側にあったコロコロで


いつのまにか足の上を這っていた小さな蟻を


捕まえた