車の中の温度計は39度を表示していた
県道のちょっと広い場所に
車を停めて外に出ると
鮮やかな緑と抜ける様な青空
家畜の餌の保存用サイロも
くっきりとその形を浮かび上がらせている
このところ視力が落ちている私にも
はっきりとわかるそのフレイムは
AIの作った光景の様に美しく
シャルダンの静物画の様にまるで現実以上に
リアルに見えた
蜃気楼が見えそうなうだった道を
トボトボ歩いて得意先に届けものをして
車に戻って来てエンジンをかけ
吹き出し口から出てくる冷たい風を
顔に当てている
なんだか全ての事がどうでも良くなって
僕は座席のシートを倒して
そのまましばらくじっとしていた
良い天気で
ただ目の前の風景が美しすぎて
そのくっきりとしたフレイムを
何故かどうして現実と受け入れられず
僕はただ茫然と
まっすぐ目の前に伸びているアスファルトを
見つめる事しか出来なかった

