しばらくの間に涼太とクロは
しっかりと相棒になったようだ
今日も横風の吹く農道を駆け抜けて
隣町と家を行ったり来たりしている
神主さんは
自転車を約束通り大事に使っている涼太を
さりげなく可愛がってくれた
神社は好奇心旺盛な子どもにとっては
ワンダーランドだった
巨大な洞穴のある御神木
社の裏手に回れば年頃の男女が
何やらあやしい雰囲気でいるところに出会し
胸がドキドキしたり
神主さんに賽銭箱のカラクリの開け方を
見せてもらったりした
そして今日は
施設で暮らしている涼太の祖父が久しぶりに
家に帰って来る日だった
いつもの様に
施設の名前の入ったミニバンから
付き添いの人とゆっくり降りて来た祖父は
玄関の横に置いてある自転車を一目見て
立ち止まったまま
家に入るのも忘れて立ち尽くした

