川辺の家で


母とふたり暮らしをしているその少年は


最近どこからかやって来て


よく川の側で油絵を描いてる


小柄な東洋人の事で頭がいっぱいだった




その青年はこの町の兵役あがりの


荒っぽい男達とは違って


虫も殺さない様な


静かで優しげな雰囲気をしていた




そして


その青年は自分の体格に合わせた


11歳になったばかりの


少年でも乗れそうな


小ぶりな黒い自転車に乗っていた




少年はそのピカピカの自転車を


一目見た途端、恋に落ちた






少年の家の近所の


二階の扉の青い家の入り口の横に


その自転車はよく立てかけてあった




その自転車がある時が


青年が部屋に居る証拠だった




だからそこに自転車が無い時は


そこら辺の川辺を探してみる


するとたいがいその青年の姿を


見つける事が出来るのだった




少年がそっと近づくと


青年は時々話かけてくれたりするが


まだ、ちゃんと話をするのは照れ臭い




だが、きっといつか友達になって


あの素敵な自転車に


乗せてもらうつもりだった