『カンブリア宮殿』(2024年5月23日放送)「賛否両論でファンを獲得 バーガーキング復活劇の舞台裏」

(1)超特大バーガーに「賛否両論」?
 



デカ過ぎるハンバーガー(バーガーキングで呼ぶところの「ワッパー」)に「反対意見」があるってどういうことなんだろう?
大好きなメニューがなくなるというなら、「やめないでほしい」とそれに「反対」するのはわかる。

でも、食べたくないメニューなんて、注文しなきゃいいだけの話じゃね?
「こんなん誰か食うねん? 顔見たいわ」――そのようにリアクションするのがせいぜい。わざわざ「反対」はしない。たぶん大コケするだろうけど、やりたいのならお好きにどうぞ――。食べろと強制されるわけでなし――。

やっぱり、熱心なファンなんだろうか? 愛するバーガーキング様が、こんなメニューを出すのはゆるせない――みたいな?
河合奈保子ファンのワタシに置き換えれば、奈保子さん、ベッドシーンだけはやめてください――みたいな?

(2)熱心なファンの「歪んだ愛情」

熱心なファンというのはどこにでもいて、全メニューを食べ尽くすことを己れの神聖な使命と考えていて、それでいて気に入らないメニューに対してはシリアスに激おこしてしまう。
挙げ句、好きだからこそ厳しいことを云わせていただきます――などと、当事者にとっては迷惑千万、鬱陶しいことこの上ない発言をする、自称「愛好家」が。

「アンチ」と呼ばれる人々――。それは自分がそうであることを明確に自覚して、敵意に基づいて「攻撃」を仕掛ける人ももちろんいるのですが、一方で少なからず、もしかしたらそれを上回る割合で、こうした歪んだ「愛情」の持ち主なのかもしれません……。

あなたのためを思って、云っているのよ!?
……いらんわ。っていうか、あんた誰?


(3)偏愛の宿命、偏愛の器量

自分にとって「それ」が、どれほど大きな存在であって、精神的比重を占めていようと、当事者にとってはただのワンオブゼム。ワンオブゼムでしかない者の身の処し方については、以前に愚見を述べておりますので、よろしければご覧ください。

 


グッズのコレクションなど顕著な例だと思いますが、「コンプリート」を目指すなら、そこには宿命として、「くだらないもの」「つまらないもの」が、必ずといっていいほど混じってくるものです。

「おれ、こんなものまで買っちゃったよ……」
「集めちゃってるよ……」
そうやって、そのことを自ら半笑いで愉しめるぐらいの器量がないのなら、そもそもその道を志すべきではありません。

「こんなくだらないものを出すな!」「売るな!」
そうやってマジで真剣に怒ってるひと、あちこちで見かけませんか?
そういう人は、偏愛に向いていません。時間の無駄、お金の無駄なので、とっととやめましょう。自分自身が不幸になるだけでなく、けっこう周りにも迷惑をかけています。
「コンプリート」への執着を棄て、「自分にとって価値あるもの」だけにぜひ照準を絞ってください。

(4)オンエアを視て

気になるので、5月23日の放送を視てみることにしよう。
――そう云って締めるつもりでしたが、間に合いませんでした。
なので締まらないオチではありますが、結果を書いておきます。

なんのことはありません。それは客が「食べたあと」での、あまりかんばしくない「評価」でした。
もちろん大喜びする人もいて、だから「賛否両論」。
そうした「賛否」を巻き起こす。――「炎上」とは似て非なる「バズらせる」ことが、王者・マクドナルドに対抗するバーガーキングの戦略であるという内容でした。ごくごくかいつまんで云えば。

ワタシは少々、人の悪い先入観を持ち過ぎていたようです。
前述のような(病んだ)「熱心なファン」が、それはバーガーキングにもいるのかもしれませんが、そんな人を『カンブリア宮殿』が取り上げるはずもありません。

この番組に登場したのは、かんばしくない「評価」をした人も含めて、新メニューを食べることを通じて「バーガーキング」という店と戯れる、愉しげで健全な、いいお客さんばかりでした。

ワタシも見習いたいと思います。時にかんばしくない評価をすることがあるとしても、そんなことで根っ子の愛情は揺るがない。そんな「何か」や「誰か」のファンでありたいと思います。

 

前バージョンからの改変――(5)項の削除について
(5)項として書いた、「河合奈保子の世界・番外編」は丸々割愛しました。通じるところはありますし、事実、このテキストを書いていく過程で想起したことではあるのですが、あまりにもこじつけが過ぎ、バランスが危うくて、さざめく素肌です(>普通に「UNバランス」と云え)。
河合奈保子歌手生活も終盤に差し掛かったシングル『悲しい人』の、ファンを困惑させるジャケットに触れた稿については、ひとまずお蔵にしまいますが、いずれ再び日の目を見る機会もあるでしょう。


『悲しい人』

 

2024.05.29 一部削除・加筆・変更