桜舞い散る季節に 本編(俊太郎さまver)からお読みいただくことをお勧めします。
翔太編その1からお読みください。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「みんなで飲みたかったのぉ・・・」
「はいはい、また今度でもいいじゃないですか」
そう龍馬さん(と自分の心)をなぐさめていると、俺たちを呼ぶ声がした。
「龍馬さん!翔太くん!今日はみんなでお花見をしましょう!」
二人のところに戻る。
「いいのか、かえで。だって枡屋さんと・・・」
俺の言葉が終わらないうちに、龍馬さんが嬉しそうな顔で答えた。
「ほうかほうか!場所はここでええかのぉ、あ、向こうのほうがちっくとばかり綺麗かもしれんの。いや、あっちのほうが・・・」
「龍馬さん、ちょっと落ち着きましょうよ」
「す、すまんの・・・」
ほんとにもう、憎めない人だよ。
「枡屋さん、飲んじょりますか~」
そう言って、枡屋さんに盛んに酒をすすめる。
微笑みながら、龍馬さんの酌をうける枡屋さん。
「いやぁ~、今日はまっことえい日ぜよ!天気はえいし、桜は綺麗じゃし」
龍馬さんは上機嫌だ。
「そうですね、私もこんなに綺麗な桜、初めて見ました」
俺には・・・桜よりお前のほうが綺麗に見えるけどな。
「うんうん、綺麗じゃ。けんど、今日のおまんは、この桜よりも綺麗じゃ!」
「!!」
・・・
俺が言いたくても言えないことを、さらりと言ってのける龍馬さん。
そして、その言葉を聞いた枡屋さんは、赤くなって俯いているあいつを、そっと抱き寄せた。
「坂本はん、今日はかえではんを口説かないでおくれやす」
あいつは、さっきよりもずっと真っ赤に頬をそめて・・・
でも、龍馬さんに褒められたときより、何倍も嬉しそうな顔をしていた。
でも、俺だって・・・
こっちに来てから変わった。
元々バスケをやっていたおかげで、体力や筋力には自信があったけど、この時代に来て、そんなものは役にたたないってわかった。
元の時代では、試合に勝つためのものだった。
でも、この時代で必要なのは『命を守る』
自分の命だけじゃない。
大切な人を守る。
そんな力が必要だった。
俺は龍馬さんの助けになりたくて、そして、あいつを守りたくて。
一生懸命、剣の稽古もしてる。
体力だってついた。
そしてなにより、このいつどうなるかわからない危険な時代でも、あいつを絶対守り抜く、そんな覚悟ができた。
でも、俺じゃないのかもしれないな、あいつを守るのは。
くやしいな。
あいつのことをずっと、子供のころから見てきたのは俺だったのに。
~翔太編~ その3へ続く