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第三回 破滅


P67

個人が一斉に金融資産を取り崩して消費を始めたらパニックです。預貯金の残高が急減して、銀行も郵便局も国債を買う余裕を失います。


P86

約1400兆円の個人預金が一斉に引き出されたら国は破滅する。


[コメント]


「個人が一斉に金融資産を取り崩して消費を始めたら・・・」

著者の説明の通り、三面等価の原則。支出に応じたGDPが計上されます。1400兆円の全てがGDPに反映される訳ではありませんが、支払われたお金は次なる消費の資金となり回転します。GDPは1400兆円を大きく上回る額になると思われます。

著者はGDPの伸びこそが重要と述べています。それが正しいとするなら、各企業は今までの数倍の売り上げとなり、笑いの止まらぬ好景気になります。

・・と言いたいところですが、買いたいものもないから需要が落ち込んで、このデフレなのに、いったい人々は何に金融資産を投じるのでしょうか?消費できるアテでもあってこんなことを書いたのでしょうか?

1400兆円のお金は何処へ行くのか?

買い物に使われたお金は企業の売上金として、カードで払った時などは一瞬にして銀行に納められ、そうでなくても、あれこれ消費に使われた後に、個人の給料、その他として銀行に振り込まれます。還流してくるお金で、銀行も郵便局も国債を買うには何の支障もありません。どうして余裕を失うのですか?消費をしてお金を支払えば、お金は支払われた側に移ります。そのお金、金融機関に預けずにどうするというのですか?

大量のお金の消費で、国庫は消費税や所得税で潤いますから、国債発行を減らせます。

涙が出るほど嬉しい話が、なんでパニックになんかなってしまうのか?



1400兆円が引き出されると、何が起きるのか?

1400兆円分の電子マネーが発行される。そうしないと引き出すことはできない。

国は国債を、お札を刷って返済したことになり、マスコミがあれほど心配した「国の借金」「一人頭なんぼ」の借金がなくなり、利息を払わずに済むようになる。

一斉に引き出された電子マネーはどこに行く?タンスや貸金庫に行かなかった金は金融機関に還流する。


郵貯を始めとする金融機関は国債利息を受け取れなくなり、還流してくるお金を国債以外で運用しなければならなくなる。

結局、国に国債を発行してくれと泣き込む。国が必要なのは年間40兆円。国債の返済に使われた800兆円近くの金が新たな融資先を探すことになる。

貸出金利の値下げ競争が始まるかも知れないが、今の低金利、多くの金融機関が食べていけなくなり破綻する。国が1000万円まで保証しているので、お金はタンスに行くか貸金庫に行くことになる。

国は改めて新規国債を募集する。或いは、新たな国策会社を作ってそこへの投資を呼びかける。元本が保証され、いかばかりかのリターンを期待したタンス預金がそこに集まる。

わが日本、有り余りたるもの3つあり、土建屋、役人、金融マン。この内、護送船団と言われた、多種大量の金融機関の多くが破綻し整理され、めでたし、めでたし。

国が豊かになり、金が余っているというのに、これという新しいサービスの開発をやらなかった、金融機関という名の金貸しが、大きな顔して飯を食べていけた、これ迄の状態が異常だったのだ。


P68

日本国債の90%は日本国内で売られています。日本政府がお金を返せなくなっても、困る先進国はありません。困らなければ、日本に救いの手を差し伸べる理由はありません。

たとえ助けようと思っても、経済規模が大きすぎて発展途上国に対するようにはいきません。


[コメント]


「日本政府」に救いの手、の誤りでしょ。

先進国が助けるとして、どうやって「円」を調達しますか?手持ちのドルかユーロを売りますか?

困る困らない以前に大量のドルを保有する日本をなぜ助けようと思うのですか?

石油も小麦も容易に手に入る、米を100%自給している国に救いの手を差し伸べる理由はありません。

食べるのには困らないが、郵貯の預金者の貯金を先進国さん何とかしてくれ、ですと・・あんた何を言い出すんだ。


P68

国民の貯金箱はカラッポ


[コメント]


大人手当て5万円をくれるという政党に投票した。毎月5万円、1年間で60万円を郵貯に預けた。貯金箱がカラッポ。私の金は何処へ消えた?

調べて見ましょうか?・・判明しました、毎月5万円づつ貴方の口座に振り込まれています。

200万円を郵便貯金していた代議士の妻。貯金箱がカラッポと聞いて、私のお金は何処へ消えたの!?

貴方のタンスの中ですよ、旦那から貰った200万円、そう、観覧車の口きき料。

毎月1万3千円の積み立てをしていた男、貯金箱がカラッポと聞いて、まさか私の給料になっているなんてことないだろうね?

そうですね、貴方の場合はお隣の家の子供手当てになっています。取り返しますか?

ところで貴方のお仕事は?公務員をなさっている、今年は半分が借金ですから、ま、給料の半分は誰かの貯金か年金でしょうな・・。

50万円の定額貯金をしていた、大工のような風貌をしたKというテレビのコメンテーター、貯金箱が空と聞いて激怒、俺の貯金は何処へ行った!

何を言うか!世間話をしただけで50万円の講師料なんて稼げる訳がねえだろうが!



第二回] 観覧車


P46

政府が銀行から4000万円を借りて、公共事業として誰も乗らない豪華な観覧車を買って建てたらどうでしょう。観覧車はやがてサビだらけになり、政府の借金だけが残ります。

国民が貯蓄だと思って銀行に預けたものが消費に回り、残るのは政府の借金です。


[コメント]


政府の支払ったお金は請け負った業者に渡ります。業者はその内500万円を口銭として自分の口座に入れます。500万円を工事の口を利いてくれた代議士に渡します。1000万円を基礎工事をした土建業者に、2000万円を観覧車を作った鉄工所に払います。土建業者はセメント業者に、鉄工所はパイプや鋼材や塗料の問屋に一部を支払います。以下・・・。4000万円のお金は、大半が業者の口座か社員の口座に移りますが消えてなくなることはありません。残るのは政府の借金と金融機関の新たな預金です。金融機関はそのお金を新たな国債の購入に充てます。


無駄になったのはお金ではありません。セメントを作るための石灰石や粘土、鉄を作るための鉄鉱石やコークス、燃料、工場の運転作業や関わる人の労力です。勿論お金に換算して、いかほどの無駄なのかを示すことはできます。換算されるのは秩父は武甲山、北海道は上磯の裏山の石の値段です。しかし、著者が4000万円のお金が消えるかのように言うのは誤りです、お金は消えることはありません。


預けたお金が他人の口座に移動している。残るのは政府の借用書だけ、というのは事実です。しかし、支払われたお金は移動する間に、鉄工所の溶接機の購入代金に、製鉄所の高炉の補修に使われているかも知れません。これらは新たなGDPの源になります、お金の無駄とは言えません。

勿論もっと効率のよい分野に投資されるべきだと言うのは当然の意見です。ただし、それは最初の資金投下対象だけでなく、下流の恩恵をこうむる企業を勘案したものでなければなりません。一見効果的に見える投資でも、流れ(フロー)全体としては観覧車以下だった、ということはあり得ます。当然、観覧車に人が乗るかどうかだけで判断するなど、全く愚かな話です。


この文章では「人の乗らない」と強調していますが、多くの人が利用する観覧車との違いは何があるのでしょうか?

支払われれた4000万円の行き先に違いが出るのでしょうか?

人が乗る観覧車では、市民が役所に乗り賃を払います。役所はその金で運転や保守に携わる人の賃金を払い、電気代を払い、保守の為に塗料が消費されます。

電気代や塗料代のGDPに対する貢献はどれ程のものなのでしょうか?発電の燃料や塗料に使う顔料は消費されていきます、動かなければこれらは消費せずに済みます。

子供の喜ぶ顔が見られるのなら、そんな消費は問題にならない。という意見は当然です。しかし、人の乗らない観覧車とGDP貢献面で、国家資源の有効利用という観点で、日本経済を論じるこの本で、どれ程の違いがあるのでしょうか?


金を受け取った代議士が、このうち200万円を妻に、200万円を倅に渡したとします。妻は箪笥にしまいます、先ほど大半といったのはこのお金が金融機関に行かないからです。倅は金融機関に預けます。残る100万円の内50万円を鬘を被ったテレビのMCに、残る50万円をKというテレビのコメンテーターに講師料として渡します。この大工のような風貌をしたKが仕事仲間のSというテレビ関係者と一杯飲むのにこの金を使えば、お金は小便の泡と消えるのではありません。飲み屋が夜間金庫に放り込みます。

KがSに奢る筈がない?となれば、4000万円の内、50万円については、残るのは政府の借金と、Kの懐の金です、ということになります。


P60

飛行機の発着しない飛行場、あるいは船の影すら見えない巨大な釣堀状態の港湾に化けたりしたら、国民の大切な貯蓄、すなわち国民が折角節約したGDPの一部が、いつの間にか消えてなくなっている事になります。


[コメント]

消えてなくならない。誰か別の法人か人の貯蓄になっている。新しい有望な事業に投資されているのかも知れない。

アホみたいな飛行場に賛成するわけではないが、使われたお金はセメント屋に支払われ、効率のよい焼成制御のコンピューターに投資されているかもしれません。コンピューターを買ってもらったメーカーは儲けを研究開発に投資しているかも知れません。





「日本経済の真実 ある日、この国は破綻します」

なる、本を読んだ感想を述べる。


はじめに:

本を読みながら、疑問に思ったところは黄色のマーカーで、いい事を言っていると思うところは緑色のマーカーで、唖然としたところはピンクの!マークを書き込んで行った。案の定、黄色だらけになった。重箱の隅を突っつくように、個々の疑問を取り上げるのもどうかと思う。主なテーマを挙げて感想を述べて見たい。


第一回 経済大国


P20

「世界第二の経済大国という名称は間もなく中国が使うことになります」


[コメント]


1.

中国の人口は日本の10倍以上。警察官の数も10倍?。警察官の為に生産される帽子の数も制服の数も靴の数も拳銃の数も10倍。これって「経済大国」なのか?


2.

秋葉原で中国人が電気釜を担いで行く。中国の品物はすぐに壊れてしまうという。中国製は10年も持たない。日本製は20年は壊れない。人口が同じであったとしても、20年間に2倍以上の電気釜を生産しなくてはならない。人口が10倍であると・・・。これって「経済大国」なのか?

自転車も自動車も・・・。価格が半分以下だから、同じGDP金額では倍以上の台数を作っている。単純に比較できるものなのか?


3.これは何の数字か?           

       日本    中国    アメリカ (単位:億ドル H20年)

項目1   463   849   6070

項目2     0     7    140


項目1は軍事支出、項目2は武器輸出額。中国の武器輸出額が少ないのは秘密裏に行っている輸出が入っていない嘘だからとアムネスティが言っている。軍事支出も中国は日本の倍近い数字になっているが、それでも実態よりかなり少ない数字を発表していると言われている。でもGDPには反映されている?これを「経済大国」というのか?(日本の項目1にはGDPには計上されない、アメリカの項目2と重なる部分がある)

4.

日本や韓国には社員に罵詈雑言を浴びせて、とんでもない量のサービス残業をせて、優良企業と言われている企業が存在する。当然生産量も他の国の企業より多い。タコ部屋の生産量が多いから経済大国と宣言して良いものなのか?

ま、あちらにはもっと強力な奴隷工場というものがあるらしいが・・。


5.

日本の商店、飲食店などにはB勘で税金を誤魔化す連中が多い。当然GDPに反映されない、GDPの数字は信じてよいのか?と思っていたらギリシャ。B勘だらけで医者までもがやっているという。中国は?伝え聞くところでは政府の発行する領収証のようなものを買って添付する方式でやっているところがあるらしい。役人に金を渡せば1束オマケしてくれるとか、偽の領収証が大量に出回っているとか、実際に把握される売り上額は実態より遥かに少ない額の可能性があるという。一方役人は上から与えられた数字ノルマはどんなイカサマをしてでも達成する。

日本の税務署は飲食店のB勘を見るのに、おしぼり、割り箸、長ネギなどの仕入れを前年度や他店実績と比較したりする。中国の数字の検証はして見たのか?実際にGDPの伸びが、消費電力の伸びを大きく上回るなどのボロが数多く出ている。こんな数字を比較して「経済大国」を決めることができるのか?

(B勘=レジに入力しないで裏帳簿に勘定が付けられているもの)


6.

日本や米国には相当数の公認会計士、税理士、計理士が存在する。中国には日本の10倍存在するのか?アーサーアンダーセン、カネボーの事例を挙げるまでもなく、日米でさえその質が問題になっている。中国の会計士技術レベル、モラルはどの程度のものなのか?信じられるか?


7.

大国云々するならGNIで比較するべきではないのか?


8.

「世界第二」ということがそれ程誇らしいことなのか?世界第一になってから自慢するべきではないか?日本がアメリカを上回れる訳がない?人口が違う、国土面積が違う。だったら中国やインドが日本より大きくなっても、どうという話ではないのではないか?


この著者に限らず、日本のマスコミ全員が冒頭の文章を使っている。

人口が10倍も違う国のGDPなど比較して何の意味があると言うのだ。チベットやウイグルが独立したら、日本が第二の経済大国に返り咲いた、などと報道するつもりか?その一方で一人当たりGDPをルクセンブルクやアイスランドと比較したりする。僅かの景気変動で大幅に数字が上下する小国と日本を比較しても何の意味も無い。


「世界第二の経済大国という名称は間もなく中国が使うことになります」

対等の条件の国家が優劣を争った末に追い抜かれたかのような、著作の冒頭にこのような軽薄な言い回しの文章を、「経済大国」なる文字を持ってくる感覚では、読み進む気力が萎える。