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第六回 構図


P64

もし会社が赤字の時に借金をしてこのような支出(ラスベガス社員旅行)を続けたらどうでしょう。今の社長はいい気持ちかも知れませんが、つけを回される将来の社長や社員はたまったものではありません。この話を、経営者を政府に、社員を国民に読み替えると、日本の構図が鮮やかに浮かび上がります。


[コメント]


会社の状況をおおよそ把握する方法があります、「経常利益」と「支払い利息」の比を見るのですです。これを見るだけでおおよその実態を知ることができます。もっと簡単な方法は「営業外収支」が赤か黒か?通常の大企業は借入金が大きいので、黒になっていることはありませんから実用にはなりませんが。

いまここに経常利益をたっぷり計上し、営業外収支も真っ黒な会社があります。人も羨む超優良企業ですが、一つ問題があります。

社長の莫大な借金です。この社長、社員から借金をしては社員の子供に小遣いをくれたりしています。いくつもの事業部があり、その多くは順調な業績を上げていますが、本社に送金される金額が少ないと、社長は社員から借金をして本社社員の給料に充てたりしています。借金が多額になったのはこれが原因です。

この会社は様々な事業を展開しており、スーパーマーケット、不動産賃貸、パチンコ屋、建設会社、病院、・・・。社員は会社の関連会社でほぼ全ての買い物(消費)を行っています。社長は本社の社員を連れて熱海の温泉に旅行に行きますが、泊まる旅館もこの会社の経営です。


この会社の状況を見て、社員の貯金と社長の借金を比較して、社長はもう借金をすることができなくなる、と言う人がいます。

社長の借金が膨大だから、この会社は倒産すると言う人までいるのです。


社長が借金をして社員に渡したお金はどこへ行くのか?関連会社の事業部の売り上げとなります。事業部は黒字ですから、出てゆく金より入る金の方が多い。つまり社員の使ったお金が会社の外に出てゆくことはない。給料は毎月配られます、社長が各社員から借金を続けるとしたら、果たして借金が出来なくなることなんてあるのでしょうか?

この社長が自己破産をする可能性がある、社員が貸した金は戻ってこない、と騒ぐのは当然です、お金を貸してない社員は関係ありませんが。しかし、黒字の会社が倒産する、社員は給料を貰えなくなる、餓死する、などという話はどこから導きだせるのでしょうか?

社長を政府に、社員を国民に置き換えると、日本の構図が鮮やかに浮かび上がります。


冒頭のP64の文章の誤りは、著者が度々本書で書いているように、赤字は政府の借金なのです。経営者を政府に置き換えろ、というのなら、経営者の借金、赤字とするべきで、「会社が赤字の時に」などとやっては、構図が鮮やかに浮かび上がってはこないのです。



第五回 インフレ


P79

モノやサービスの生産量が増えない中で出回るお金の量が増えれば、長期的にはお金が増えた率だけ物価が上がる。


P105

実質GDPが同じ場合、国内に出回っているお金の量が倍になれば物価は倍になります。



[コメント]


???・・・???・・・なんだこれは?。


出回るお金の量が増えても、欲しいもはそれほどないから、すぐに貯金されてしまう、貯金されるお金の量が増えるだけ。生産量が増えなくても、海外から安いモノが供給されるから物価が上がることはない。長期的にも物価が上がるとは思えない。土地や株のバブルを仕込む奴はいるかも知れないが、ハジけて元に戻る。


物価が倍になると言うことはインフレ・・・インフレは需要>供給。

出回る通貨の量≒需要として物品の供給量が変らなければ、売り手は2倍の価格まで吊り上げても買ってもらえる計算にはなる。


発展途上国ならば通貨の量≒需要と考えることはできます。アメリカのような国でも貧困層に通貨が出回れば需要となりますし、金持ちでも貯蓄せずに金や土地に回す人は多い。しかし、日本をこれらの国と同一視することはできません。理由は、出回った通貨を手に入れられるような人は家もテレビも冷蔵庫も自動車も持っているからです。


日本は貿易黒字国で、かつ豊富なドルを保有しています。供給が足りなくなれば必要なだけ外国から補給することが出来ます。

通貨の量≒需要と考えたとして、お金の量が2倍になったとしても物価は倍にはなりません。取得するのに競合が起きない以上、高い金を出してモノを買う人はいません。しかもお隣には平均年収が5分の1以下(都市部で3万元?)の低物価の大国が控えています。そんな日本で「モノの生産が増えない中で」などと仮定する感覚がわかりません。

現実の話として、政府は毎年多額の国債を発行して金をバラ撒いてきました。しかし物価は上がるどころか下がっています。国債に価格下落の影すらなく、円は高騰しています。


サチっている、という言葉があります。飽和(サチュレーション)のことで、薬剤や熱、圧力を投じてもそれ以上反応が進まない状態をいいます。発展途上国ならばお札を投入すれば供給と反応するでしょう。お札の量が2倍になれば物価も2倍になるのかも知れません。モノが行き渡っている、それも高品質の丈夫なモノが行き渡っているわが国では需要が頭打ちになっています。サチっているのです。反応が進まない以上、お札を投じたからと言って、インフレにはなりにくく、ハイパーインフレなどなりようがありません。

「起きて半畳、寝て一畳」こんな言葉があるのは、外国から侵略を受けたことのない、海山の自然に恵まれた日本だけです。こういう国が物質面で飽和すると、単純に通貨をバラ撒いただけでは、簡単には需要に結びつきません。

希望のある将来のデザインを提示した上で、それに向けた財政出動が必要となります。




第四回 円とドル、政府と国


P96

話は単純です。円が暴落するということは、高い金を払わなくては外国製品が買えないということです。


[コメント]


「世界」とか、「国」を基準にしてお金の話をする時、そのお金とはドルです。円では原油も大豆も鉄鉱石も買えません。国が破綻する、ということは借金が返せなくなるということですが、当然お金の単位はドルです。韓国がIMFの世話になったのもドルが不足したからですし、アルゼンチンもジンバブエもお金(ドル)が無かった為に国家破綻騒ぎとなったのです。ギリシャの場合はユーロが無くて借金が返せないという話になっていますが、ドルを持っていれば解決できた話です。

円が暴落しようが、暴騰して円高が進もうが円では外国製品は買えません。

日本が外国製品を買えるかどうかは、ドルを幾ら持っているかで決まります。

ドルがなくて円が暴落したら、高い金(円)を払っても外国製品は売ってくれません。


話は単純です。貿易黒字国である日本は輸入に必要なドルは輸出で確保できますから外国製品を買えなくなることなど当面(ん十年は)あり得ません。

貿易赤字になったとしても、それを補う大量のドルを保有しています。

貿易赤字になるかどうかの話は後日のテーマ「第七回 例題」に記載があります。


P72

先進国中ズバ抜けた政府の借金。2009年9月末の「国の借金」は、正確に言うと約865兆円です。


[コメント]


政府の借金と表示して置きながら、すぐに国の借金に置き換えています。それなら表題も「先進国中ズバ抜けた国の借金」とするべきではなかったか思いますが?

国の借金というからには何ドルなのか?という話になります。政府が外国からドルで借金をしているのであれば、国の借金と言って差し支えないでしょう。

政府の借金は約865兆円です。その大半が国民の貸金です。

国の借金はゼロ$です。というか大量に貸している金(ドル)があります。


P97

「通貨の強さ」はあらゆる意味での「国の強さ」と連動するものです。それが暴落するということは、国全体が奈落の底に沈むということにほかなりません。


[コメント]


あらゆる意味での「国の強さ」というものは、政府が紙幣を印刷しまくっただけで奈落に沈むものではありません。

100万ドルのロボットを海外に売れば約1億円を手に入れることができます。万一、円の価値が半分になれば約2億円を手に入れることになります。下請けの業者も、それまでの倍の料金を受け取ることになります。従業員も倍の給料を受け取ることになります。従業員に弁当を売っている会社も倍の料金で買ってもらえます。消費税も所得税も2倍増収になります。

軍事面を別にすれば、国の強さとは、何ドル持っているか、何トンの金(ゴールド)を持っているか、ドルや金と確実に交換できる品物をどれだけ持っているかで決まります。品物とは石油や鉱物資源以外にも、その国に行かなければ手に入らない製品も含まれます。炭素繊維製品、ロボット、原子力発電関連・・・。日本は日本でしか生産できない数多くの製品を持っています。これらはダントツの競争力を持っている限りは、相場で上下するドルや金よりも有力な第三のマネーといえるかも知れません。



P79~80

政府が円を刷れば、国際社会で日本円の信用が一気に低下します。円の価値は暴落し、物価は暴騰を始めます。


[コメント]


国際社会では円は言わば藩札のようなもので、通用しません。為替ヘッジで日本国債を保有している金融機関はありますが、国際社会で円は流通しているとは言えません。流通していなければ「日本円の信用」なるものも国際社会には殆ど存在しません。

一応ハードカレンシーと呼ばれてSDRにも含まれていますが、円で決済が行われているケースはあったとしてもごく希なことです。(日本での輸出入を円建てで行われるケースは多くあります、為替売買を略す為に、大量に保有するドルの裏づけの元で行われているものです。)

国の信用は何ドル持っているか、どれだけ先に挙げた資源(第三のマネー)を持っているかで決まります。


P85

借換債が売れなくて、古い国債の返済が滞れば国の信用がなくなります。国の信用に裏付けられて流通している「円」も信用を失います。そんなことになったら、日本は破滅です。


[コメント]


政府と国は、はっきり区別して下さい。

古い国債の返済が滞れば「政府」の信用がなくなります。「政府」の信用に裏付けられて流通している「円」も信用を失います。そんなことになったら、「政府」は破滅です。

借金してバラ撒いた政府のお金は何処に消えるのか?

そのほとんどの部分が郵貯、金融機関に還流するとするなら、少なくとも郵貯は借換債を買わずに何を買うのか?還流しないとしたら何処に消えるのか?具体的な事例を挙げて説明するべきです。


P96

国債が暴落すること自体、日本政府が世界の信認を失うということです。政府が信認を失えば国の信用を背景に価値を保っている「円」も信認を失うということです。円が信認を失えば円相場が暴落するのは理の当然です。


P97

いつか必ず国債が暴落し、金利が暴騰して、円が暴落し、国家滅亡の引き金を引く時がやってきます。


[コメント]


国債が暴落し、金利が暴騰して、円が暴落したとするわな、外国から1ドルのお金も借りていない、大量のドルと第三のマネーを保有する、貿易黒字国がどうやって滅亡するのだ?


日本政府が信認を失うとして、日本政府(日銀)が大量に保有する米国債は当然売りに出されることになります。米国債が暴落すること自体、米国政府が世界の信認を・・・ドル相場が暴落するのは理の当然です。ん?円は何に対して暴落したのだ?