あなたは、自分が寝ている間に見た夢を、
他の人に与えることが出来ると思いますか?
「いや、そんなこと出来るわけないだろう。何言ってるんだ? 」
というのが、99%の人の答えだと思います。
(もしかしたら「いや、出来る」という
人もいるかもしれませんが・・・)
ところが古代・中世では
それがほとんど逆になります。
当時の人々にとって
「自分が見た夢を他の人に与えることが出来る」
というのが普通でした。
なぜそうだったかというと 、
「夢は神仏からのメッセージ」
と捉えていたからです。
ですので、自分が見た夢は
自分のモノでなく「神仏から授かったモノ」。
ゆえに他の人にも与えることができたのです。
そして「与えることが出来る」ということは
「売買できる」ということにつながります。
1つのエピソードをご紹介しますと、
ある日、ある女性が「高い峰に登って、太陽と
月を和服のたもと(袖付けから下の、袋のように
垂れた部分)に入れる」という夢を見ました。
なぜこんな夢を見たのかわけが分からず
2歳上の姉に相談したところ、 姉は
「その夢はとても不吉な夢だから、私が買い取って
不幸な出来事が起こらないようにしてあげましょう」
と言って、妹の夢を買い取りました。
でも実は、その夢はとても素晴らしいことが起こる夢であり、
そのことに気づいた姉が妹をだまして夢を買い取ったのです。
夢を買い取った姉は、その後、鎌倉幕府初代将軍、
源頼朝の妻になりました。
『曾我物語「時政が女のこと」』より
そう、姉の名前は北条政子であり、政子は夢を買い取る
ことで将軍の妻になれることが出来た、ということです。
このように当時の人々は、
夢を売買することができ、そして良い夢を
買うことが出来たら人生の勝ち組になれる
と信じていました。
まさに夢が「1つの商品のようなもの」と
認識されていたと言えるのではないでしょうか?
夢を買い取ることで人生が大きく変わる
本当に現代の私たちからすれば
思いもよらない「夢」の捉え方・考え方ですね