◆A1安楽峠(27km地点)10月7日17:21(8時間21分)
大会の情報では、このA1エイドの「遅い選手の通過予想時刻」は16:10となっている。
自分はそれよりも1時間以上も遅い。
自分のペース計画表からも30分以上遅い。
「マジか・・・」
決して体力温存で進んでいるのはない。
けれども気持ちは前向きだった。
エイドでは、みたらし団子、バナナ、おにぎり、みそ汁を食べた。
少しでもタイムを縮めようと、5分ほどの滞在で出発した。
もう辺りは暗い。
エイドに着く前にはもうヘッドライトを点けていた。
ここからは本格的なナイトトレイルになる。
鈴鹿山脈はまだまだ続く。
まずは7km先の次のエイドを目指す。
相変わらずスリッピーなアップダウン。
下りでは木を1本1本掴みながら下りていく。
たぶんこのあたりで1回、派手に転んだ。
あまりの衝撃で一瞬、呼吸ができなくなった。
胸が圧迫されたのだろう。
これにはアセった。
「怪我したら元も子もない」
さらにペースを落として進む。
◆A2鈴鹿峠(34km地点)10月7日19:39(10時間39分)
A1からA2までの区間はペース計画どおりの時間だったようだ。
なのでこの時点では30分ビハインドのまま。
ここのエイドで、大福、おにぎり、みそ汁を食べる。
10時間以上かかっているものの、まだまだ序盤。
滞在時間も短めにすぐに出発した。
まだまだ鈴鹿山脈が続く。
次の区間は13km。
急登をガァーと登って、アップダウンを繰り返す。
そして急坂をガァーと下ってくる。
ここの区間でも派手に転んだ。
あまりの衝撃でフラスコボトル(500mℓ)が吹っ飛んだ。
ボトルはそのまま崖の下に消えていった。
「マジか・・・」
自分が滑落しなかっただけ良かったと思うしかない。
ただ、水がこの時点で残り400mリットルほどしかないことになる。
「次のエイドまで持つかな」
雨が降っていることもあり、暑くもなく喉の渇きはあまりない。
なんだかんだいって雨はまだやまず。
幸いにもコースを間違えることはなかった。
鈴鹿山脈ではずっと主脈を辿ってきているのだろう。
進み続けると油日岳(あぶらひだけ)に到着。
「そういえば、ここはヤマスタのポイントだったな」
そう思うも、立ち止まってスマホを取り出すことはなかった。
雨の中、それすら面倒になっていた。
気持ちはこの先のエイド。
A3余野公園にはドロップバッグがある。
そしてカレーもある。
「カレーを食うぞ」
気持ちはヤマスタよりも完全にそっちだった。
(つづく)
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