(前編からのつづき)
「明神ケ岳」からはこの先のコースがよく見えた。
明神ケ岳から少し進んだ後、先がよく見えない場所に辿り着いた。
基本的にコースは直線のはず。
なんとなく分かるのだが、とても人が通れるような感じではない。
両脇の笹林が雪の重みでコースをふさいでしまっている。
しゃがみ込むとトンネルのようになっているが分かった。
「ここをくぐっていくしかないのか・・・」
中腰ではくぐれず、「よつんば」にならないと通れない。
それでも背中に背負ったザックが時々引っかかる。
そのたびに、その揺れで積もった雪が「ドサっ」と頭に落ちてくる。
「チャレンジャーではなくて「レンジャー」だな・・・」
シューズの中はもちろんのこと、手袋もズボンもずぶ濡れだ。
頭から雪を何度もかぶったので上半身もびしょ濡れだ。
そんな場所が何ヶ所もある。 それも短い距離ではない。 登り坂でもあった。
数m進むのに何分もかかる。
テンションはガタ落ちだ。
やっとのことで金時山が目前に見えるところまで来た。
ホっとした時にあることに気付いた。
「ニットの帽子がない!」
「ザックに付けた熊鈴がない!」
「ポールのキャップがない!」
疲れがどっときた。
とてもあのトンネルを引き返す気にはなれずに諦めた。
なんとか「矢倉沢峠」に到着。
ここからは金時山へと登る。
なんだか寒気がする。
風にあたると、どんどん体温が吸い取られるような感じだ。
全身ずぶ濡れだからに違いない。
「息切れするくらいガンガン登れば、身体もあたたかくなるだろう」
そう思ってペースをあげる。
けれどもペースはあがらない。 それどころか動きが鈍くなっている感じすらする。
そう思っているうちに「金時山」に到着。
時刻を見ると、午後1時をとっくに過ぎていた。
湯本駅から5時間20分以上もかかっている。
予定よりも1時間30分以上も遅い。
しかも全身の震えが止まらない。
「なんかヤバイぞ」
直感的にそう思った。
これ以上、先に行くことを止めた。 迷うことなく下山することに。
午後2時頃、金時山登山口に到着。
なんか疲労困憊だった。
とりあえず自販機で暖かいコーヒーを飲む。
それでもじっとしていると寒い。
「走って湯本まで戻ろう」
そう思ってゆっくり走りだした。
仙石原の交差点を少し過ぎたあたりで、バスが横を通り過ぎた。
すると十数m先にある無人のバス停で止まった。
どうやら僕がバスに乗るために走ったと思ったらしい。
扉を開けて待ってくれている。
その好意に甘えてバスに乗って箱根湯本駅まで戻ることにした。
駅に着き、即効で着替えた。
やはり上半身下着まで濡れていた。
お腹も空いていたので、「はつ花」で温かいそばを食べると少し落ち着いてきた。
なんとなく温泉に入る気にもなれなかったので足早やに箱根をあとにした。
今度は雪がないときに来よう。
山では冷静な判断が大事
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