今日という日【12月15日】
■クニマス再発見
2010年12月15日。
かつて秋田県の田沢湖にのみ生息した固有種「クニマス」。サケ目サケ科に属する淡水魚。
1940年頃に田沢湖の水質が激変したために絶滅したとされており、液浸標本17体(アメリカに3体、日本に14体)のみが知られていた。
電力供給増加のために田沢湖の湖水を利用した水力発電所が建設され、田沢湖から流出する湖水を賄うため、玉川の水を導入したが、玉川毒水と呼ばれる強酸性の水が大量に流出したため、田沢湖の水質が急速に酸性化し、「クニマス」を含む魚類が絶滅。現在ならば環境問題として大きく取り上げられるが、当時は国家を挙げての戦時体制の真っ只中であり、この固有種の存在などが顧みられることは全くなかった。
2010年、山梨県の西湖にて生存個体が発見された。きっかけは、京都大学教授がタレント・イラストレーターで東京海洋大学客員准教授の「さかなクン」に「クニマス」のイラスト執筆を依頼したことであった。「さかなクン」はイラストの参考のために日本全国から近縁種の「ヒメマス」を取り寄せた。このとき、西湖から届いたものの中に「クニマス」に似た特徴をもつ個体があったため、「さかなクン」は京都大学教授に「クニマスではないか」としてこの個体を見せ、研究グループは解剖や遺伝子解析を行った。その結果、西湖の個体は「クニマス」であることが判明し、12月15日にマスコミを通して公式に発表された。
再発見された2日後には「クニマス里帰りプロジェクト」が発足し、12月21日から正式に活動を開始したが、田沢湖の水は依然として強い酸性を保っており、「クニマス」を田沢湖に戻すには程遠い状況である。