哀が瞳美に謎解きの挑戦状を突きつけられて、
コナンが悲しい夢と瞳美の謎に悩ませている同時刻。
快斗も色んな事に悩ませていた。

実は彼もコナンと同じような夢を見ていたのだった。
…違ったことは炎のシーンの時に炎の中に入ろうとして男の子に止められて女の子が幼い快斗の横を走って炎の中に入っていった。
そして快斗は泣きながら必死に手を伸ばそうとしたがそれは叶わずに気を失う夢だった。

もう1つは名探偵こと、新一を幼児化させたAPTX4869のデーターのありかだった。
さすがは組織、ハッキングだけではそのデーターを盗みだすことは不可能だった。
なぜ彼は新一のためにデーターを盗もうとしたかは彼自身もよくわかっていない。
だが…本来の姿に戻したいとしか思っていなかった。

そして最後に。
『闇の男爵』の存在だった。
何かを探しているようだがそれは何なのか不明。
不思議なのは彼が姿を現したのは8年前、つまり快斗の父親である盗一が殺された年なのだ。

それが偶然なのかは不明だが…彼に関してわかっていることは1つ。
怪盗ローズが何らかの関係を彼と持っていること。

本当に頭を悩ませていた時だった。
窓から鳩が姿を現したがその鳩は快斗の物ではなかった。

鳩の足をよく見ると…怪盗ローズからだった。
快斗は警戒を少ししながら鳩の足に着けられていたものを取るとそれは手紙だった。

『親愛なる怪盗キッド…否、黒羽快斗

貴方が工藤探偵の追っている組織からとある毒薬のデーターを盗み出そうとしてるのはわかっています。
今すぐその行為をおやめになってください、勿論貴方がパンドラを見つけ出さずに死になくなかったらですが。
それにその行為は私のやるべきことですので邪魔しないで頂きたいです。
…貴方はそろそろ私がパンドラを狙っている目的をわかると思いますわ。
伊達にIQ400を持っている天才ではないはずですから

全てにおいてご健闘をお祈りしますわ。 怪盗ローズ』

そして勿論4つの花びらがしっかりと付けられていた。

快斗がその手紙に悩ませている時刻。
怪盗ローズは黒の組織のアジトに潜り込んでいた。
…APTX4869のデーターを盗み出すために。

そして彼女は盗むことに成功したのだ。
だがそのことをジンにバレたのだ。

ジンは彼女を殺そうとしたがその前に逃走に成功したため殺されずに済んだのだ。
…右腕を銃で撃たれて白い服が赤く染まってしまったが。

ベルモットだったらよかったのに…)

心底そう思いながらハンググライダーを操作してある場所まで向かった。
…その場所こそ哀のいる博士の家だった。

窓から入ったため哀は警戒をしたが…彼女の右腕が赤く染まっているところを見てただ事ではないとわかった哀は右腕の手当をしたのだ。

「手当してもらいありがとうございます」
「…別にいいわ」
「お礼にとは言いませんが…これを差し上げます」

そう言って彼女は…USBを取り出した。
哀は何なのかと頭を捻らせていると…

「貴女が最も欲しがっている、APTX4869のデーターです」
「なんですって!?」
「まあそのためこのような怪我をしてしまいましたが」

哀は驚いて暫く何も言えなかったがやっとのことで口を開いた。

「…どうしてこんなことを?」
「…どうしても工藤探偵には元の姿に戻って欲しいからです、では私はこれで失礼しますわ」

そう言って彼女は姿を消した、白い薔薇を残して。
そこに書かれていたのは…

『銀の弾丸が戻られしころ、
薔薇の使者は最後の指令を執行されし。

そしてその指令が全ての運命に終止符を打たれる
とある者の死によって』

哀はそれを読んで寒気をしたのだ。
それにとあることが頭に浮かんでそれを拒否しようとしていた。

…書かれている『とある者』が瞳美であってほしくないと哀は切実に願った。

その願いが叶えるのかは…
神のみ知っている。


Be Continue...
哀が瞳美の家に泊まっている同時間。
コナンはあることを思い出していた。

(そう言えばあいつと会ったのって…)

当時新一はニューヨークの事件を解決して日本でも高校生探偵と注目され始めた頃だった。
目暮警部を通して新愛は新一に依頼したのがきっかけだった。

彼は新愛の屋敷に着いてその大きさに驚いたがその屋敷に入っていった。
大広間に待っていたのは守青だった。

「お待ちしておりました、工藤探偵。ご案内します」

新一は守青の見せた嫉妬のような表情に少し違和感を感じたが、
それを取り除くと守青の後ろについていった。

客室についたが新愛はまだ客室に来ていなくて少し待つことにした。
その時に彼は守青と新愛はお嬢様と執事の間柄の前に幼馴染という関係だということを知った。

暫くして新愛は客室に入ってきた。

「遅れてすみません、工藤探偵。私こそ明月院新愛です」

これこそ新一と新愛の『出会い』だった。

暗号化された予告状を解いた新一は新愛に最後のパーティーを延期することを提案したが、
彼女はそれを断ったため新一は警備を強化すると提案して彼女を守ろうとした。

そしてパーティーの時犯人が彼女を殺そうとする前に取り押さえることに成功して、
明月院暗殺未遂事件が幕を閉じていたのだ。

事件のあと蘭の提案で連絡先を交換して彼女は蘭と友達同士になった。
英才教育のため友達を作れなかった彼女は蘭と友達になったことによってはじめての友達を出来たのだった。

だが。
その後新一は幼児化して蘭の家に転がり込んだ故新愛と守青も幼児化して偽りの姿を持っていることになると新一も少し悲しくなった。

隣の部屋では蘭が誰かと話していた。
その相手とは新愛だった。

「新愛ちゃん、旅のほうはどう?」
『中々いいですね。実は今沖縄にいるんですよ』
「いいな~私も行ってみたい!」
『きっと蘭ちゃんなら行けますよ。私は少し疲れているのでこれで休ませてもらいますね』
「わかった!また話そうね」
『わかりました。では』

話を少し聞いていたコナンは少し思った。

(オレと違ってあいつは出来る限り蘭に電話するよな…やっぱり初めての友達だからか?)

コナンはやっぱり自分の蘭に向けていた想いが何故冷めたのかわからなかった。
だが1つ彼はほど確信していた。

(龍崎はまだ何かを隠している)

コナンは気になることがありすぎて困っているのだ。

何故彼女はコナンと哀のことを守ろうとしているのか?
何故高校一年の時新一に依頼したのか?
何故時折見せる悲しそうな表情は何なのか?

彼女が関わる謎が深すぎて…コナンは寒気さえした。
まるで彼女が突然霧のように消えるかのようだったのだ。

それに。
彼は最近夢を見るようになったのだ。

小さい頃の自分がとあるベンチに座っていて誰かを待っている。
そして振り向くをかわいらしいドレスを着た女の子が笑って新一の元に走るのだ。
残念ながらその子の目元を見れないし声も聞こえないがその子の笑顔は本当にうれしそうな顔だった。

だがその後場面は一変して場所は炎に包まれていて幼い新一は女の子を探していた。
見つけたときその子はドレスを少し破れていて涙を見せていた。
新一は何かを言ったが聞こえるのは燃え盛る炎だけ。

その子が何かを言っていると突然彼女は新一の手を引っ張って床に一緒に転んだ。
…新一に落ちてきた鉄柱から守ろうとその子が守ったのだ。
背中が痛いはずなのにその子は何かを言った。
口の動きでわかったのは…その子が『新一は怪我してない?』だったこと。
新一は泣き出してそのまま夢から覚めるのだった。

コナンはその夢のせいで毎朝悲しく起き上がるのだ。
何かを忘れている気がするのに覚えだせないのだ。

…まさかこの夢が本当に起きたことだなんて彼は想像していなかっただろう。
そして物語は終焉を確実に向かっていた…


Be Continue...
瞳美と真純の密会から数日経ったある日のこと。
阿笠博士の提案で哀は休日瞳美の家に泊まることになった。

金曜日の夕方。
瞳美は圭人の車に乗って博士の家に着いた。

「哀ちゃん、彼は柊圭人だよ」
「よろしくね?」
「よろしく」

車に乗って瞳美の家に向かった。
その間彼女は哀に圭人も光の組織の一員でコードネームはルークだということを話した。
ちなみにコナンたちがアジトに入った時に流れた声は彼のだったが。

家について圭人に荷物だけ部屋にいれて帰ってもらった。
2人共夕食は済ませていたため瞳美が先にお風呂に入ることにした。
その日哀はあるものを見ることになったのだが。

それは哀がお風呂に行こうとしていた時だった。
お風呂へのドアを開けると…瞳美の背中が見えた。

その背中は結構痛々しい古傷があった。
令嬢だったとは思えないほどの大きさだったのだ。
左肩から右脇下にかけて一直線の古傷。

瞳美は哀がそれを見たことを悟って溜息をついた。
まあそれもあったからプールの授業や海などは水に入らないようにしていたが。

「…それどうしたわけ?」

哀がお風呂から出た後にようやく口を開いた。
それほどショックだったのだろう。

「まあ詳しくは言えないけど8年前に色々あってね?怪我してこうなったの」
「そう…」

本当は納得しなかったが瞳美が何も言わないことを知っていたため何も言わなかった。
暫く経って瞳美は口を開いた。

「…志保ちゃん、おとぎ話を話してもいい?」
「おとぎ話?」

哀は不機嫌そうな表情を浮かべたが瞳美の少し悲しそうな顔を見て頷いた。

「昔々。とある世界に4つの国がありました。
ハートの国、スペードの国、ダイヤの国そしてクローバーの国。
クローバーの国にはみんなから愛されていたお姫様が居りました。
そんな彼女に従う騎士も居りました。だがお姫様は友達が欲しかったのです。
そんな時でした、友達を通り越して幼馴染と呼べる子供たちができたのです。
ハートの国からは王室で働く騎士の妹、スペードの国から王子が、そしてダイヤの国から天才魔術師の一人息子。
彼女は5人で過ごす時間が大好きでした。大人になってもこんな時間があればいいとさえ思えました。
しかし…」
「しかし?」
「クローバーの国に来た黒魔術師がスペードの国の王子と天才魔術師の息子に黒魔法をかけたのです。
騎士の妹が救われたのはお姫様たちと一緒にいたため。2人はお城に向かっている最中にかけられたのです。
2人はそのせいで全ての記憶を失ってしまいました。お姫様は悲しさに溺れていました。
自分のせいだとさえ思っていたのです。しかしある日彼女は考えました。
『自分の力で2人を守って見せよう』と。その日を境に彼女はお姫様としての自分を捨て女騎士としての自分を手に入れたのです。
そして彼女は永久に彼らのことを守り続けるのでした、笑顔という仮面をつけて」

瞳美は話し終えてソファーにぐったりとした。
哀は瞳美の見せた表情が気になった。

「龍崎さん、どうして…悲しそうな顔をしているの?」

瞳美は少し驚いた表情を見せたがへらっと笑うと言葉を発した。

「今はその理由を言わないよ?でも私は信じてる、パズルが全てそろった時志保ちゃんがこのおとぎ話の真実に気づくことにね?このことは工藤君に言わないでね」
「じゃあ私への謎解き、ということかしら?」
「そんな感じだね」

哀は少し気になっていたがそれを後で考えようと思い、
瞳美と共に寝に寝室に向かった。

パズルが揃った時哀は真実に気が付くことが出来るのだろうか?…
それは誰も知らない。


Be Continue...
怪盗ローズが2人の前に姿を現した日からさらに時間が過ぎた。
コナンはなんとか怪盗ローズの正体を調べているが成果はゼロだった。

コナンたちはロンドンから帰国してそんなに日にちは経っていなかった。
だがコナンの心境は何故か少しずつ変わっていた。

(前は蘭のことが好きだったはずなのに…なんでだ?龍崎がオレの前に現れてから蘭のことを『ただの』幼馴染としか思えなくなってるなんて…)

そして世良真純の出現でもっと頭を悩ませていた。

帝丹小学校にて。
珍しく瞳美は学校に来なかった。
みんなは瞳美のことを心配していたが月翔は大丈夫だと言ってみんなを安心させようとしていた。

「なあ月摘、なんで龍崎は休んだんだ?」

月翔は溜息をつくと口を開いた。

「実は最近研究に力を入れててな…おととい熱が出てぶっ倒れたからな。今日は様子見で休ませた」

コナンとただ聞いていた哀は呆れ顔を浮かばせた。
だが月翔の知らないところであることが行われているなんて知る由もなかったのだ。

とある喫茶店にて。
真純はとある人物と待ち合わせをしていた。

そしてその人物は姿を現した。

「…久しぶりだね、瞳美ちゃん」

そう。
その人物は学校を休んでいた瞳美だったのだ。
瞳美は光の組織のメンバーでもある柊圭人(ヒイラギ ケイト)に送ってもらったのだ。

「まさか真純が此処に来るなんて思いもしなかったけどな?そんなに寂しかった?」
「まあね。中に入ろう?」

秘密な話をするには最適な場所で2人は座った。
注文を済まして待っていると真純が先に口を開いた。

「瞳美ちゃん…なんでそんな姿になったの?」
「まあ色々あって小さくなった。真純のことを私の私情で巻き込むわけにはいかないよ」

真純は悔しそうな顔をすると少し口調を荒げた。

「いつも瞳美は自己犠牲をするよね!『8年前』も『彼ら』のことを助けたのに彼らは瞳美のことを…」
「彼らのせいじゃないよ。私が勝手にやったことだし私は後悔していないよ?」

真純は瞳美が言ったことに悲しささえ覚えた。
瞳美たちの全てを知っていた数少ない人の内の1人だったからこそ悲しさを覚えたのだ。

「…そうやって自分のことを後回しにする癖、昔から変わってないよね?僕にできることないの?僕たち『幼馴染』でしょ?」
「わかって。真純を巻き込みたくないの、幼馴染だからこそ」

それから真純と瞳美は1時間話し込んでいた。
まあ久しぶりに会った幼馴染だ、話すことも少なくはないだろう。

それでもこの会話が終止符へと向かうとは瞳美以外誰1人知らなかったのだ。
全て動き始めていたが…ここから劇的に変わっていくことになった…

8年前に起きたこととは?
彼らとは一体誰なのか?

彼女が関わる謎が明かされるのは…
全てが終止符を打たれる寸前に明かされるのであろう…

(もう誰1人犠牲を出させない。私1人で全てを終わらせてやる)


Be Continue...
怪盗ローズが出した予告状には夜9時に姿を現すとされていた。
コナンは行くつもりはなかったが彼の好敵手である怪盗キッドも姿を現すため『ルビー・スカイ』が展示されている場所に向かった。

そこには大勢の警官がいてガッチリとビックジュエルを守ろうとしていた。
そして緊迫した雰囲気が怪盗ローズも只者ではないということを示していた。

そして。
予告状の9時になろうとしていたその時だった。
突然照明が消えたのだ、それも一斉に。

中森警部が警官に照明をつけるように命令を出した。
照明をつけると…

白い女怪盗、怪盗ローズがビッグジュエルが仕舞っているケースの上に立っていた。
それも彼女の手には『ルビー・スカイ』があった。

「御機嫌よう、中森警部?」
「怪盗ローズ!今日こそお前を逮捕するぞ!」
「クスクス。そう怪盗キッドにも言っていらっしゃるようですが未だに捕まえたことがないでしょう?では私はこれで失礼致します」

そうやって怪盗ローズはマントを翻して…姿を消した。
そして勿論聞いた通り白い薔薇がその場に置かれていた。

コナンがその薔薇を拾い上げてよく見ると…薔薇の中心部に何かがあってそれを取り出した。

『建物にあって公園にないものは?』

コナンは少し考えたがすぐに謎を解明して怪盗ローズがいるであろう場所まで急いで行った。
…近くにいた小五郎に変装していたキッドもコナンとは別ルートでその場所まで移動した。

クイズの答えは『屋上』。

そして2人は屋上に着いた。
お互い驚いていたがコナンは麻酔銃を、そしてキッドはトランプ銃を構えた。

「あらあら。やっと誰かにあの薔薇の小さなクイズに気が付いてもらえました」

怪盗ローズは屋上のフェンス付近に佇んていた。
その手には宝石がしっかりとあった。

そして…彼女は月に宝石を照らした。

「残念です。今回もハズレでした」
「…貴女もパンドラを狙っているのですか?怪盗ローズ?」
「ええ。そうですわ、しかし目的はお話いたしませんわ」
「お前は…何者なんだ」

怪盗ローズは少し笑うとフェンスの上に乗った。

「私はただの女怪盗ですわ、『工藤探偵』?」

コナンは驚いていると怪盗ローズはコナンに向かって宝石を投げた。

「それは私には必要ないものですので鈴木氏に返品願いますわ。ではこれで失礼致しますわ」

そう言って彼女は白い薔薇を投げてからフェンスから身を投げた。
心配して2人はフェンスから下を見たが彼女はハンググライダーを使って逃走していた。

「…キッド。お前の仲間じゃないのか?」
「いえ。私も彼女のことはご存じありませんよ、名探偵?」

だがキッドの頭の中ではあることを考えていた。

(変だな…会ったことはないはずなのにどこかで会った感覚になったんだよな…なんでだ?)

彼もコナンが瞳美たちと会ったときと同じような感覚になったのだ。
だが彼も怪盗。ポーカーフェイスという名の仮面をつけてコナンの前から姿を消した。

白い薔薇の花言葉は…
『心からの尊敬・無邪気・清純・純潔・恋の吐息・相思相愛・尊敬・素朴』

怪盗ローズが残している意味とは一体何なのか?
それは全てがわかったその時わかるのかもしれない…


Be Continue...
コナン、哀、平次が瞳美たちの正体を知った日から数日過ぎていた。
あれからコナンの瞳美に対する態度が少し変わった。
…まあ正体が自分たちの味方だとわかったからだろうが。

事務所でコナンが朝食を摂っているととあるニュースが流れた。

『世に騒がれているもう1人の怪盗、怪盗ローズが昨日鈴木財閥の鈴木次郎吉氏に予告状が送られました。鈴木氏が今回展覧する宝石は「ルビー・スカイ」です。ちなみに怪盗キッドも鈴木氏に予告状を送った模様…

コナンは聞きなれない怪盗の名前を聞いて疑問が浮かび上がった。
蘭に怪盗のことを聞くと…

怪盗ローズは数か月前から姿を現した怪盗でキッドと同じビッグジュエルしか盗まないらしい。
そして同じようにその盗んだものは返品するらしい。
そのことから恐らくキッドと同じものを探しているのでは?という考えがある。

怪盗ローズの由来は必ず予告状に赤・紫・青・オレンジ色の薔薇の花びらを張り付け、
現場には白い薔薇を必ずおいているから。

姿はキッドと似ているが違うところは…
・白いスカートを履いていて白い編み上げブーツをはいていること。
・ブラウスも白い。
・ネクタイとシルクハットのリボンは紫色。
・ロングヘアーだということから女性(らしい)。
・よっぽどのことがない限り予告状を暗号化しない。

コナンは少し頭を悩ませた。

(キッドだけでも手間がかかるのに今度は女怪盗かよ!)

…そうやって頭を悩ませていたのはコナンだけではなかった。
その彼の名は黒羽快斗、もう1つの姿を怪盗キッドだった。

(誰なんだ?怪盗ローズって…何の目的があるんだ?)

まさかコナンとキッドが世を騒がせている怪盗ローズに会えるなんて想像していなかっただろう。

そしてこの時から確実に運命の歯車は動き始めていたなんてことを知っていたのは…
怪盗ローズ本人とある男性のみ。

とある場所。

「具合はどうです?『闇の男爵(ナイト・バロン)』?」

闇の男爵と呼ばれた男は工藤優作の書いた小説に出てくるような恰好をしていた。

「私の具合はいいほうだ。それより…ローズ。君はいつまで自分を偽り続けるんだい?」

ローズの顔はシルクハットで隠されていたためよく見えないが、
恐らくは少し顔を歪ませたのだろう。

彼女は闇の男爵に背を向けて部屋から出ようと歩き出した。
出る一歩前口を開いた。

「私は目的を果たすまでやめないわ。例えそれが自身の自爆行為になろうともね」

そして小さくつぶやいた。

1人になった闇の男爵は少し溜息をついた。
彼女のことをよく知っている人物のだろう。

彼女がつぶやいたこととは?
そして彼女の目的は?

それを知るには少しの時間が必要だった…


Be Continue...

瞳美が部屋に入ってきて白衣を脱いだ。
そしてソファーになだれ込んだ。

「…瞳美、行儀悪いぞ」
「だって~今日は物凄くハードだったんだもん!」
「瞳美『さん』、工藤君たちが見てるけど…」

瞳美がはっとして行儀よく座った。
少し恥ずかしそうにしていたが。

「本当なの?ここが光の組織だって」
「本当だよ、哀ちゃん…いやここでは志保ちゃんと呼ばせてもらうけどいいよね?」
「いいわ」

月翔は瞳美に紅茶を差し出してそれを瞳美は飲んだ。
それも満面の笑みを浮かべて。

「…おめーら何があったんだ?それにここのボスは誰なんだ?」

瞳美は少し深呼吸をするとその口を開いた。

「ここのボスは…私なの」
「なんやて!?」
「ここは祖父母の時代から存在していたの。両親が死んで私が引き継いだの」
「そんなことがあったなんて…」

瞳美は虹希に頼んであるものを持ってくるように言った。
そして虹希が持ってきたのは…USBだった。
コナンはそのUSBを見て疑問を持った。

「工藤君は私たちが転校してきたときに言ったこと覚えてる?」
「…確かアメリカから来たって言ってたな」
「その話は本当なんだ」
「工藤君たちが幼児化したの知った時私たちはすぐさまアメリカに渡ったの」
「…組織のアジトね」

瞳美たちはそのことに頷いた。
瞳美はUSBを手に取って弄び始めた。

「私は黒の組織のアジトに入り込んでAPTX4869のデーターを盗もうとしたの」
「俺はその時アジトの外にいて瞳美のことを待っていたんだ」
「その時に襲われた」
「俺は後ろから頭を殴られて」
「私は銃で撃たれて」

2人は悔しそうに顔をしかめた。
それほど屈辱だったのだろう…

「私はAPTX4869のデーターを半分だけ盗むことに成功したの」
「アタシがここでデーターの信憑性を見き分けていたから本当だよ」

哀は驚いてしまった。
半分とはいえ黒の組織からデーターを盗み出すことに成功したのだ。
それに驚かない人はいないだろう。

「そのデーターを元に解毒剤を作ろうとしている訳だ」
「せやけど何であんなとこにいたん?」
「とあることを調べていたの。ちなみに調べていたものについては聞かないで」

瞳美の目は真剣そのもので誰も無理に聞こうとしなかった。
きっと重要なことなのだろうと思ったからだ。

それでも。
コナンは1つ言いたかったことがあった。

「なあ明月院。会社の営業をやめたのもこの組織の影響なのか?」

瞳美はすぐに頷いた。

「あの会社はダミーに過ぎていなかったの。それに黒の組織を一刻も早く破壊したいからこっちに優先するようにしたの」

両親が望んでいたことだからと小さくつぶやいた。
それをちゃんと3人は聞き取った。
だからこそ何も言えなかったのだ…

だが。
誰も知らなかったのだ、瞳美の胸の内を。
否知っていたのは月翔ただ1人…

(『あいつ』にはかなわないだろうけどお前のことを守るからな、瞳美…)


Be Continue...
3人は驚いて声も出せなかった。

アジトに向かっている?
それは本当なのか?

3人の頭に疑問がわいた。

暫くして虹希は車を止めた。
その建物はコナンはよく知っていた。

「ここ…明月院の家だろ?」

そう。
たどり着いた場所は新愛の実家ともいえる家だった。
まあ家というより屋敷なのだが。

「こっちよ」

3人は虹希と月翔に案内させて周りを見ていた。
着いた場所は…屋敷より少し離れた小屋らしきものだった。

「ここにアジトがあるというんじゃないでしょうね?」
「そう思えないからアジトだと思うんだが?」

虹希は小屋の扉に手を置いた。
それに引き続き月翔も扉に手を置いた。

すると。
扉が開いて階段が地下につながっていた。

2人が階段を下りるのをみてコナンたちもそれに続いて下り始めた。

地下に下りると…エレベーターがあってそれに乗り込んだ。

「本来なら瞳美も迎えに行くはずだったんだが色々仕事が多くてな」
「そうなんや」

そんな話をしていると突然エレベータが停まった。
そして知らない声がエレベータ内に流れた。

2人は今かというような顔をしていたがコナンたちは何が起きるのか知らなかった。
一瞬騙されたのかとさえ思った。
が行われることはそんなことではなかったようだ。

『コードネームは?』
「ナイト」
「レインボー」

『従えるべき者のコードネームは?』
「ルミエールのクイーン」

『我々の目的は?』
「黒の組織の破壊と犠牲者の救出」

『今現在救出すべき者たちの名は?』
「工藤新一」
「そして宮野志保」

『…Welcome to back for organization of lumiere』

そう言ってエレベータのドアは開かれた。
その先にあったのは…たくさんのコンピューターに白衣を着こなしたたくさんの人たち。

そして…


「…じゃあ今度の研究はこのデーターに沿ってしてみて。さきにモルモットに実験をしてから私に成果を見せて頂戴」
「わかりました」

その人たちに命令などをしている瞳美の姿だった。
彼女も白衣を着ているがまるで彼女が一番重要のようにみんなは彼女に敬語で話していた。

瞳美は少し後ろを向いて月翔たちの到着を確認すると目配せで別室に案内するように月翔に命令をしていた。
月翔は頷くとコナンたちを連れて別室に案内をした。

別室はまるで客室で月翔は3人に紅茶を出した。

「あと少しすれば瞳美も来るから少しだけ待ってくれるとありがたい」
「ああ」

そんなに時間はかからなかった。
瞳美が扉を開いたからだ。

そしてコナンたちは「あること」を知ることになった…


Be Continue...
新愛…否瞳美は起きあがって溜息をついた。

「ここでバラすつもり、なかったのにな」
「ごめん。アタシが早く駆け付けていれば…」
「お前のせいじゃない。てか虹希は瞳美を着替えさせて来いよ」
「わかった」

虹希は瞳美を抱きかかえると車の中に入っていった。
月翔はそれを見届けてから平次と新一に体を向いた。

「驚きすぎて声も出へんわ」
「…もしかしておめーは守青か?」
「そうだ」

新一は驚きを隠せずにいた。
何故なら自分や哀以外に幼児化した人がいたということとその人たちが自分が知り合った人たちだったからだ。

その時月翔のスマホにメールが届いたらしく取り出してメールを見た。
彼は少し嫌そうな顔をするがその後仕方がないというような表情を浮かべた。

「俺達は東京に戻るがその前に瞳美からの伝言だ」
「伝言?」
「1つ目はお前が飲んだ薬について。それは俺たちが作った試作品でデーターだと24時間その姿を保つ、んでもってコナンのことは俺達を見かけて知り合いがキャンプすることになって先に東京に戻ったことにしてくれ」

新一はなんとか納得して頷いた。

「2つ目はこのことについて。コナンに戻った後服部と…灰原を連れて米花公園に行ってくれ。そこで虹希にあるところを連れて行かせてもらえ」
「嘘やないんやな?」

平次は探偵の目で月翔の目に偽りがないか探ろうとしていた。
が月翔はすぐさま返答をした。

「瞳美は嘘をつかない。できるなら蘭さんにも嘘をつきたくはないんだ、あいつは。けど巻き込むわけにもいかないからな」
「そうか…」
「じゃあ俺は行く。また後日」

そう言って月翔は車に向かっていった…
2人は車が立ち去るまでそこに立ち止まってるしかできなかった…

そして瞳美の伝言は本当で新一は24時間元の姿で過ごせた。
勿論哀の監視もあったが体に異常はなかった。

後日。

コナンに戻った新一は哀と平次を連れて米花公園に来ていた。
もっとも哀は嫌そうな顔をしていたが。

その時車のブレーキ音が聞こえた。
虹希の車だった。

「乗って」

よく見ると助手席には月翔が座っていた。
…音楽を聴いたようだったが。

車が出てから暫く沈黙が流れたが哀が月翔に話かけた。

「いい加減教えてくれないかしら、月摘君?どこに行こうとしているの?」

すると哀が驚愕するようなことが月翔の口から明かされた。

「正直に言ってくれると有りがたいが…お前は『Organization of  lumiere(オーガニゼーション・オブ・ルミエール)』を知ってるか?」
「!?ルミエールはあの…」
「どういうことだ?」
「ルミエールは光の組織、もしくは白の組織ともいわれていて…貴方の言う黒の組織の宿敵の存在よ。だけどそれと何が…」

それを聞いた月翔は呆れ顔を見せて後座席にいる3人を見た。
そして3人にとっての爆弾発言が落とされた。

「俺達はその光の組織のアジトに向かってんだよ」


Be Continue...
コナンは強い風邪症状を引き起こす薬にパイカラを被せて飲んで本来の姿である新一の姿に戻っていた。
服部平次の変装をして誘拐された遠山和葉を救出するために一時的に戻ったのだ。
だが薬のせいで新一の体はガタガタしていて体があまり動かせないのだ。

しかし新一が行かなければ和葉は殺されるかもしれないのだ。
彼にほかの選択肢は残されていなかった。

西条大河に平次ではないとバレて弟子たちに新一たちを殺害するように命令した時だった。
新一に発作が起きてしまって隙が出来てしまった。

2人新一に襲おうとしたときだった。
ある人物が新一の前に入って彼をかばったのだ。

1人は平次だったがもう1人は大河の弟子の1人だった。
その刃をその人物は腕を切られながら新一のことをかばったのだ。

「誰や!」
「…明月院新愛。通りすがりの『女探偵』よ」

そう。
新一のことをかばった人物は新愛だったのだ。

女社長時代の服装と違って赤いパーカーに黒チェックのスカート、黒いレギンス、ショートブーツを着こなしていた。

「明月院!?」
「何が無事なんです?風邪を引いているじゃないですか…これを差し上げますから服用してください」

そう言って新愛は新一に薬が一錠入った瓶を投げた。
新一は少し疑問に思ったが薬を飲んだ。
すると…途端に彼の体が軽くなった気がしたのだ。

「はよ殺せ!」
「させねーよ!」

そう言ってバイクと共に割り込んだのは…彼女の執事だった四王天守青(シオウデン スア)だった。

「守青遅いわ。そのせいで腕斬られちゃったわ?」
「文句を言わないでくれるか?俺だって完璧じゃないからな」

そう言いながら守青は周りの人たちは蹴ったりして倒していたが。
新愛はパーカーの下のTシャツの裾をちぎって怪我した腕に巻き付いた。

「私少し体を動かすから邪魔しないで頂戴ね?」
「御意、お嬢様」

新愛は新一をかばいながら弟子たちを蹴散らしていた。
新一はあることを考えていた。

(なんで瞳美みたいな運動神経をしてんだ?それになんでオレの体が軽くなったんだ?…お前は何を隠してんだ?)

平次が火事を起こしたため小五郎たちがすぐに駆け付けた。
蘭は新一の姿を見て安心、そして驚いていたが事件は無事に解決された。

だが。
犯人たちが警察に連れて行かれた時守青はいなかったのだ。

「新愛ちゃん!大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ蘭ちゃん。私はこれで失礼いたします、守青が待っていますから」

そう言って新愛は走り出していた。
平次と新一はそれを見て蘭と和葉に言って新愛のことを追いかけた。

「あの姉ちゃんなんやねん」
「女社長だった明月院新愛だ」
「そうやなくてあの姉ちゃんのあの動きなんや?まるで天才や」

その時突然ナイフが飛んできた。
運よく避けれたが…その先に月翔がいた。

「この先に来るな」
「なんでや」
「なんでもだ!」
「落ち着いて」

虹希も姿を現して月翔を落ち着かせようとしていた。
…新一の視線に新愛が苦しそうにうずくまっていたところを見てしまった。

「おい明月院!どうしたんだ!」
「なんでも…ない、わ…ぐっ!」

そして新愛が小さく叫んだ。
虹希と月翔は顔を青くして「しまった」と小さく言った。

そして平次と新一は見てしまった。
…新愛の体が小さく縮んでしまった所を。

そして。
新愛が起き上った時新一は驚きを隠せないでいた。
何故なら新愛は…コナンとして知っていた龍崎瞳美でもあったからだ。


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