~あらすじ~
好きな野球チームが99対0で敗北し、きれた総理はワニ逮捕し裁判開始 ワニは無罪主張するも、「総理の気分鎮めるため罪」で死刑判決 死刑方法は銃ぶちかましに決まり、弾数決める時に裁判長は「9兆!」と叫びそのまま議事録に記入 弾数階乗判定されワニ蜂の巣されすぎて原子レベルまで分解され死亡
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ある日の裁判所控室。これから裁判が行われるというので、部屋は緊張に包まれておった。
すると……
死刑執行人「9!」
執行人は突如として叫びおったのだ。
裁判官「どうしたんですかいきなり」
全員が豆鉄砲を食らったような鳩みたいな顔をするなか、とある裁判官がききおった。
死刑執行人「これ、なんの数字かわかりますか?」
裁判官「普通に9じゃないですか」
死刑執行人「チッチッチ」
彼は裁判官を小馬鹿にしたように人差し指をメトロノームかワイパーのように動作させる。
死刑執行人「これね、362,880なんですよ」
裁判官「は?」
死刑執行人「数字にはビックリマークが付いたら、そこから1までずっとかけていくんですよ。なので、俺は9!と叫んだので9から1までずっとかけてくわけです。すごくないですか?」
裁判官「はあ」
だとしたら、確かにあの短時間で膨大な計算をこなしたのは確かにすごいと思いつつも、やはり眉間にシワが寄る。
裁判長「あ、そろそろ裁判はじまりますよ。書紀さん、起きてください」
というわけで裁判がはじまったので、みんな会場に向かいおった。
今回の裁判は、いつものようにワニが被告で、原告は総理であったのだ。
ワニ「今回は俺は何もやってないのだぞ?」
裁判長「裁判前に喋るでない!」
裁判長はそう怒鳴ってワニをトンカチみたいなやつでどついて黙らせた。
裁判長「えーでは、裁判をはじめます」
今回の裁判に至る経緯が淡々と裁判長の口から流れてくる。これによると、総理大臣の応援している野球チームが99対0で敗北し、いらいらしてワニを訴えたというのだ。
普段の彼は、いかなる勝負事に対しても異常なまでの厳格さを求めており、単純に贔屓チームの大敗だけであれば、相手チームの力が遥かに上回っていただけであって、それを更に上回るほどの鍛錬を積んで次回勝てばいい。
それよりも、たとえ忖度であったとしても、手加減やカラオケの接待モードのごとく相手チームが元来の力を発揮せず贔屓チームが勝利することや最初から一定の点が与えられたようなハンデ状態、あるいは不戦勝のように勝利の確約された試合を見させられることの方が遥かに許しがたいものであったのだ。
そのうえで、今回贔屓チームの大敗を理由にワニを訴訟したというのは、それはそれで負けたのはムカつくという理由であった。
裁判長「……というわけでここまでが今回の裁判行う経緯です。ではみなさんなんかありますか?」
裁判長の発言が終了しおった。
そして、彼の座る直下で書紀が粛々と議事録を記入しておった。
検事「今日ナイターの試合あるので早く帰りたいので死刑でいいです」
ワニ「俺は今日は何もしてないのだぞ?」
弁護人「そうですよ!」
検事「じゃあ何もしてない証拠あるんですか?」
ワニ「だって俺は今日別に普通に家にいただけなのだ」
検事「じゃあ呼吸もしてないんですか?」
ワニ「ちょっと弁護人」
弁護人は反論できないのか黙り込みおった。
裁判官「これは決まりましたね」
というわけで判決発表の時間になりおった。
裁判長「呼吸してるのに「今日は何もしてない」とか嘘ついたので、総理の気分鎮めるため罪で死刑!」
裁判長は粛々と罪状と刑を伝える。
裁判長「死刑方法は銃ぶちかまし刑とし、弾数は9兆!」
彼は大声で続けおった。
ワニ「二度と貴様には頼まぬのだぞ?」
ワニは弁護人に文句を言いつつ別室に通されおった。
こうして裁判が終了し……
ワニの死刑は同日のうちに行われることとなりおった。
死刑執行人「よし、とうとう俺の仕事なのだぞ?」
死刑執行人は意気揚々と議事録参照する。
死刑執行人「む?」
そこには「死刑方法は銃ぶちかまし刑とし、弾数は9兆!」と書かれておった。
死刑執行人「おお、これは階乗ではないか。裁判長もかしこいからわかっておるのだな?」
内心、階乗みたいな高度な数学術は自分しか知らないと思っていたので多少苛立ちを覚えつつも、粛々と段取りを済ませた。
その後、ワニは9兆の階乗発という天文学的な数字の銃弾で蜂の巣にされ原子レベルにまで分解され死亡しおった。
ワニ「蜂の巣は焼き肉でじゅうぶんなのだぞ?」
~完~