ワニSS ~また日本一長い商店街で福引したら今度はスペースX主催の宇宙旅行が当たったワ二~ | 適当

適当

※全角128文字半角256文字以内

~あらすじ~

また日本一長い商店街で福引したら今度はスペースX主催の宇宙旅行が当たったワニ。行き先は冥王星だった とりあえずトイレ休憩の火星で散策してたら時間オーバーして置き去りにされてしまう ワニは腹減って持ってきた納豆食ってたら火星人の山賊にカツアゲされるも、納豆の辛子しかなくて死亡する。

 

辛子取られてきれたワニは納豆のいれもんそのへんに投棄したら火星人にバレ裁判で死刑になり、地球攻める事が決定するも地下微生物と納豆菌が化学反応おこして火星中に納豆が自生 復路でまた便所休憩来たロケットにたまたま乗車してた日本一長い商店街会長が発見し、火星に納豆工場を建設。

 

火星人3円で雇用し、ついでに置き去りされてたワニも労働させられ死亡 労働問題なので火星人が商店街に核乱射し会長ごと殲滅するも1発国会にあたりぶちぎれた総理が火星に核乱射し火星殲滅 ついでにワニが発端なので太陽流しされ死亡 その後スペースXが商店街の後釜で火星納豆売りまくってボロ儲け

----

 

ある日の日本一長い商店街。福引会場に鐘の音が響く。

 

ワニ「また当たったのだぞ?」

なんとなく福引をやってみたところ、前回も当たったのにまた当たったのだ。

 

店員「おめでとうございます!一等賞です!」

一等賞は宇宙旅行だという。

 

ワニ「俺的には2等賞の現金50万円が良かったのだぞ?」

現金なら高級寿司が食えるが、宇宙旅行では腹は膨れない。ワニは少し不満そうに言う。

店員「まあまあそんなこと言わずに。ロケットがもう来てるので乗ってください」

ワニ「そういえばパスポートはいらぬのか?」

ワニはパスポートを持っていなかった。なので海外旅行のたびに不法入国で死刑になっておったのだ。

今回はパスポートの無いことを口実に、2等にしてもらって50万円獲得しようと思ったのだが……

 

店員「宇宙なのでパスポートいらないんですよ。まあなんでもいいので早く乗ってください。時間押してるんで」

というわけでワニは商店街に隣接したロケット空港に連れて行かれ、そのままスペースXのロケットに乗せられおった。

 

時間が相当押していたのか、ワニが乗車したと同時にロケットは発射しおった。

ワニは着席したのち、あたりを見回すと、いかにも金の持ってそうな年寄りやプロスポーツ選手のような人間が既に着席して待機しておった。

 

民間人でも宇宙旅行が出来るようになったというのは聞いていたが、もはや金持ちの娯楽として普及していたのか。だったら道中美味い飯も期待できるかもしれない。

ワニはそう思い、せめて気分を盛り上げることにした。

 

イーロン「今日は宇宙旅行にご参加いただきありがとうございます。本日の行き先は冥王星でございます。途中、火星でトイレ休憩を……」

スペースXを仕切るイーロンが直接ガイドをしておった。

 

イーロン「冥王星といえば景色が綺麗ですし、遠いので着いた時達成感があります」

イーロンが続ける。ワニにとって、飯について言及されていないのが不安であったが、せめて期待するしか無かった。

 

そうこうしているうちに、ロケットは火星のサービスエリアに到着しおった。

イーロン「トイレ休憩は10分ですので、それまでにロケットに戻ってください」

 

ワ二は降り立った。サービスエリアというが、仮設の便所5個と自販機1個しかない。

この時点でこれだといよいよ不安であったが、期待するしかない。

ワニ「ちょっと歩けば美味い飯くらいあるかもしれぬのだ」

というわけでワニはあたりを散策しおった。

 

そうして戻ってくると、ロケットが消滅しておった。

まさかと思い時計を確認すると、既に火星に到着してから48分が経過しておった。

ワニ「えらいことになりおった」

 

これからどうしようかと思ったが、とりあえず腹減ったので飯食ってから考えることにした。

ワニ「こういうときのために飯持ってきておいて良かったのだ」

ワニは持ってきた納豆食うことにした。

 

彼なりのこだわりとして、一口目はまではそのまま食い、二口目からたれをかけ、三口目からからしをかけて食うのがいつもの流れだったのだ。

今回もそのようにして、二口目を食い終えたその時だった。

 

ワニ「ん?」

前方から3人程度の集団が近づいてくるのが確認できた。

もしかすると自分を助けに来た救援部隊かもしれない。そう思い納豆をかきこむ。

 

納豆を食い終えて顔を上げると更に近づいていた。

彼らは自動小銃で武装していた。

ワニ「山賊なのか?」

 

集団はワニとショッピングカート1台分にまで近接し、銃を突きつけ怒鳴り立てる。

しかし、火星語なのか何を言っているのかわからない。

なので、とりあえず事前に貸与された翻訳機を使用しおった。

 

山賊A「地球人か!?金目の物出せ!」

山賊B「変なことしたらただじゃおかないからな!」

 

えらいことになったと思いつつ、ワニは身体を探る。

ワニ「これしかなかったのだぞ?」

 

そう言い、納豆の辛子を差し出す。当初からなんとなく福引をして偶然当たったのだから、財布どころかスマホも小銭も持っていない。

正直翻訳機は自分のものでも無いので差し出しても差し支え無かったが、何言ってるのかわかんなくなるので気が引ける。

その点で、最もコスパの良い土産が納豆の辛子なのだ。

 

内心辛子をつけて食いたかったが、背に腹は代えられない。ワニはそう思いながら軽く山賊どもに別れを告げて立ち去ろうとしたら蜂の巣にされて一旦死亡しおった。

 

ワニ「まったく……火星人というのは礼儀がなってないのだぞ?」

一旦死亡ワニは復帰しおった。

 

ワニ「辛子つけて納豆くおうと思っておったのに……」

辛子で食べたい欲求を犠牲にしたのに、銃撃されたうえちゃっかり辛子は取られたことに憤怒しながら、ワニは食い終わった納豆の容器を地面の少し陥没していた部分に投棄した。

そして、万が一バレないように足で土をかけて埋め、偽装する。

 

一連の動作が火星の警察に見られていたらしく普通に逮捕され、そのまま死刑になりおった。

 

 

それからしばらく経ったころ……

 

 

冥王星から戻ってきたロケットがまた火星に降り立ちおった。

しかし、その環境は往路の時とは大幅に異なっていたのだ。

 

ワニの投棄した納豆の容器に残っていた納豆菌と火星の微生物が偶然化学反応を起こし、火星は納豆の自生する納豆星になっておったのだ。

当然のことながら、ロケットに乗車していた人間はその経緯を知る由もない。

 

大富豪は降り立つやいなや大喜びで納豆を食す。

大富豪A「なんてすばらしい!」

大富豪B「ネギを持ってこなかったのが悔やまれますぞ?」

イーロン「この短期間で火星がここまで豊かな星となるとは……奇跡だ」

 

大盛りあがりの彼らを眺め、一緒に旅行に行っていた日本一長い商店街会長は閃いた。

日本一長い商店街会長「……これは儲かるのだぞ?」

 

彼は帰国するやいなや、火星に商店街直属の工事部隊を派遣し納豆工場を建立しおった。

そして従業員は、タイミーで時給1万円ってことにしといて荒くれ者だろうが怪しいものだろうが大量にかき集め、実際は火星には最賃無いので3円くらいで雇用して使用不能になったらまた募集をかけることにしおった。

 

このような雇用サイクルだと、能力の高い人間よりむしろ、金がほしいという欲求だけで能力も経歴も人間関係もない人間の方が都合が良い。

 

だが、奇跡的に火星に火星人がいたのでそれを片っ端から捕まえて雇用することにしおった。

おまけに、例のワニもなぜか存在しておったのでついでにそれも雇用することにしおった。

 

ついでに、火星人が納豆の魅力と、地球人に売りつければ儲かるという事に気づいて事業を興されると商店街が独占できなくなるので、商店街の私兵を徹底的に送り込み、商店街教育を徹底させ、火星独自の文明を商店街のそれに塗り替えることにした。

 

その後……

 

ワニ「なぜ辛子取られて働かされなければならぬのだ」

ワニは機械化された納豆畑で取れた納豆に辛子を入れる作業に割り当てられた。

 

ワニ「これじゃ旅行じゃなくて出稼ぎなのだぞ?」

というが、時給3円なので、1ヶ月が720時間だとして2160円しか稼げず、明らかコスパ悪いのでワニは死亡しおった。

 

その後気づいたらさすがに火星的にも労働問題だったらしくストが発生しておった。

 

 

その頃の商店街

 

会長「ストなんか貴様らに教えた覚えはないのだぞ?」

会長はタイミーで雇った私兵を火星に大量に送り込み、圧倒しておった。

 

会長「まったく雇用の機会をくれてやったのに、連中には礼儀をまず教え込まねばならぬようだ」

 

そのときだった。

店員「会長!核兵器が飛んできます」

店員が部屋に飛び込んで言いおった。

会長「どういうことなのだ?」

店員「火星から飛んできてるみたいです」

 

火星の連中が、かつて作ったか何らかの経緯で手に入れたものを撃ってきたのだろう。そう思いながら会長は商店街ごと殲滅されおった。

 

しかし、たまたま1発が国会にぶち当たり、ぶちぎれた総理が火星に核を連射し火星は再度荒れ地になりおった。

そして、復活した会長が、事件の発端がワニであると総理にチクったことがきっかけで、ワニはまた裁判にかけられることになった。

 

裁判長「今から裁判します」

裁判長からこれまでの経緯が淡々と語られる。

 

裁判長「ではなんかありますか?」

 

ワニ「今日は俺は被害者なのだぞ?」

弁護人「今日はワニさん悪くないんですよ!」

検事「しかし元はと言えばワニが旅行に行ったから国会に核が当たったわけですよね」

ワニ「俺は福引しただけなのだぞ?」

弁護人「そうですよ!大体そもそも1等に宇宙旅行入れた福引が悪いんですよ!」

検事「じゃあ会長が悪いんですか?」

ワニ「その通りなのだぞ?」弁護人「そうですよ!」

ワニと弁護人が同時に言いおる。

 

検事「それはそれとしてじゃあなんでワニは火星にいたんですか?」

ワニ「便所休憩してたら置いてかれたのだ」

弁護人「これはイーロンが悪いんです!」

検事「なんで置き去りにされたんですか?」

ワニ「飯屋を探してたら置いてかれたのだ」

検事「しかし休憩時間は10分と事前に通告されていた。それに休憩所も自販機と便所しか無いし、周りに何も無い。本来長時間滞在するところでもないですよね」

ワニ「だから飯屋を探しておったのだ」

検事「10分以内で飯屋を探して、食って、戻ってこれるように計算はしてたんですか?」

弁護人「やべ」

弁護人の口から漏れる。ワニは黙り込みおった。

 

裁判官「なんて見事な裁判劇だ」

 

検事「っていう風に、ワニは休憩時間を事前通告されてたのにもかかわらず、それを無視して置き去りにされた。その結果、国会が核攻撃を受けることとなった。これは国家に対する挑戦です。ついでにきっかけを作った会長も同罪です。どうでしょうか裁判長?」

 

裁判長「じゃあ会長とワニ有罪にします。宇宙にちなんで太陽流しにします」

というわけで会長とワニは太陽流しされて死亡しおった。

ワニ「もう宇宙はこりごりなのだぞ?」

会長「俺は関係ないのだぞ?」

 

その後、イーロンが趣味でロケット運転して火星行ってみたら奇跡的に納豆の芽が一本生えておったのでそれ育ててまた工場作ってボロ儲けしおった。

 

~完~