ワニSS ~ノリでグリーランド併合したトランプ大統領。~ | 適当

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あらすじ

ノリでグリーランド併合したトランプ大統領

日本の最高アプリ、タイミーと連携しグリーランドの知事をタイミーで決めることに

すると日本一長い商店街会長と総理が応募し会長競り勝つ 会長は領海独占して魚乱獲し商店街建造し事実上植民地化するが、総理がワニ送り込むと不法入国で死刑にしてしまう→

総理は自国のワニ勝手に死刑にしたとして武士団送ってグリーランド占拠、現地商店街核乱射し会長死亡

天領とし上様に上納する用の魚乱獲するも事態に気付いたトランプがぶちぎれ国会に核乱射するがずれて商店街に直撃しワニとまた会長ごと殲滅

その後国際問題なりかけるも発端のワニ死刑にして仲直り

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ある日のアメリカ。トランプ大統領が朝起きると雲一つない青空だった。

トランプ大統領「今日はいい天気なのだぞ?」

春の陽気が執務室にも差し込んでおり今日は絶好の執務日和である。多忙と重圧で心のすり減る大統領職も、このような日なら自然とやる気が起きる。

あるいは大統領が天職とすら思える。

 

トランプ大統領「よし、今日はグリーランド取るのだぞ?」

というわけですっかり気分の良くなったトランプ大統領は勢いでグリーランドに旗立ててそのまま領土にしおった。

 

数日後……

 

トランプ大統領「とりあえず取ったは良いがその後決めてなかったのだぞ?」

一応グリーランドを併合したものの、完全にノリであったため内政は二の次であった。

そのため島内は所有者だけが変わった状態となっており、出て行けデモすら発生する状態であったのだ。

彼は次の一手を打つべくパソコンのモニターに釘付けになりネットサーフィンしておったが、そこでとあるページを見つけたのだ。

 

トランプ大統領「なんだこれは……?」

それは日本で絶大な人気を誇るスポットバイトアプリの紹介であった。

そのアプリは1日のうちのスキマ時間で稼ぐことができるという代物で、労働者にも経営者にも嬉しいとして日本で使わぬものはいないほどの国民的アプリであったのだ。

 

それゆえ資格を要さなくても負担が少なかったり時給の高い、言い換えれば人気となりうる案件はすぐに埋まるのだ。

 

彼がそのアプリに興味を持ち、活用法を見出すまでに45秒も要さなかった。

 

グリーランドの知事職を案件としてアプリに出せばコストをかけることなく人事ができる。

 

彼は速攻スポットバイトアプリ会社に話を持ちかけ、数日後にはグリーランド知事職の案件がアプリに浮上したのであった。

 

そして、応募は2秒後に1人目が、3秒後に2人目が応募画面に移動したことが彼の画面から確認でき、彼の予想通り即座に(掲載から7秒後)枠が埋まり、ここに誰かはわからぬが知事が内定したのであった。この時、枠を獲得したのは2番目に応募した人間であった。

 

知事として登場したのは日本一長い商店街会長であった。

 

日本一長い商店街会長「タイミーからきました」

トランプ大統領「きみが今回知事に応募した日本一長い商店街会長くんか」

日本一長い商店街会長「知事となったからにはがんばりますぞ?」

トランプ大統領「まあ貴様に任せとけばよかろう。せいぜい発展させるのだぞ?」

日本一長い商店街「合点承知の助でい!」

 

会長はムダにでかい声で言いおった。

 

数日後……

 

住民A「トランプ大統領が変なおっさんよこしたらしいぞ」

中年の男が言いおった。

 

住民B「見たら石投げてやる」

若い男も呼応する。

 

長老「なるようにしかならぬのじゃからやめるのじゃぞ?」

 

グリーランド島内の話題は知事として変なオヤジが来るということ一色であった。

当然のことながら、得体のしれない知事を自称するオヤジに忠誠を誓おうというほどのもの好きはこの島にはいなかったのだ。

 

日本一長い商店街会長「やあやあ親愛なるグリーランドの兄弟たちよ!私が今回トランプ大統領さんからありがたくも知事の席を任された日本一長い商店街会長です!」

 

住民A「帰れ!」

長老「今すぐ去るのが身のためじゃぞ?中年」

 

日本一長い商店街会長「とんでもない!私はみなさんの幸せのお手伝いに来たのですよ」

住民B「なにいってんだオヤジ」

 

日本一長い商店街会長「この島は可能性に満ち溢れている。私はね、ピッ!と来たんですよ。ただ、それにしては寒い。気候だけじゃない。みなさんの財布もそうだって。江戸商人の勘、っつうんでしょうかねえ」

 

日本一長い商店街会長「こんな可能性に満ちた島がそんなんじゃとんでもない!と思いましてね。みなさんのお力に、私がどうにか、私の経験でどうにかみなさんが、幸せになれれば、私達がみなさんの幸せのお手伝いをできればと思いました」

長老「続けるのじゃ、中年よ」

住民B「長老!しかし」

長老は若い男を制止しおった。

 

日本一長い商店街会長「商店街ってのはねえ、粋なんですよ。人の心が通ってる。そしてみなさんは江戸町人のように粋な心を持っている。東京で長年商店街を支えてきた私が言うんですから間違いありませんよ」

長老「なるほど」

 

日本一長い商店街会長「ですのでみなさん!私と一緒に粋な街を作りましょう!そして、みなさんでこの島を世界で一番楽しい島にしましょう!」

長老「なるほど、おもしろいやつがきたようなのじゃ」

 

こうして日本一長い商店街会長は知事になりおった。

 

その後、沿岸に美しい公園とおしゃれな建築物で構成された商店街が整備され、立派な港も出来おった。

街には笑顔の住民が行き交い、商店街の店という店から威勢の良い店主の声も飛び交う。

 

しばらくは様子見していたトランプ大統領も、その様子を見て数日後にはグリーランドにもはや興味も失っておったのだ。

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しかし、それはすべて会長の策の内だったのだ。

 

会長「くくく、トランプ大統領がここに興味を失ったら俺の本番なのだぞ?」

 

たしかに商店街は美しい公園とおしゃれな建築物で構成した。見栄えが良いからだ。

たしかに立派な港も作った。近海は豊かな漁場であって、すべて己の海とするからだ。

たしかに街には笑顔の住民が行き交い、商店街の店主の威勢は良かった。原住民や雇ったサクラにそうさせたからだ。

 

全ては島で莫大な利益を得て、究極豪邸を建造し豪遊するための準備段階に過ぎなかったのだ。

 

会長は数日後には東京湾を拠点とする商店街が所属の海賊部隊の半分をグリーランドに派遣し、領海内で魚介類の乱獲を行いはじめおった。

 

それと同時に比較的自治がきくことを逆手に取り、収入を己の財布にしまって毎日1皿300円の回転寿司とか行くために現地通貨を円に統一し、それ以外の通貨を一切禁止し、場合によっては粛清対象とすることに決めおった。

 

そのため、現地経済は一瞬で崩壊し、失業率が増えることとなりおった。

 

日本一長い商店街「やはり私の予想通り、みなさんの財布は寒いようで、私はとても悲しいです。それこそスーパーで寿司買った時にいくらと思ったらとびっこだったときのように。しかし!私は無策ではない。みなさんのためにと思って踏ん張りまして、雇用もなんとか確保できました!いや~がんばりましたよ~私」

 

こうして現地民は商店街の拡張やその外周、あるいは沿岸部に塹壕を張り巡らせる要員にあてがわれた。

 

住民C「財布が寒いってお前のせいだろ!やってられっかこんなもん!」

日本一長い商店街会長「あ!皆さん見てください!あの人は幸せの追求を放棄しました。みなさんが明日の幸せのため、こうして一生懸命塹壕を掘ってるのに、あの人はみなさんを見捨てましたよ。こういう時どうするべきでしょうか」

 

文句を言う人間には、甘いものを見つけたときのアリのごとく人がたかり、その末路は推して知るべしなのだ。

 

こうして、島は物理的にも心理的にも商店街一色となってゆき、いつしか一種の要塞となっておったのだ。

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一方その頃、日本の江戸城。

 

上様「おもてをあげい」

総理大臣「はは~」

上様「今日はなんなのじゃ?」

総理大臣「上様、スポットバイトで競り負けていまだにイライラ収まりませぬ」

総理大臣は面を上げて言いおった。

 

上様「なんのバイトなのじゃ?」

総理大臣「グリーランドの知事です」

上様「それは給料よいのか?」

総理大臣「時給は1200円なんですけど、スポットバイトにしては権限が広いのでうまく行けば島をゲットできると思いまして……」

上様「その時給でスポットバイトで管理職とか大丈夫なのか?」

総理大臣「わかりませぬが、どうしてもしたかったもんで……」

総理大臣はそう言ってうなだれおった。

 

総理大臣「あ」

すると、彼は突然ひらめきおった。

総理大臣「良いことを考えました」

上様「なんなのじゃ?」

総理大臣「適当に民送り込んでみましょう。偵察で。もしなんかあればそれ口実にすればいいので」

総理大臣は途端に明るい声で言いおった。

 

上様「だれおくるのじゃ?」

総理大臣「とりあえずあのワニ送ります」

というわけで総理大臣はワニに電話しおった。

ワニ「もしもしワニです」

総理大臣「今からグリーンランド行きなさい」

ワニ「飛行機代出してくれ」

総理大臣「5万円やるからいきなさい」

ワニ「わかりました」

 

とりあえずワニをグリーンランドに送り込むことにした。

 

しかし、ワニはパスポートが無かったのでグリーンランド空港のピーってなるやつのとこで引っかかってそのまま不法入国として対物ライフルで蜂の巣にされて死亡しおった。

 

そして、ワニの一張羅の青ズボン(上半身裸)に位置情報トークンを仕込んでいた総理大臣はワニの死亡を確認すると、待ってましたと言わんばかりに政府直属の武士団をグリーンランドに派遣しおった。

 

そして、2週間もしないうちにグリーンランドの大半が武士団に占領され、グリーンランド一長い商店街には核の雨が降り会長ごと殲滅された。

 

その頃、トランプ大統領は趣味の釣りをやっており、イカ釣ったと思って家で炙って酒のつまみにしようと思って引き上げたらレジ袋だったのでぶちぎれてワニ(アメリカ版)をどついて死亡させておったので、グリーンランドでの事態には気づく由もなかった。

 

その後、商店街は武士団により完全に占領されるも即座に上様に捧げられ、その天領となりおった。

 

上質な魚介類がたくさんとれるというので、それを上様に上納するための前線基地として機能することになったのである。

 

その頃、トランプ大統領はグリーンランドの存在をやっと思い出したのでどうなってるかとスターリンクの超精細衛星写真で確認した所、一番の街だったところになぜか城が建立されてて武士が闊歩しておった。

 

不安に思い沿海に調査船を派遣したところ水軍に撃沈させられおった。

 

トランプ大統領「あの商店街のオヤジめ俺の島を売りおったな」

トランプ大統領は激怒した。あの城、あの武士、あの水軍は日本のものに違いない。

 

というわけで彼は即刻核ボタン連打し国会議事堂に向けて核乱射しおった。

 

しかし座標若干ずれてて全部商店街に着弾、会長と死刑後追い返されてたワニごと商店街はまたもクレーターになりおった。

 

会長「もうグリーンランドはこりごりなのだぞ?」

ワニ「それは俺のセリフなのだぞ?」

 

トランプ大統領の怒りは収まらず、追加の核ボタンをおそうとしておった。

 

しかし、その途端総理大臣から電話がかかったのだ。

 

トランプ大統領「貴様!!俺の島を奪いおったな!!」

総理大臣「な、なんのことですか大統領」

トランプ大統領「グリーンランドは俺の島なのだぞ!?」

総理大臣「え、そうなのですかすみませぬ!てっきり会長の領土かと……」

トランプ大統領「きさまふざけてると倒すのだぞ!?」

総理大臣「すみません!とりあえずまたワニが発端っぽいので、とりあえず死刑にするのでそれでどうか」

 

というわけで総理大臣はワニを詫び死刑しおった。

 

総理大臣「いやあすみません、お騒がせして」

トランプ大統領「俺も熱くなりおったのだ。しかし、とりあえずグリーンランド返すのだ」

総理大臣「いやあそれが……あそこはいまのところ、上様の私有地なので……」

トランプ大統領「だったら上様に言って返すのだ」

総理大臣「政府もさすがに上様に口を出す権利はないもんで、我々がどうこうできる問題じゃないのですぞ……?」

 

さすがに武士団でもアメリカの軍事力をもってすれば1週間でかたがつくし、江戸城も倒せば済む。しかし、上様を倒した後の混乱がこちらに及ぶ可能性を考えると、迂闊に手を出すことはできないのだ。

 

トランプ大統領「ということは……」

総理大臣「じゃあ俺は切りますぞ?」

 

電話がきれおった。

 

トランプ大統領はそれ以来島取るのは懲りおった。

 

~完~