南海8000系 乗車レビュー | 適当

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あらかた写真が揃ったということで乗車レビューやります。

今回は少し前に行ったTwitterでの投票にて得票数が最多となった南海8000系となります。

 

 

大まかに本線と高野線に大別されるらしい南海のなかで全編成が本線で運行されているものの、決して大所帯とは言える数ではないということもあるのか、狙うと来ないけど狙わなければ案外結構来る印象があります。

 

さっそく中に入ります。設備、色使いともにオーソドックスな通勤車という印象です。

一方で、関西というか西日本全体でも珍しくE231系のような首都圏のいわゆる新系列車両の要素やパーツが用いられているということで、「関西のE231系」といった異称もたびたび見られます。

今回はその辺も踏まえて写真を晒し上げたいと思います。

 

妻面。

妻面の通路は新系列車両のそれとおそらくほぼ同様となっているのか、広々としておりかなり通行しやすくなっていると思います。普通に歩くだけでも狭いと単純に通りにくいので。

 

一方、一部を除いた従来車から引き続き妻面には窓があります。2300系を除いてひと世代前の1000系には確かありませんでしたが、あくまで車端部ボックスシートを置いた事によるイレギュラーなのだと思います。

 

※E233系

 

ドア。

先端部や床面の処理から、従来車と比較するとかなりドアまわりの識別がしやすくなっています。また床面の処理は滑り止めともなっているのでしょうか。

全体的に印象としては同じような時期にデビューしたE531系に近くなっていますが、ドアの把手や手すりが若干異なるようです。

 

また、この写真には写っていませんが案内表示は細長いLED式のものが千鳥式に置かれています。

 

※E531系

 

天井周り。全体的に新系列車両とほぼ同様のようでオーソドックスなものという印象です。

一方で、つり革自体は従来車のそれを引き継いだ形状、配置となっており比較的スッキリした印象となっています。個人的にはここも新系列車両と合わせてよかったと思いますが設備的に過剰ということか。

 

※E531系

 

フリースペースと優先席。

 

袖仕切り。首都圏のJRでは一般的な板状のものです。それ以外、特に関西圏で「似たようなもの」をよく見るタイプですね。

 

内側。

 

以前とりあげた泉北高速鉄道の5000系と異なり、おそらくE231系や701系あたりと全く同様のものが用いられています。

 

 

関西圏だとこれに近い形状は他に京阪や山陽、共通点で言えばほんの一部除いて川崎重工製で更新された車両に見られますが、どれもいわゆる新系列車両のそれとは異なっており、同等のものはおそらく8000系だけとなるかもしれません。多分。

 

ということで使い勝手自体は寄りかかるには悪くない程度の窪みと、まあまあ立ち客との分離もできる高さはあるものの、よく言えば「ほどよく良い」、悪く言えば「特別これが良い」ってわけでもない代物となります。

 

一方、握り棒自体はごく一部の1000系で付いたものの、従来車が握り棒すらなく袖仕切り自体も立ち客どころか上半身が文字通りスカスカになるような代物だと考えるとかなり改善した部分だと思います。

 

 
さっそくでもないですが座ります。
新系列車両の要素が散りばめられたような8000系ですが、座席はその要素が特に表れているのではないかと思います。
よくE231系に例えられる印象がありますが、座席幅が拡げられ座面にSバネが入れられた、どちらかというとE531系に近いものだと思います。
 
基本的な新系列車両では概ね共通する特徴として吸い付くかのようにフィットするセズリと、無遠慮な沈み込みやバネの反発も無い座面がちょうど良く自然に座れます。よくヘタる印象のあるSバネもたまたまなのか整備力に定評があるらしい南海なのかわかりませんがしっかりとしています。
名鉄4000系でも言及しましたが、セズリが合わなくて変に力む、座ってて疲れたから姿勢を変える、脚を伸ばすといったこともあんまり無いと思います。
以前和歌山市~難波間まで乗ったときも快適に移動ができ、完成度の高い椅子だと思いました。この車両に限った話じゃないかもしれないですけど。
 
個人的に従来車が基本的にかなり座面が低くセズリも反発する、あるいは窪みが存在しながらも平坦でペラペラで、どう座らせたいのか皆目見当もつかない「座ってて気持ちの悪い椅子」だと感じたので、それを払拭した点ではかなり改善されたものだと思います。
 
※E531系
 
※E231系
 
座席の下。Sバネが入っています。
 
握り棒。もはや標準ともいえる湾曲したもので、いわゆるUD手すりというものだそうです。
湾曲した握り棒自体は他社でも一般的であるものの、他社の新系列車両を基礎にしたものと比較してみると、8000系のそれに関しては、形状自体は上部がややまっすぐになっており比較的独特なものとなっています。
 
※静鉄A3000形
 
東急5000系
 

袖仕切りにより形状が変わらざるを得ない端の部分はともかく、座席間のものによくその差異が表れている気がします。

当然のごとく他社のそれにも差異はあるわけですけども、そういう部分を見比べるのも面白いかもしれません。

 

モノ自体はどこでも言えますが、身長差にかかわらず立席時に掴めたり、立ち上がり時の補助になるだけでなく、座席間のものは着席定員の確保もできる一石二鳥、あるいは一石三鳥と言えるものだと思います。

 

もっと言えば座席間はともかく袖仕切りからの握り棒はあって当然なわけですが、2000年代に入るまでそこにすらろくに握り棒を用意していなかったのはその間一体何を考えてたの?と思いますけど。

 

側窓。こちらも窓割りやブラインドが設置されていることから、おおむね従来車を引き継いでいるという印象です。

 

 

~総合~

いわゆる新系列車両の完成度の高さを実感できる車両だと思います。

 

安定性に優れた椅子、立席時にも不快感を覚えない充実した車内設備、危険箇所が明確な色使いといったおおよそ新系列車両の良さはそのままに、従来車の要素も引き継がれていたりと、変える部分と残す部分が絶妙にマッチした印象です。

 

デビュー自体は15年ほど前、設備的に見てもぶっちゃけ同じ頃首都圏でデビューしていたE233系とくらべると確かに物足りない部分はあるものの、個人的には関西大手で最も快適な車両はと訊かれると迷いなくこの車両を挙げると思います。

 

快適に移動できるだけでなく他社の似たような車両との違いを探してみるのも面白く、これのためだけに南海に乗りにいくのも充分悪くないと思います。

 

このあたりで終了とさせていただきます。

ありがとうございました。