2020年12月14日 修正
最初に
∫[1→∞]xlogx/(x⁴-1) dx
を考えます。
x=1/t
と置換すると
①dx/dt=-1/t²
②logx=log(1/t)=-logt
③x⁴-1=1/t⁴-1=(1-t⁴)/t⁴
④x=1のとき t=1,x=∞でt=0
①~④を使って、
∫[0→1]tlogt/(t⁴-1) dt
になることがわかります。
したがって、
∫[0→1]xlogx/(x⁴-1) dx =∫[1→∞]xlogx/(x⁴-1) dx
であるので,
∫[0→∞]xlogx/(x⁴-1) dx =∫[0→1]xlogx/(x⁴-1) dx +∫[1→∞]xlogx/(x⁴-1) dx
だから,
∫[0→∞]xlogx/(x⁴-1) dx =2∫[0→1]xlogx/(x⁴-1) dx
よって,
∫[0→1]xlogx/(x⁴-1) dx =(1/2) ∫[0→∞]xlogx/(x⁴-1) dx
であることがわかる。
f(x)=xlogx/(x⁴-1) は、x→1 で 分子 xlogx→0 分母 x⁴-1 →0
であるので ロピタルの定理をつかって
(xlogx)'=1+logx
(x⁴-1) '=4x³
lim[x→1](1+logx)/(4x³)=1/4
だから
∫[0→∞]xlogx/(x⁴-1) dx は、存在するので、これを求めればいいことになります.
そこで,複素積分
∫[C]z(logz)²/(z⁴-1) dz
を計算します。
logz を2乗にするのがポイントです。
この複素積分は以下のような領域Cで実行します。
z=0とz=1を避けるような周回積分を考えます。
C1: 実数軸 r→1-ε
Cε1: 半径εの微小半円右周り 1-ε→1+ε
C2: 実数軸 1+ε→R
CR: 左回り一周 R→R
C3: 実数軸R→1+ε
Cε2: 半径εの微小半円右周り 1+ε→1-ε
C4: 実数軸 1+ε→r
Cr : 半径rの微小円右周り1周 r→r
R→∞,r→0,ε→0
で
∫[Cε1]と∫[CR]と∫[Cr]は,0に収束します。
しかし ∫[Cε2] は,ε→0で以下のような値を持ちます。
∫[Cε2]z(logz)²/(z⁴-1)dz で
z=1+εe^(it) (2π≧t≧π)
dz=εie^(it) dt
被積分関数の分母は
z⁴-1=(1+εe^(it))⁴-1
=4εe^(it)+6ε²e^(2it)+4ε³e^(3it)+ε⁴
分子は,(1+εe^(it)){log(1+εe^(it))}² εie^(it)
だから まずは分子と分母をεでわって
分子は (1+εe^(it)){log(1+εe^(it))}² ie^(it)
分母は 4e^(it)+6εe^(2it)+4ε²e^(3it)+ε³
となり、ε→0にすると
分子は {log(1)}² ie^(it)
分母は 4e^(it)
になります。そして logの中身は、分岐点を通っているので
log(1)=log(e^(2πi))=2πi
になるので
結局
∫[Cε2]f(z)dz=∫[2π→π](2πi)² ie^(it)/4e^(it) dt
=∫[2π→π](2πi)² i/4 dt
=-π²i∫[2π→π]dt
=π³i
になります。
そして,
∫[C1+C2]が, ∫[0→∞]xlogx/(x⁴-1) dx に一致します。
f(z)のこの領域での極は、
z=-1,i ,-i
の3点です。
それぞれの留数を求めます。
z=-1の留数
Res(f,-1)
=lim[z→-1](z+1)f(z)
= lim[z→-1](z(logz)²/((z-1)(z²+1))
= (1/4)(log(-1))²
=(1/4)log(e^(πi))²
=-π²/4
z=iの留数
Res(f,i)
=lim[z→i](z-i)f(z)
= lim[z→i]z(logz)²/((z+i )(z²-1))
=-i(logi)²/(4i)
=-(1/4)(log(e^(πi/2)))²
=π²/16
z=-iの留数
Res(f,-i)
=lim[z→-i](z+i)f(z)
= lim[z→-i]z(logz)²/((z-i )(z²-1))
=-(1/4)(log(-i))^2
=-(1/4)(log(e^(3πi/2)))²
=9π²/16
留数の和
Res(f,-1)+ Res(f,i)+ Res(f,-i)
=3π²/8
よって
∮[C] z(logz)²/(z⁴-1) dz
=2πi (3π²/8)
=3iπ³ /4
次に
C3は、実数軸を戻ってくるので
logzは分岐して、log(ze^(2πi))
になります。
したがって
∫[C3+C4]f(z)dz
=∫[∞→0] x(logx+2πi )²/(x⁴-1) dx
です。
したがって
∫[C1+C2+C3+C4]f(z)dz+∫[Cε2]f(z)dz
= ∫[0→∞] x(logx)²/(x⁴-1) dx+ ∫[∞→0] x(logx+2πi)²/(x⁴-1) dx+π³i
= ∫[0→∞] x(logx)²/(x⁴-1) dx-∫[0→∞] x(logx+2πi)²/(x⁴-1) dx+π³i
=-4πi ∫[0→∞]xlogx/(x⁴-1) dx +4π² ∫[0→∞]x/(x⁴-1) dx +π³i
になります。
これが 3iπ³ /4 に等しいので
実部の部分は
4π² ∫[0→∞]x/(x⁴-1) dx=0 で
∫[0→∞]x/(x⁴-1) dx=0 が成り立ちます。
虚部の部分は
-4πi ∫[0→∞]xlogx/(x⁴-1) dx+π³i = 3iπ³ /4
-4πi ∫[0→∞]xlogx/(x⁴-1) dx= -iπ³ /4
よって
∫[0→∞]xlogx/(x⁴-1) dx=π²/16
になります。
したがって
∫[0→1]xlogx/(x⁴-1) dx=π²/32
∫[1→∞]xlogx/(x⁴-1) dx=π²/32
同時に
∫[0→∞]x/(x⁴-1) dx =0
もでました。
もっとも
∫x/(x⁴-1) dx =(1/4)log|(1-x²)/(1+x²)|
であるので,
x→0 で 0
x→1 で -∞
x→∞で 0
だから
∫[0→1]x/(x⁴-1) dx=-∫[1→∞]x/(x⁴-1) dx
が成り立ち、
∫[0→1]x/(x⁴-1) dx+∫[1→∞]x/(x⁴-1) dx=0
よって,主値積分
pv∫[0→∞]x/(x⁴-1) dx =0
になります。
<別解>