カートリッジと昇圧トランス の インピーダンスマッチング | ニャンコの音楽とオーディオでまったりした日々

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オーディオは以下のとおりです。
https://ameblo.jp/tiromie/entry-12481502923.html

質問

先日のMCカートリッジのインピーダンス実験、うちの2ΩのオルトフォンSPUをArai Labのコアや巻線は同じ、2Ωで受ける設計のMCトランスを4Ωで。
逆にアコリバ開発中の4Ωのカートリッジを4Ω受けと2Ω受けさせた時の違いには驚きました。
 


解像度、定位、音場全部がズレて崩れてしまい、カートリッジ開発者やメーカーの音質的意図が消えてしまうと感じたほどです。

これはたったの2Ω差に過ぎないと見るべきか?

案外市販のMCトランスは対処MCカートリッジのインピーダンスに広範に対応との表示がむしろ多いので、この辺りの電気的な問題などを教えていただければ幸いです。

回答

MCカートリッジをトランスで昇圧する場合はカートリッジの内部インピーダンスとトランスのインピーダンスを完全マッチングさせるのが原則となります。

ヘッドアンプでの昇圧はロー出しハイ受けとなりますが、この事でトランス昇圧もインピーダンスマッチングの必要性がないと勘違いしてしまっている方がいます。
それはマニアに限らず評論家やメーカー技術者にまでいるのが困ったものです。

MC昇圧トランスが広範囲のインピーダンスマッチング表示という前代未聞のデタラメ表示をしているのは、MC昇圧トランスの固定インピーダンスを表示させたらユーザーが自身のMCカートリッジとインピーダンスが異なると使えないと判断して売れなくなってしまうのが最大の理由ですが、このようにメーカーがデタラメ表示をする事が余計にインピーダンスマッチングの重要性を訴求出来ない要因になっているのは嘆かわしいばかりです。

2Ωと4Ωで圧倒的な差が出たのは、インピーダンスの値だけで考えれば、たった2Ωの違いではありますが、2Ωと4Ωでは倍の抵抗値があると考えればその影響力の大きさが理解出来るはずです。
特にオルトフォンのSPUやマイソニックラボのような2Ω以下の低インピーダンスカートリッジは昇圧するトランスやヘッドアンプの抵抗値が高ければ、カートリッジ自体の抵抗値の低さは生かされないだけでなく、かえって低インピーダンスであることが不利に働いてしまいます。

尚、MCカートリッジと昇圧トランスでインピーダンスが合わない場合、電気理論的どんな事か起きるか?は皆さんご興味あると思います。
MCカートリッジよりも昇圧トランスのインピーダンスが高い場合は電流が流れにくくなり周波数特性が高域も低域も延びなくなり、ナローレンジとなってしまいます。
逆にMCカートリッジよりも昇圧トランスのインピーダンスが低い場合は電流が流れ過ぎてエネルギーやDレンジが後退してしまいます。

昔はカートリッジメーカーからMCカートリッジの新作が発表された時は専用の同じインピーダンス値の昇圧トランスも一緒に発表されていましたが、これはインピーダンスマッチングの概念からすれば当たり前のことです。
オルトフォンのSPU-Tはシェルの中に専用の昇圧トランスが内蔵されていましたが、超小型の昇圧トランスであったにも関わらずFレンジもDレンジも意外なほど広かったのはインピーダンスが完全マッチングしていたのが理由なのは言うまでもありません。