明日、地元の方に譲る管球王国17号のオーディオマエストロ主催の是枝重治先生のプリアンプです。
ドナドナ前にこの威容を記録しておきましょう。
パッシブプリアンプ、コントロールマイスター Phasemation CM-2000やSPECのパワーアンプでは内部に優れたATTが内蔵されていて、外部のボリュームコントローラーという内部ATTをコントロールするグッズが好ましいことがわかって、増幅回路があるプリアンプは不要になりまして。
筐体、特に上蓋はネジでガチガチに固定すると音が悪くなることをSOULNOTEやESOTERICより早くご存知で、あえて高分子化合物ネジで固定です。
部品は東京光音のRN抵抗以外の抵抗以外は日本製は少ないです。
VUメーター付電源部別
概要
音質評
管球王国の記事から抜粋引用します。
プリのために調達した測定器は20台 校正のためにソニーテクトロのデジタル制御発振器も入手した。
試作の繰り返しで生業もほどほどになった。ここまで真摯にアンプ設計に取り組んだのは産まれてはじめて。
分解能を極限まで突き詰めると、不思議な甘さが出てくるようです。
素晴らしく透明度が高く、深く甘く伸びやかです。 きわめて生きがよく、また一方で、極限的な品質に裏打ちされた静けさが感じられます。
その点でどこか初期のマークレビンソンに似ていますが、今日では他に 類がなさそうな音です。
電気的特徴
以下管球王国17号126P以下から是枝重治さんの解説の抜粋中心です。
・今日のプリアンプには非常によくできたバンドパス特性が求められる
・良質のプリアンプ挿入はシステムを総入れ替えしたくらいの激変ぶりを示す
・作者の価値観に合わない機能は付けない RECout バランスVOL。
・トーンコントロール回路はNF型1段のP-G帰還の変形回路 1962年発表の工家一氏式を基本に、ステップ型にあらため、増幅部を5極管構成に改め、歪み率と帯域で問題のあった原形をとどめないほどモディファイ。特性的には最先端半導体アンプのトーンコンと同等にした。 可聴帯域外の挙動も観測した。
・利得の12dBはすべてトーンコン部で得られている。CDメインの観点 からは残留ノイズレベルからもこの位が適切な増幅率。
・1段目は上記トーンコンと増幅、2段目はカソードフォロアによるバッファー回路 NFは1段帰還
・初段は音質的意味合いから5極管接続
・残留ノイズはどのような場合でも100μV以下であることだが、歪みの打ち消しは音の立ち上がりの鈍さにも直結するので、最小ポイントが最適な動作点ではない。歪み率は後半分に下げられるが音質上から適切ポイント とした。
・増幅部は米測定器メーカー、テクトロニクス向け12AU6の6球構成。この選別球が性能を制している。特殊な値の抵抗も真空管が高精度に選別されているから使えたもので、ランダムに差し替えてもかまわない 。
・あえて安定化電源は付けず、電源ドリフト対策は整流直後の電圧をできるだけ高くして、抵抗と大型コンデンサーでドリフトを吸収させた。
・元の電源回路に是枝先生ご了解のもと、さらに出川式第二世代電源を出川先生ご本人にやっていただいて、電源は大幅強化いただいています。
・増幅回路での消費電流より多くブリーダー電流を流すと、よく出来たシャント型安定化電源より音がいいよう。
・ただし電源コンデンサーの音がすべてを支配するので、マロリーのFP295を使用。
・整流はダイオード、直列にデールの1KΩの抵抗を入れて整流管と変わらない高さの内部抵抗とした。
・ヒーター点火には3端子レギュレーターを入れた。
・ケースは音質に直結する極めて大事な部分。特注でステンレス5ミリ厚板加工。あえて天板などは締め付けない方がいいので、プラスチックネジを用いた。
・フットはネジ式なので4つの高さを可変できる。
・VOLは命。スペクトロールの10KΩ巻き線型のポテンションメータ。
・SACDについては、100KHzまで特性が伸びていることと必ずしも関連しない。20KHzどまりでも問題ない場合もあれあ100Kまで伸びていても適さないものがある 数十MHzまでのVHF帯までの安定性を確認した。 NFがかかったプリでは100K以上の安定に問題が出る場合がある。
・アースはすべて入力部での1本(映像機器もからむと別)→サブウーハーの高周波ノイズ対策から改造していただいて、分派してもらいました。
・VUメーター直結は音質を悪化させるので、ヤマキ製VUメーター用にOPアンプを特注(これは私用にメーターアンプを別注してゲインを上げて貰いました メーターが振れまくるのが楽しいから) メーターアンプの入力インピは20MΩでさらに分断抵抗300KΩにうよって音質に影響しな いようにした。
以上です。
写真のとおり、ワイヤリングもプロの仕事です。
このプリアンプもそうですが、Marantz#7やALTECなどの名アンプには取説とは別にサービスマニュアルが付いていて、回路図、パーツリスト、配線図、特性などが付いているのが素晴らしいと思っています。
故障、不具合のときに、オリジナルと同じ音質や性能に回復できるからです。
実測で本体9.8㎏、VUメーター付電源部は13.8㎏あります。
サイズは一般的なアキュフェーズなどのプリメインアンプやプリアンプより幅や奥行は一回りくらい小型です。
付属品は本体と電源部を接続する軍用端子のケーブル、それも特注で長めにしていただいて、本体と電源部を横に置ける長さのものが付きます。 電源部のトランスの振動や漏れ電磁が本体に悪影響を避けたいための徹底です。