同じ導体なのに音質が異なる理由
ハイエンドユーザーなのにケーブルは業務用ケーブルの自作で済ませている方を見かけます。
これはプロケーブルが主張しているようにデタラメなオーディオケーブルであれば業務用ケーブルの方がマトモだということからそうしているのでしょうが、業務用ケーブルはあくまでもマトモなだけでプロケーブルが大袈裟に最強と騒ぐような代物ではありません。
技術的にも音響的にも徹底的に吟味されたオーディオケーブルは業務用ケーブルの流用ではとても到達出来ないクオリティをオーディオシステムにもたらします。
そのようなケーブルの素材を入手することは出来ませんし、構造を真似することも出来ませんので、私は本当に優れたオーディオケーブルの自作は困難と諦めています(笑)。
オーディオケーブルが導体の種別だけで音質傾向を判断出来ないことは少し前のアコリバ、シルテック、サウンドデンの銀導体の音質が全く異なることを書いた通りです。
同じ銀でも音は全く異なります。
理由はまず、その純度になります。
産業用ルートに流通する銀の最大純度は4N(純度99.99%)になります。
このため、オヤイデが一時期宣伝していた5N銀というのは真っ赤な嘘になります。
(詐称で通告されたのか?最近は5N表記をやめています)
アコリバやSAECがPC-TripleC/EXに使用している銀は貴金属ルートから5N純度の銀塊を入手することから製造が始まりますので、高額になるのも頷けます。
産業用に出回っている銀線には2N(純度99%)以下のものも沢山存在しますので、オヤイデがやってるような安物銀線は要注意です。
また、シルテックは金の精錬時に出る銀を使用しているなどと宣伝していますが、金の精錬時に銀が一体どれだけ取れるというのか?(苦笑)。
こういうとんでもない詐欺広告をやるからオーディオケーブルが怪しい世界に見られてしまうのです。
このように同じ銀でも純度が違えば導電率も変わりますし、当然音質は変わって来ますし、さらに細かくいえば結晶の構造なども関わって来ます。
(PC-TripleC/EXは鍛造で電気が流れる横方向に連続した結晶構造になっている)
しかし、導体の純度以上に導電率や音質に影響して来るのが絶縁材やケーブル自体の構造になります。
絶縁材には電流を止めようとする力の値である 「誘電率」
信号を変質させてしまう値の「誘電正接」
という確固とした性能差が絶縁素材によって存在します。
また交流電力が流れると磁界が発生し、磁界は電流の流れに影響を与えます。
この磁界がケーブル内にどのように発生するのか?どのように処理するのか?でも伝送特性は変わって来ますし、フレミングの左手の法則でいえば電流が流れることで物理力が働き、ケーブル自体がミクロ的に振動しますので、この 「ケーブル振動の処理方法」も重要になって来ます。
振動で考えればスピーカーからの外的振動対策も必要でしょう。
そして外皮や被覆に発生する 「静電気の影響」も無視出来ません。
さらに忘れてはならないのが、「プラグの材質やメッキ、構造」(ケーブルは半田よりネジ止め)」のトータルでケーブルの性能や音質が決まります。
詳しくは改めて考察するとして、例えば周りが5N銀、中心部がPCトリプルCの国産最高級導体とされるEX導体はアコリバとSAECで採用されています。
ただ音質はこれだけ異なるとされています。
私が販売店で聴いた印象も同じです。奥行き方向への3D音場に着目するとすぐにわかります。
何故、同じEX導体でこんなに音質が違うのでしょうか。
その理由は構造の違いにあります。
アコリバはEX導体の1本の単線に対して、SAECはEX導体は撚り線、しかも極々細いものを6本、中心のPC-TripleC導体の周りに配置するスーパーストラタム構造となってます。
あれ?
中心がPC-TripleCということは銀と銅で出来たEX導体ではなく銅ですね。
つまり、SAECのはEXケーブルではなく、EXも使った複合構造のケーブルと言うべきですね。
SAECのケーブルはPC-TripleC/EXと表記されていることがほとんどですが、これは混乱を招きますし、ユーザーを騙しているようにも思えます。
何故ならSAECのケーブルはEX導体はオマケ的に使われているだけで、比率としては10倍近く太い銅線であるPC-TripleCが大部分を占めるのですから。
導電率105%のPC-TripleC/EXと101.5%のPC-TripleCの伝送スピード差も気になりますし、多数の導体を使用した構造から磁界の複雑化、EX導体が撚り線であることで迷走電流による雑味や歪みの発生も考えられます。
SAECのEX使用ケーブルがハイ上がりで高域に妙な癖を感じるのはこのためかもしれません。
そもそもSAECはEX導体単体ではありませんし、その他の要素もこれだけ違うのですから
アコリバのEXケーブルと音質差が大きくかけ離れてしまうのも当然ですね。
最近オヤイデの細い銀単線をスピーカーケーブルに使った音質評が音の素人の方からあるようですね。
同じ銀と銅のハイブリッド導体EXを使っているうちのアコリバの特注スピーカーケーブルです。
こちら向きの白いテフロンの絶縁体の太いのが低音用、細いのが中高音用でバイワイヤーとしています。
EX導体のケーブルは中高音用の細い方です。
低音用のPCトリプルC単線は同社の輸出専用の電源ケーブルにも使っている最大径の太いものです。
EX導体は最大径φ1mmが製造限界ですが、その再生FレンジはPC-TripleC導体のφ1.8mmを超えるそうです。
アコリバにEX導体のスピーカーケーブルがないのは見た目の太さでスピーカーケーブルを判断するユーザーが多いのが原因かもしれません。
うちでは高域側にテフロン絶縁のEX導体、低域側にシルクとテフロンで絶縁した極太の2.8x2.4mmの楕円PC-TripleC単線導体をバイワイヤーで使用することにより、伝送スピード差を感じない繋がりの良い音質を実現しています。
くだんの素人の銀単線のスピーカーケーブル日記は導体の太さや純度、絶縁体、振動対策、静電気対策などの総合的考察も全くありません。
さらには生音や生演奏でレコーディングからマスタリングのクラシックやジャズでオーディオの音質評価しているから、オーディオは廃れる、米津玄師のような電気加工された、それもどう加工されたか不明な音楽で音質評価しないからオーディオは流行らないなどと宣っています。
失礼ながら生音を知らずしてオーディオの正しい音決めは不可能です。
少なくとも生の楽器による演奏を体験しなければオーディオシステムから再生される音色や質感は判断出来るはずもなく、現実からかけ離れた電気的な音を持ってして「これが本物のストラディバリの音だ!」などと叫く滑稽極まりない醜態を晒すことになります。
音の判断基準を確立するにはオーディオだけでは絶対に不可能です。
生演奏やライブなど膨大な音楽体験を経て初めて正しい判断基準は養われます。
このような浅はかなケーブルの理論的考察をするのは音楽体験がなく根本的な判断基準が欠落から来ているのだと読みました(笑)
PS 素人の素性不明なのからこういうコメントです(苦笑)
素人、素人と連呼していますが、
あなたもスタジオ数回、数十回ならば、完全な素人。
プロのようにふるまわれると、我々プロは大いに迷惑です。
以上。