アルニコ、ネオジウム、フェライト・マグネット音質 | ニャンコの音楽とオーディオでまったりした日々

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オーディオは以下のとおりです。
https://ameblo.jp/tiromie/entry-12481502923.html

これも、振動系を同じくして、マグネットだけを交換して比較試聴など我々エンドユーザーが出来る話ではないので、一つ前の日記と同じく、SONYでプロ用スピーカーユニットらを設計して、現在PARC Audioを主催する社主のblogを引用させていただきます。

1)フェライトマグネット
 長所
*一般のスピーカーで使われているマグネットの中では一番価格が安く、最も多く使われているマグネット。
*パワー減磁に強く、高温特性に優れているので、大パワーユニットやウーファーには最適。
*錆に強いので、アウトドアや車等での環境には最適。

 短所
*低温特性が悪く、低温減磁を起こすことがあるので、車用や極端な低温環境での使用には注意が必要。
*磁束をかせぐには大きな外径が必要で、小口径で高磁束が必要な場合などではサイズの問題で使えないこともある。
*特性的に外磁型に向いており、内磁型での使用は不可能。
 そのため、防磁型として使用する場合はキャンセルマグネットやバックカバーを併用することとなる。
*一般的に、音質評価はアルニコに比べ高くない。電気抵抗が高いことが一因とも言われている。

2)ネオジムマグネット
 長所
*現存するマグネットの中で最強の磁気特性を誇る。
*特性的には外磁型での使用が効率的だが、Brも高いため内磁型での使用も可能。
 そのため、トゥイターや小口径ユニットなど、外径規制のあるユニットではこれしか使えない場合もある。
 高性能トゥイターでは定番のマグネットとなっている。

 短所
*高温特性が悪いのが最大の欠点で、高温減磁を起こす。
 そのため、大パワーウーファーや高温環境下での使用は非常に厳しい。
*高価な希土類が素材であることと、日立金属(旧住友特殊金属)の基本特許があるため、価格が高い。
*非常に錆びやすいので、防錆処理が不可欠。これもコスト高の要因。
*非常に強力な着磁パワーが必要なため、大口径マグネットを使うには強力な着磁機が必要。
 そのため他のマグネットのように逆磁界をかけて行う簡単な脱磁が出来ないため、高温脱磁を行う必要がある。

3)アルニコマグネット
 長所
*特性的に内磁型に向いており、音質的にも最も評価が高い。
 私見ではありますが、経験的には同じ内磁型でもネオジムよりも音質的に良いと思います。
*低温、高温ともに温度特性は非常に優れており、精度を要求される測定器等にも使用される。
*内磁型を使うことでフェライトよりも外径を抑えることができ、ウーファー等での背面のエアーフロー処理に有利。
 (これについては、内磁型でのネオジムも同じ)
*機械強度が強く、取り扱いが楽。
*大きな着磁パワーを必要としないので、小型の着磁機でも簡単に着磁が可能。

 短所
*パワー減磁に弱く、パーミアンスを高くする必要がある。
*大型のものは使用例が激減していることもあり、以前にも増して高コストとなっており、
 磁気回路全体としてはネオジム以上に高価なマグネットである。

4)サマリウムコバルト(サマコバ)
 長所
*ネオジムマグネットの次に強力なマグネットで、初期のウォークマン等にも使われた。
*ネオジムと同じ希土類系ですが、ネオジムよりも温度特性が大幅に安定しており、高温特性も良い。
*錆にも強く、この点でもネオジムよりも優れている。
*ネオジム同様にBrも高いため、内磁型での使用も可能。

 短所
*希土類が素材のため、非常に高価である。アルニコよりも更に高価。
*脆くて欠けやすいので、取り扱いには注意が必要。


音質
マグネットについての印象と言えば、私が一番強烈な印象を持っているのはやはりアルニコマグネットです。
一番分かりやすい例としてはSONYのプロ用ユニットのSUP-T11とSUP-T12でしょう。
イメージ 1


この2モデルは、全く同じ振動系を採用しており、違いはフェイズプラグとスロートの材質差(これの影響ももちろんありますが)とマグネットの差(T11はアルニコ、T12はフェライト)

両モデルの音質の違いを一言で言えば、私は音の柔らかさの差だと感じています。音が柔らかいというと、なんか音が甘いというような印象を持たれる方もいらっしゃるかも知れませんが、むしろ逆でアルニコのT11の方がはるかに解像度は高いのです。別の表現で言えば、音が自然な感じということになりますね。

フェライトのT12の方は音の細部にちょっと余計なヒゲがつくような感じで、これをシャープな音と好意的に感じる方もいるかも知れませんが、私自身はこの手の音は苦手で、歪みの多い音という印象が強く、音量を上げていくとその差はさらに大きくなっていきます。

前にも書いたかも知れませんが、解像度や音の分解能を上げながら、聴きやすい柔らかい音を出すということは技術的に本当に難しいものです。単に柔らかい音を作るのは簡単なんですけどね。
(まさにハイエンドスピーカーと普及品の音質を連想)

ネオジムに関して世間ではかなり好印象を持たれているようですが、私の印象では少なくとも音質に関してはアルニコとの差はかなり大きいと感じています。音の自然さ(これが一番重要です)で言えば、アルニコ内磁>ネオジム内磁>ネオジム外磁>フェライト外磁 といった感じでしょうか。

内磁型と外磁型
内磁型と外磁型の差がありますが、私自身はこれも結構大きい要素。

量産化はボツとなりましたが、T11を開発している時にネオジムの外磁型と内磁型の試作品を検討したことがありました。同じ材質で内磁と外磁を検討するにはネオジムは最適なのです。

その時の音の印象としては、同じネオジムでも内磁型の方が音が自然で少しではありますがアルニコ的な方向になるなぁというものでした。

ちなみに、JBLではプロ用の4インチドライバーはネオジムの外磁型を使い、ホーム用のK2などではあえてネオジムの内磁型を使っているのを見ても、彼らも同じような印象を持っているのではと勝手に思っています。