平衡感覚とは、互いに矛盾する両極にあることの、
中間点に腰をすえることではないと思う。
両極の間の行き来をくり返しつつ、
しばしば一方の極に接近する場合もありつつ、
問題の解決により適した一点を探し求めるという、
永遠の移動行為ではなかろうか。
自由と秩序は、互いに矛盾する概念である。
自由を尊重しすぎると秩序が破壊され、
秩序を守ることに専念しすぎると、
自由が失われる。
だが、この二つは両立していないと困るのだ。
自由がないところには進歩はなく、
秩序が守られていないと、
進歩どころか今日の命さえ危うくなるからだ。
塩野七生 著 ローマ人の物語 15
パスク・ロマーナ 中巻 より
最近の言葉ではバランス感覚と言うのだろう。
確かに自由と秩序をテーマとして考えると
この平衡感覚の重要性は非常に解りやすい。
だれにも平等で公平な
その着地点は誰が決めるのか。