逆崎約子:「またね」 | 弐位のチラシの裏ブログ

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 今日のパラノマサイト FILE23 本所七不思議はどうかな?


 午後1時台
 駒形高校


 津詰「禄命簿・陰の書なんてもんがな・・・」
 襟尾「キミたちお手柄だね!」
 約子「ありがとうございます」
 津詰「こっちも白石美智代の家で得た情報を伝えておこう」


 ミヲ「岩井という人が、黒魔術の生贄として誘拐を!え、その誘拐を、白石さんが手伝わされていたの?で、それを城之内先生に弱味として握られてたってこと?」


 白石美智代のことを話す。
 津詰「今の報告の通り、城之内や岩井が死亡していた状況を見ると、白石美智代がやった、と考えると合点がいくわけだ。しかも、白井美智代はそれに気づいてほしがっているフシすらある。」
 襟尾「そうなんですか?」
 津詰「城之内の現場に落ちていたリボンなんか、特にそうだろう。黒鈴は、もうわかっていたのか?」
 ミヲ「はい、今朝くらいから。でも、情報がまだいっこ足りなくて。でも、そろそろ限界ですよね」


 禄命簿・陰の書のことを話す。
 襟尾「その禄命簿・陰の書ってやつがあれば、今回の呪いの解除方法がわかるってこと?」
 ミヲ「はい、今回の呪いの元凶になっているのが江戸時代の本所事変と呼ばれる惨事で、その一件を案じた土御門晴曼という術師が何かの対策を仕込んでいるらしいから、呪いを鎮められる可能性は、あるかなと」
 津詰「そっちからのアプローチは黒鈴に任す。心霊対策室にも問い合わせているが、禄命簿・陰の書の捜索を最優先で頼むわ」
 ミヲ「わかりました」
 約子「どうやって探すの?」
 ミヲ「晴曼の末裔に引き継がれている可能性があるらしいけど、自覚はなさそうだからね。なんか一族の印みたいなものがあればいいけど。まずは心霊対策室を頼るしかないかな」


 西洋黒魔術のことを話す。
 襟尾「岩井や根島がやっていた西洋黒魔術は、やっぱり紛い物なの?」
 ミヲ「そこそこ知ってますけど。おかしいな、誰にも言ってないのに」
 約子「ミヲちゃん大丈夫!みんな理解してるんだよ!」
 ミヲ「うん、でも、なんか微妙」


 西洋黒魔術のことを話す。
 襟尾「西洋黒魔術の識者としての見解はどう?」
 ミヲ「その魔道書を見せてもらえれば確実だけど、その手のやつは、だいたいが300年くらい前に流行った紛い物だと思う。誰でも魔術が使えると喧伝して魔女狩りを回避するためのカモフラージュ用のやつ。デタラメだと証明しにくいようにわざと過激な生贄が必要にしてあるのも特徴だよ」


 西洋黒魔術のことを話す。
 津詰「あの黒魔術が紛い物なら、そっちの影響を警戒する必要はなさそうだな」


 黒幕のことを話す。
 津詰「今回の黒幕についてだが、いっこ思い当たるところが出てきた」
 ミヲ「さっきの岩井の話にあった、ヒハク石鹸の会長さんですよね」
 津詰「若さや蘇生のために秘術だろうが魔術だろうが片っ端から手を出している。資本もある。女の声、という新石の話とも合致する」
 襟尾「神通力を持つ女帝が黒幕というのはなんだがいかにもな感じですね」
 ミヲ「その力が本当なのかどうか、調べてみたいですね」


 黒幕のことを話す。
 津詰「ヒハクの女帝とやらは要マークだな。ちょっと本部に言って探らせておくか」


 白石美智代のことを話す。
 津詰「さて、ぼちぼち限界なら、率直に言うぜ。逆崎約子」
 約子「わたし?はい!」
 津詰「呪詛珠を出して黒鈴に渡してくれや」
 約子「ずっとポケットに入れっぱなしで特に何もしてないはずだけど?」
 ミヲ「ありがとう、ちょっと借りるね」
 津詰「どうだ?」
 ミヲ「やっぱり滓魂、少したまってる」
 約子「え!どうして?わたし、何もしないよ!信じてください!」
 ミヲ「わかっているよ」
 津詰「逆崎、ちょっと落ち着いて聞いてくれや。城之内と岩井を呪い殺したのはその馬鹿囃子の呪詛珠なのは間違いねえ。だが、それを行使したのは、逆崎約子。あんたの中にいた、白石美智代だ」
 約子「え!私の中って?」


 どういうこと!?
 約子「どういうこと!?」
 ミヲ「やっこちゃんダイジョブ。落ち着いて聞いて。やっこちゃんは、憑りつかれているの。白石さんの霊に。だぶん事故現場に花を供えたときだね。無念を抱えて彷徨っていた霊が、親友だったやっこちゃんに呼応して入り込んだ」
 約子「美智代ちゃんの霊が?」
 ミヲ「前にも説明したけど憑りつかれたからって、自我を乗っ取られることはほとんどない。普通は、意識が拒否反応を起こして体調や気分に影響が出る程度だんだけど、もともと白石さんが高い霊感を持っていたのと、やっこちゃんの精神が、親友の白石さんを受け入れたことで、意識が馴染んで混ざり合ってしまったの。今も明確に分離するのがちょっと難しくなってる。そうなると、簡単には霊を黄泉に送れないの」
 約子「混ざってるの?まったく自覚ないよ。だって、わたしはわたしだって思うし」
 ミヲ「それは混ざった白石さんの意識も、今は『自分は逆崎約子だ』と思い込んでいるからだよ。霊になって憑りついた場合でも、明確な意識は持っていなくて曖昧な記憶しかないの。それでも白石美智代としての記憶や意識は多少残っているから、普段のやっこちゃんとは性格とか言動に少し食い違いが出ていたし、影響の強いものに接したときは反応することもあった。だけどね、白石美智代として死ぬ直前まで抱えていた無念やその経緯を正しく理解しておかないと、やっこちゃんの意識と分離するのが難しくて、今まで様子見してたの、ごめん。さっき限界って言ったのは、あまりこのままにしていると、完全に融合しちゃって、絶対に分離できなくなっちゃう可能性があるの。やっこちゃんの意識が、どこまでが本当の自分のものか、わからなくなっちゃう」
 約子「何それこわい!わたしがわたしじゃなくなるってこと?」


 でも!
 約子「でも!実際には、わたしの知らないうちに美智代ちゃんが呪詛珠を使ってたんだよね?それって、すでに身体を乗っ取られてるってことなんじゃないの?」
 ミヲ「それはたぶん、呪いによる殺意の増幅効果と霊夜祭の影響だと思う。霊夜祭で霊力が高まっている状態でやっこちゃんが眠っている間に、白石さんの意識が強く表れて、身体を操っちゃったってことだと思う」
 約子「わたしが、殺したんじゃないか!呪いを使って、ふたりも!ああああ!!!」
 ミヲ「違うよ!操られているのはしょうがないよ!ですよね、警部」
 津詰「ああ、そうだな。霊障として心神喪失状態であったと認められる可能性は高いはずだ。お前さんがコントロールできるもんじゃねえ。そこは安心してくれや」
 約子「違うの!わたしも殺してやりたいって思った!きっと、その気持ちが出たの!美智代ちゃんのせいだけじゃない!美智代ちゃんが自殺じゃないって知ったときだって、周りのひどい大人たちみんな呪いで死んじゃえばいいのにって思ってたし!呪詛珠を持ってのだって、あわよくば美智代ちゃんの仇を取りたいって、思ってたし!せっかく、美智代ちゃんはつらい毎日でも、逃げ出さずにいたのに!それなのにわたしが、呪詛珠なんて持ってたから、美智代ちゃんの復讐なんてさせてしまった!黙って耐えてそれでも生きようとしていた美智代ちゃんの想いを踏みにじったんだ!わたしがさっさとやればよかったんだ!ごめんなさい、美智代ちゃん!ああああああああ!だから、これはわたしが殺したんだ!」


 美智代「やっこ!いた、いた」
 約子「おおっ、美智代ちゃん!最近あんまガッコ来ないから心配しちまったじゃないか!元気そうで良かったよ!」
 美智代「ごめんね、事情も言えず、それがずっと心残りだった」
 約子「なんだい改まって、水臭いねえ!もし美智代ちゃんを悲しませるヤツがいたらあたしが全員ぶっとばしてあげるから!」
 美智代「いつもありがとね、やっこ。実はあなたに伝えたいことがあって来たんだけど」
 約子「なんでも言って」
 美智代「あのね、私、なんの罪もない男の子にとても許されないことをした。脅されて逆らえなかったなんて、言い訳にもならない。ごめんさない。ずっと悔やんでた。弱かった私は取返しのつかない罪をたくさん犯してしまった。今更もうあの地獄から逃れる方法なんてなかった。もう限界だった。あいつらを殺して自分も死のうって本気で考えた」
 約子「え?」
 美智代「でも、その矢先に事故に遭って、真っ先に無念だったのはそれだった。あなたのおかげでそれを果たすことができたの。ありがとう。本当に迷惑かけてごめんなさい」
 約子「待って、迷惑とかはいいんだけど!」
 美智代「でも、今更気づいたの。せめて私と友達でいてくれたこと、最後の最後にこうして一緒にいれたことだけは、どうか忘れないでほしくて」
 約子「待って!美智代ちゃん!」


 約子「あれ?」
 ミヲ「大丈夫?急でごめんね、やっこちゃん」
 約子「ここ、教室?あれ?なんか夢みてた?」
 津詰「気持ちの整理がついてねえところ申し訳ねえんだが、どうしても白石美智代の証言が必要でな。もう四の五の言ってらんねえんだわ」
 ミヲ「どうすればいいのか考えた結果、やっこちゃんの中の白石さんは意識が混濁しちゃってるわけだけど、霊体として呼び出せば、ある程度意思疎通もできるんじゃないかな、ということで」
 約子「なるほど。それで、またこっくりさんを?」
 ミヲ「実は、前回に呼び出した霊って、白石さんだったんじゃないかな、と」
 約子「だとしたら、絶対やろう!声聞きたい!」
 ミヲ「昼間でうまくいくかわからないけど、やってみよう。心の準備はいい?」


 いいよ
 約子「うん、大丈夫」
 ミヲ「それじゃいくね。まずは10円玉に一緒に指を置くの」
 約子「こうだね」
 ミヲ「こっくりさん、こっくりさん。どうぞおいでください」
 約子「こっくりさん、こっくりさん。どうぞおいでください」
 ミヲ「もしおいでになられましたら、【はい】へお進みください」
 約子「おお、来たね」
 ミヲ「白石さんの霊は来てくれたのか、やっこちゃん確認してみて」


 あなたは白石美智代?
 約子「こっくりさん、こっくりさん。あなたは、白石美智代の霊ですか?」
 約子「【はい】だって!」
 ミヲ「中にはふざけて答える霊もいるから、白石さん本人じゃないとわからない質問してみて?」
 約子「こっくりさん、こっくりさん。前に、わたしと美智代ちゃんが一緒に買ったリボンはいくらだったでしょうか」
 約子「490円だからあってる!」
 ミヲ「間違いなさそうだね。じゃあやっこちゃんから質問してもらえる?」
 約子「何を聞けばいいんだっけ?」
 ミヲ「根島史周の隠れ家の場所と、お守りの在りかかな」
 約子「オッケー」


 根島史周の隠れ家は?
 約子「こっくりさん、こっくりさん。根島史周の隠れ家の場所を知ってたら教えてもらえますか。お願い!今捕まえないと大変なことになっちゃうの。恐怖を植え付けられて思い出すのも辛いだろうけど、今は美智代ちゃんだけが頼りだから。お願い!」
 ミヲ「動いた!」
 約子「これは住所だ!詳しい住所を教えてくれてる!ありがとう、美智代ちゃん」
 ミヲ「住所わかったよ!ありがとう!」
 津詰「エリオ!すぐこの住所に確認に行け!」
 襟尾「はい!本部に連絡してこの住所の一帯を家宅調査します!」


 お守りの在りかは?
 約子「こっくりさん、こっくりさん。美智代ちゃんが持っていたというお守りに、心当たりはありますか?」
 約子「やっぱりあったんだ」
 ミヲ「場所を絞り込めないかな」
 約子「こっくりさん、こっくりさん。そのお守りは肌身離さず持ち歩いていましたか?」
 約子「持ち歩いていたんだね。じゃあ、美智代ちゃんが事故に遭ったときもそのお守りを持っていたのですか?」
 約子「持ってた!」
 ミヲ「でも遺留品にお守りっぽいものはなかったって」
 津詰「現場検証するより前に誰かに持っていかれたってことか?」
 ミヲ「警察より先に白石さんが倒れていることを知ることができた人物ってこと?」
 津詰「最初に発見して通報したのは隣のマンションの管理人だな。確認しておくか?」
 ミヲ「あと考えられるとしたら、ひき逃げ犯?」
 約子「ひき逃げなんだから逃げ去ったんじゃないの?」
 ミヲ「戻ってきて確認したのかもしれない」
 津詰「だとしても通報もせず遺体をあさって、お守りだけ取っていくってのは、ちょっと考えにくいな。始めからそれを狙ってでもいねえ限り」
 ミヲ「なら狙っていた可能性は?それだけ特別なお守りなら」
 津詰「わざわざ奪い取るためにひき殺すってのはさすがにどうだろうな。だったら、衝突で落ちたお守りをうっかり拾ってそのまま持ち去った、ってほうがまだあり得るが」
 約子「ひき逃げだとしたら、その犯人は捕まえたい。さっき見せてもらったワゴン車の写真で、何か思い出したかもしれないし」
 ミヲ「一応聞いてみよっか?」


 ひき逃げ犯は?
 約子「こっくりさん、こっくりさん。美智代ちゃんをひき逃げした犯人は、知ってしますか?」
 約子「知っているんだ!」
 ミヲ「よかった。それだけわかってなかったから。実は霊を成仏させるためには、できるだけ詳しい情報が必要で。死の間際に何が起こっていたのかを、理解できてないと、彼岸に送れないの。強制的に祓うのとは違うから」
 約子「こっくりさん、こっくりさん。美智代ちゃんをひき逃げした犯人は、誰ですか?」
 約子「な、み、か、き?え、並垣!」
 津詰「なんだと!まさか並垣祐太郎?お前さんたち知ってんのか?」
 ミヲ「さっき喫茶店を出たあとに話しかけられました。呪主だった人ですよね。あ、そうか、あのときのやっこちゃんの反応はそういう」
 約子「そういえばあいつ、美智代ちゃんのことで話があるとか言ってたね」
 津詰「呪詛珠もねえのに何たくらんでやがる?」
 ミヲ「その人、両国橋の近くで待ってるって言ってました」
 津詰「あとで俺も行こう」
 約子「あいつた、美智代ちゃんを」
 ミヲ「やっこちゃん。この情報が真実なら、もういけるはず。未だ苦しみ続ける白石さんを、早く解放してあげよう」
 約子「わかった」


 お別れする
 約子「こっくりさん、こっくりさん。いや、美智代ちゃん。ありがとう、助かったよ。あのさ、家のこととか、誘拐のこととか、先生に脅かされててたこととか、何も知らなくてごめん。本当に、辛かったよね。たぶんわたしには理解できないほどつらい毎日だったんだと思う。そりゃ復讐したかったろうよ!他人のわたしでも思うもん!もうさ、取返しのつかないことばっかりになっちゃったけど、本当のことを知れて良かった。美智代ちゃんに言いたいことは山ほどあるけど、もういいや。最後にひとつだけ聞かせて。またわたしと一緒に遊んでもらえますか?」
 約子「いいの?やった!約束ね!」
 ミヲ「じゃあ、これで必要なことは聞けた?」
 約子「うん」
 ミヲ「じゃあ、このまま白石さんの魂、送り出すね」
 約子「うん、お別れだ。美智代ちゃん、これでやっと解放してあげられるんだね」
 ミヲ「やっこちゃんが最初に熱心の主張していた通り、ただの自殺で終わらせずに済んで、ホントよかったね」
 約子「うん、そうだね。まさか、ここまで辛い事情があったなんて思わなかったけど」
 ミヲ「ううっ、ごめん。だって、なんか白石さんが、本当に、大人たちにメチャクチャ踏みにじられてもずっと一人で耐えてたのに。もっと勇気を出して、私も声かければよかった!」
 約子「ありがとうねミヲちゃん。わたしも、できることがあったと思うとすごく悔しいし、胸が苦しい。どうして、真面目に精一杯生きていた子がここまで思いつめないといけないんだろう。最後の最後まで不運に見舞われて、残酷すぎるよね。でも、だからってさ、事情をわたしにも黙っていたことと、生きることより復讐に走ったことは、やっぱり許せないかな!ああああ!!!なにやってんのさあ!ほんとにもうっ!そんなにあたしが頼りにならないのかよ!復讐したきゃいくでも手伝うに決まってるだろ!馬鹿!あたしはどんな美智代でも生きてて、生き返ってほしかったんだよ!その責任は、しょうがないからあたしが抱えておくけどさ。いつかあの世とかで再会したら、一発ひっぱたいてやんなきゃ!あんたがホントの大馬鹿囃子だ!とかって。遊ぶのはそれから」
 ミヲ「ふふっ、そっか。じゃあ送るね」
 約子「待って!見て。コインが【いいえ】に」
 ミヲ「いつの間に。まだ心残りがあるのかな。白石さんからの願い、何か心当たりない?」



 「最後の最後にこうして一緒にいれたことだけはどうか、忘れないでほしくて」


 約子「なんか言われた気がする。『忘れないで』って」
 ミヲ「そっか、じゃあ。この声が聞こえていたら、彼女のことを忘れない、という気持ちを行動で示してあげて」


 手動セーブする


 美智代「ありがとう。でも、ひっぱたかれるのはやだから、あなたは長生きしてね、やっこ。またね」


 場所移動:両国橋

 ミヲ「やっこちゃん、具合ダイジョブ?」
 約子「今は妙にスッキリしているよ。やっぱ自分が自分はなかったような、ヘンな感じがあったんだねえ。意識の一部に自分じゃ関与できない領域があった、みたいな?」
 ミヲ「無事に戻って良かった」
 約子「美智代ちゃん、これで成仏できたのかな?」
 ミヲ「そこはダイジョブ。やっこちゃんに事情を伝えられないまま疎遠になってたことが心残りだったみたいだから」
 約子「じゃ、そこはヨシとしなきゃね。でも、まだなんか、こう、心の中がスッキリしないんだよね。なんなんだろう、これ。まだ一部抜けきってないって感じ?」
 ミヲ「後遺症かな。もしかして、呪詛珠を津詰警部に渡しちゃったから?」
 津詰「別に呪詛珠を持ってりゃ血行が良くなるとかそんな効果はねえからな」
 約子「でも呪い4つ持ちは肩凝りそうだね!」
 津詰「急に性格変わりすぎじゃねえか?それより、いいのか、ホントに。今回の件が片付いたら逮捕しろってのは。お前さんの場合は霊災、事故として処理できるかもしれねえんだが」
 約子「いいんだよ!あたりも呪詛珠を使って呪い殺した人と同じように扱っとくれ!むしろ片が付くまでお目こごししてもらっちゃってあんがとね!」


 午後2時台
 両国橋


 並垣「刑事まで一緒なんてそんな話聞いてないぞ!」
 津詰「悪いが、あんたの都合を聞いてる余裕も無くてよ。呪主でもなくなったあんたが、この嬢ちゃん方に何の用だったんだ?言っておくが、こいつらの持ってた呪詛珠は俺が預かったぜ」


 津詰の右下に、なめどり#11を発見!


 並垣と話す
 「きみたちが、もし白石美智代を蘇らせるつもりなら協力したい、って話だ。もともと、呪詛珠を手に入れたときからぼくはそのつもりだったからね」
 「もともとで言ったら呪詛珠を使わせねえっての。あんた。白石美智代とはどういう関係あんんだ?」
 「彼女とはちょっとした縁があってね。先日の彼女の不幸な報せにはとても心を痛めたものだよ」
 「なるほどな。そりゃつらい出来事だったろうがよ。死者を蘇らせれば、ひき逃げがなくなったことになると思ったか?」
 「な!何を言ってるんだかちょっと意味がわからないな」


 並垣と話す
 「ちょいと話を聞かせてもらいてえんだわ。免許は取ったばかりか?血痕のあるワゴン車が見つかっててよ、所有者を割り出すのも、時間の問題なんだがね」
 「な、なんのことだ!」
 「あと白石美智代との接点っての、もっと詳しく教えてもらってもいいかい?つうかお前よ、呪詛珠でひとりやってやがったよな?」
 「やめろ、近づくな!くそっ、わかった、観念する。ああ、ぼくはもうおしまいだ!」


 その後並垣青年が自供した内容によると、白石美智代をワゴン車でひき逃げしたのは彼で間違いないとのことだった。
 知り合いの女性を乗せてちょっといい気になってスピードを出し過ぎた、というのが彼の言い分だった。
 女学生にぶつかってそのまま逃げ去ったあと人目につかないところで慌てて車体を洗い、真っ先に証拠隠滅を図ったが、その後同乗していた女性に促され怖くなって一度確認に戻ったらしい。
 ただ現場の近くまで戻ったものの被害者の確認に行ったのは同乗の女性だけで、彼は車の中で震えていたのだという。
 やがて戻ってきた女性が言うには、遺体はちょうど飛び降り自殺にも見えたからこのまま放っとけばひき逃げだと気づかれないかも、とのことだった。
 その後、女性とは別れ夜中のうちの車を山奥に運んで投棄。
 ふたりはこの事故のことは隠し通そうと決めた。
 翌朝になって白石美智代の遺体が発見されたが、うまい具合に飛び降り自殺として処理された。
 しかし、彼の心には闇が残った。
 その日から毎日、血まみれで手足の折れた女学生が恨みがましく彼の前に現れる夢を見るようになったのだ。
 起きている間も、暗がりに遺体の幻を見たり恨みがましいうめき声が聞こえたりして、四六時中自分を責め立てる。
 そんな幻聴幻覚に悩まされ、ほんの数日でノイローゼになった。
 このまま隠し通すことにも限界を感じ自首しようとも考えたが、それは同乗したいた女性に強く止められた。
 そんなとき、蘇りの秘術のウワサを聞いた。
 彼は女学生を蘇らせることができれば、この事故をなかったことにできると考えた。
 その夜から毎晩、本所七不思議に関連する場所をひたすら探し回り、そして彼は足洗い屋敷の呪いを受けた。


 「なるほどな」
 「僕は悪くない。自首しようと思ったんだ!でもあの女が唆したから!」
 「あんたの行動が悪くないのかどうかな、嬢ちゃんたちの引きっぷりを見てもらうとして、ひとつ確認してえんだが。白石美智代が事故当時に持っていたはずのお守りに、心当たりねえか?」
 「なんだ、それは?」
 「そうか、知らねえか。だったら同乗してたって女だな。そいつにも聞いてもらえるか?」
 「どれもこれもあいつのせいなんだ」
 「過失運転致死を起こした車に同乗してたってだけならそいつに罪はねえんだが、今の話だと完全に救護義務違反および報告義務違反教唆でアウトなんだわ。現場から遺留品を持ち去ったなら窃盗も含むんで、そいつがどこの誰かを教えてもらえないかね」
 「あんな女こそ煮るなり焼くなり好きにすればいいんだ。そいつの名前は灯野あやめ、町で知り合った美大生だよ」
 「なんだと!おいおいおい!本当か、それは!」
 「なんだ、刑事さん知っている子かい?あれは、すました顔して悪い女だ。まったくどんな育ち方したんだが」
 「うるせぇ!あああ。いやいやいや、待て待て待て!なんなんだ、どうなってやがる!おい、俺はコイツを連れて今から署で詳しい話を聞く!お前らは禄命簿・陰の書の捜索を続けてくれ、いいな!」


 津詰と約子の続きが解放!