誰もが思いつくような話 【にのあい】 61 | 櫻の葉色

櫻の葉色

左利きマジョリティ

「腐」です。


苦手な方は、回避願います。







「相葉さんっ!!!」




叫んだ声が部屋中に響いて、見開いた瞳に映る天井が、自分が夢を見ていたのだと気付かされる。



寝ていただけなのに、凄く息苦しい。




はぁ、はぁ、、  はぁ、、、



はぁ、、はぁ、



相葉さん…っ、、、。




ずっと眠れていなかった俺は、今も起きているのか、眠っているのかも分からないまま、溢れ出る涙をそのままに しゃくり上げた。



……相葉さんに…、   会いたい………。



夢である事に 間違い無いはずなのに、酷く怯えていた。




何処に行けば会えるのかも  分からない。


連絡先も  分からない。




『バイバイ』




そう言った相葉さんの声が、嫌になるほどにリアルで、本当に会えなくなるんじゃないかと 不安になった。




テレビでは、番組が変わっても 事件について相変わらず 変わらない 同じような見解を 延々と コメンテーター達が話している。




猟奇殺人。



快楽殺人。



複数犯。



同一犯。




『酷い事件だ。』



『一刻も早く、警察は 犯人を捕まえて欲しい。』



『こんなにも大胆な犯罪を繰り返す犯人は、許せない。』



『安心して、生活出来ない。』



『シリアルキラーだ。 人間じゃない。』




変わらない内容にウンザリして、俺は テレビを消した。