真砂は行き付けのBarにきていた。
年明けに辞令があり、
栗栖は関東中部に転勤。
大手チェーンではよくあることだ。
栗栖はあんな、なりをしているが意外に寂しがり屋な奴だから
社内電話にかこつけて、よく電話はかけてくる。
栗栖がいた頃は、よく店の閉店後にきたもんだ。
今日は一人ジャックダニエルを傾け、のんびり飲んでいる。
そんな中でも、頭を回ることは前島のこと。
正直、あいつにキスしたことはきっかけに過ぎなかった。
理由は少しの衝動と好奇心。
そんな謎の化学反応が俺の中で渦巻いている。
だから休憩室で俺は仕掛けた。
前島の気持ちを探るかのように。
いい大人が何やってるんだか…
なのに、心中の前島自身が
「気にしますよ!!!」
と、大声で宣言するもんだから。
こっちは別件の用で話をずらすことが精一杯で。
〝前島、お前は若いなー〟
なんだか酔えない自分がいる。
まずあいつは男で俺も男で…
ふざけても、あんな試すようなキスをする年齢じゃない。
多分俺はあいつに、かまいたいが為に
逃げ切れないような行為に
あえて及んだ。
あいつからしたら事故みたいなもんでというか。
いや、確実に悩んでるな。先日のアレの様子を見る限り。
完全に都合がいいが。
上司からの酷いパワハラか、なんかと勘違いして責めてくれたほうが、ありがたい。
しかし、実際あいつとの距離に俺自身悩んでいる。
らしくない。と栗栖なら嫌味ったらしく言うだろう。
しかしそんな一押しが今は欲しいと思っている。
かなり俺弱ってるな…