9割フィクション小説~Door Breaching~ #15~ | 横須賀どぶ板通り巡り人

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横須賀在住の主がどぶ板通りの飲み屋をメインにどぶ板の魅力を発信するサイド

8月。


俺は順調に研修過程を終え、


正式に社員として


倉庫管理課に配属された。



研修時に学んでいた場所であるが


いざ、正社員として


バイトなどを統括する立場になると


身が引き締まり、気分も違う。



それでも、8月になって変わってこともあった。


新人のバイトたちが入ってきたこと。


俺の相方として、長野さんという先輩社員が配属になったこと。


栗栖さんが転勤になったこと。


そして…



真砂さんが部署移動で倉庫にいないこと。



あの、散り際の桜を見に行って


真砂さんと会った日。


俺は真砂さんと唇を合わせた。



体調を気遣ってくれた真砂さんは俺をアパートまで車で送ってくれた。


玄関先でお礼を言おうとした瞬間


真砂さんの顔が間直で


俺は目をつぶるなど考えることもなく


気がつけば、真砂さんに唇を奪われていた。



俺は情けない?ことにその場に腰を抜かしてしまい


そんな俺に真砂さんは一言。


「もう風邪ひくなよ」




〝え???


風邪をひいた俺が悪いのか?!


っていうか、お伺いもなくキスとか…


否!!


お伺いを立てられても無理だが!〟


以来、俺の頭は不本意にもしっかり


そのことでいっぱいな訳で…



しかし、幸か不幸か


真砂さんは売り場に移動。


俺が真砂さんを避ける+現場移動という状況が


俺と真砂さんの接触をほぼ皆無にした。




〝これでよかった〟


俺はぽつりと思った。