【この闇で見つけたもの】 | 横須賀どぶ板通り巡り人

横須賀どぶ板通り巡り人

横須賀在住の主がどぶ板通りの飲み屋をメインにどぶ板の魅力を発信するサイド

夜の公園。

夏の匂いの中、君と僕は1つのボールを追う。


「バスケしよっ」


そういって、君の手には大きいボールを抱え

僕を唐突に誘った。


少し、以前に君にポツリと話したことを思い出す。

僕がバスケをやめた理由。


僕はバスケが大好きだったこと。


ひたすらにプレイをすることが楽しくて


時間を忘れて、ボールに触っていたこと。


だからこそ、純粋に楽しめなくなった時の虚無感。


その日から、ボールを押入れにしまいこみ

その心ごと、しまいこみ。

目に触れない場所に遠ざけていた。


そんな僕に、君は

押入れのボールを持ってきて、コートへ誘った。


君が運動オンチなのは知ってる。

運動事態が苦手なのも。


君が誘ったのは、近所の公園。

子供用の低いバスケリンクが1つ。


心ともない電灯が1つだけ。



君が僕にボールを投げる。

俺から。

という合図だろうか。

何年ぶりかに、リンクにボールをいれる。


ゴールが低いせいもあって、当然のように入る。



君のボールを渡すと、初めて触るかのように

ぎこちない動作をドリブルをして

リンクにボールを投げる。

もちろん、そんな調子では入らない。


2人だけのバスケ。

互いにリンクにボールを入れるという単純なことなのに。

君も僕も

いつの間にか、夢中になってボールを投げ合う。


リンクが低いとか、

ボールが入らないとか

それこそ、ルールなど越えて


この時間が楽しい。

そんな感情があった。


多分、君が伝えようとしたこと。

それは…

楽しもう。

できれば一緒に。


経験も技術もない君が

バスケに誘ってくれた理由は…