9割フィクション小説~Door Breaching~ #7 | 横須賀どぶ板通り巡り人

横須賀どぶ板通り巡り人

横須賀在住の主がどぶ板通りの飲み屋をメインにどぶ板の魅力を発信するサイド

悪夢から覚めて


先輩たちに謝ろうと思って起きたが


時、すでに遅し…



真砂さんを残し、皆解散していた。


罪悪感いっぱいに、とりあえず真砂さんに謝る。


「すみません。俺酔って寝てたみたいで…みんなになんて言えばいいか…」



謝られた方の真砂さんは今だグラス片手に飲みながら


「ああ、いいって!俺も栗栖も前っちがそんな酒弱いと思わずに

飲ませたし、狩野たちも心配してたくらいだし」


そんな真砂さんは酒、強いんですね…



真砂さん手酌で酒をついだ。


「狩野たちも事情つうか、心配してたけど遅くまでは残れんのよ」


「え?事情?」


「ああ。杉野は実家が家業やってて、明日朝から九州まで出張だし、


狩野の嫁さんは障害者で介護するから基本残業も飲み会もでないしな。


ケニーは明日テスト。今年にはアメリカの大学に行くからなー」


「そんなんで、みんなお前が酔いつぶれてることに呆れて帰った訳じゃないんだよ」



そっか…


俺、心の中で少しバイトしてる狩野さんや杉野さんたちを


見下してた部分があったかも。


自分は正社員で、バイトと違いはあるけど


実際、バイトの狩野さんや杉野さんより全然仕事できなくて。


どうしてバイトという立場を選択したかを考えずに


手前勝手な思考で


みんなを見下していた自分が恥ずかしい。



俺なんて仕事場では正社員の名札をつけたお荷物だ。



…ポンッ…


真砂さんに見透かされたように頭を軽くこずかれる。


「正社員とバイトの違いなんて、実はそんなにないんだよ。


出来る仕事を、出来る人が行う。


バイトはバイトの。


正社員は正社員の。


あとは、ひたすら経験の積み重ねだ。


んで、失敗した時は上のモンが責任をとる!


そんなもんだ。


簡単だろ?」



「…はい…」


俺はそれ以上の言葉が出なかった。


ただ、


今日俺は自分を初めてガキだと思った。


社会に出て、正社員になれば


大人になれていると思っていた。


俺はガキだ。


多分年齢とかじゃなく。