9割フィクション小説~Door Breaching~ #2 | 横須賀どぶ板通り巡り人

横須賀どぶ板通り巡り人

横須賀在住の主がどぶ板通りの飲み屋をメインにどぶ板の魅力を発信するサイド

俺、前島 広深(23歳)が


研修先企業として働くのは家電量販店。


春には晴れてここの正社員となる。



初日からここ数日している仕事は


家電倉庫での仕事。


倉庫といえば…


力仕事だ。



自慢ではないが


俺には誇れる筋肉はない。


どちらかといえば細身だ。


研修生といえ


いきなり倉庫配属となると…



「助けてください…」


今まさに、エアコンの外気を支えているものの


下敷きになりそうになり1歩も動けずに


助けを求めていたりします。




「大丈夫かぁー?」


急に軽くなった上部に振り返ると


正社員・真砂 一郎が


軽々とエアコンの外気を持っていてくれていた。



「お前、そんな小さな声で助けを求めていても誰にも気づかれんで終わるぞ!」



「はぁ…」


っていうか、あまりに重くて腹から声が出なかったんですよ!!

と、つい心の中から毒ずいてしまう。


しかし、ここは一応お礼を言っておこう。


「ありがとうございます…」


真砂さんに向けてぺこりと一礼する。



「もういいから。狩野に次の指示もらえ~」


俺の無愛想な礼にも気にすることなく


その場を去っていく。



ここのK家電量販店の倉庫は


初日に知ったのだか


完全実力主義なのだ。


よって、未来の正社員である研修生であろうが


バイトさんたちより俺が一番の下っ端なのである。


俺の研修担当の真砂さんに笑顔で言われたことが


「新人だろうと、正社員だろうと仕事できなきゃ意味ねーしな!」



ですよね…



次の指示をもらいに行く狩野さんは


バイトながら週5日で入ってる3年目のベテランだ。


「狩野さん~」


エアコン(1番外気で重いやつ)を棚の3段目に


上げている狩野さんに声をかける。



…俺もいつかこんな事が出来る筋肉がつくのだろうか?…



「おー前島くん、さっき潰れそうになってたけど平気だった?」


…見てたんだ…


「はい、どうにか」


気軽に狩野さんがいう。

「始めはあんなもんだからねー」



聞けないけど、狩野さんにもそんな時代があったんですか?

と俺は思ってしまった。


そう思うくらい狩野さんは平気な顔をして


淡々と仕事をする人だからだ。


俺より年上で結婚もしてるみたいだけど


外見はアキバ系(実際PC系にかなり詳しいらしいけど)


なのに、人は見かけによらないとはこのことだ。



「で、何?」


狩野さんが本題を聞いた。


「真砂さんから次の仕事をもらえって」



「じゃ、ゴミのダンボール片してきてくれるかな?」


俺の体力に気を使ってか


本当にゴミを片付けして欲しいのか、真意は謎だが


比較的に楽な仕事を授かった。



正直ホッとしている。


初日からの筋肉痛で


今だに部屋にダンボールと暮らしている。



春までに筋肉つくかな?


と俺は自分の上腕二等筋を見比べた。