どこかで、不毛な恋と夏にひく風邪はしょっぱいもんだ。と聞いた。
不毛な恋といえば、思い出す過去が1つ。
わたしの大学生時代。
サークルの同期男子・Sくんに片思いをしていた。
しかし、Sくんが好きだったのは
同じサークルで、友達のMちゃんで。
Mちゃんも、Sくんが好きで
事実上、二人は両思い。
告白という過程に至らないカップルだ。
そんな、Sくんを好きで、諦められない片思いをしているあたしは
不毛な片思いをしていたと思う。
このあたしの片思いをサークルの皆は知らない。
知っていたら、Mちゃんと友人でいられないし
基本、こういうのは人に言いたくないタイプだった。
でもSくんだけは、あたしの気持ちに気づいていた。
そして、Sくんは2人きりのサークルの部室で
あたしを遠ざけるような発言をする。
「Bがお前のこと好きらしいよ。付き合えば?」
ああ。ていのいい、あしらいですか。
あたしの気持ち知ってるなら、ばっさり振ってくださいよ。
こういのが、キツイ。
好きな人に、他の男子を勧められても。
しかも、お互いに好きな相手がわかっている分余計にきつい。
では、SくんはMちゃんに告白すれば?
即、OKですよ。
すでに、二人は両思いなんですから。
そして、あたしは気も無いBくんとお付き合いすれば
めでたし、めでたしですか?
ふざくんな。
ああ。目の前のSくんをどつきたい。
どついて、
「あたしはSくんが好きだ!」
と、男らしく言ってしまいたい。
でも、できない。
とりあえず、その場は、テキトーにジョークととらえ
はぐらかし、場を乗り切った気がする。
今思えば、とりたて、いい男でもなかったし
無神経で優しくも無い。
でも、当時は好きで、
本人以外には、気づかれないように
目で追っかけていたりしたんだろう。
結果、SくんとMちゃんは付き合い始め
その夏、お酒の勢いでBくんのファーストキスを
奪ってしまった。
なかなか、あたしも最低な奴でした。
夫さんの助手席で
こんな昔話を思い出し、ちょっと笑った。
「どうしたの?」と聞かれ
不毛な恋と夏にひく風邪はしょっぱいらしいよ。
といったら
「ふーん」
夫さんは興味がないのか、
または、不毛な恋とは何ぞや。
ということを考えているような返事だった。